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33. 姉さんを尾行してみた 〈アロム視点〉
しおりを挟む最近、姉さんの様子がおかしい。
そわそわ、しているというか挙動不審というか…。
あれは何かを隠している時の姉さんだ。
これ、弟の勘!
いつもは、僕が尾行されている事が多いけど、今日は僕が姉さんを尾行してみようと思います。
今日は"何でも屋"の仕事が休みなので時間を気にせずに尾行ができるんです。
いつも、姉さんは仕事がないと、昼近くまで起きてこないので、出掛けるとしたら、お昼を食べた後だと僕は思っています。
やっぱり!
昼御飯を食べた姉さんが動き出しました。
尾行開始です!
一応、今は姉さんに見つからないように変装しています。
どんな感じかというと、ロングヘアーのウィッグをかぶり、眼鏡をかけています。
パッと見た感じでは絶対に僕だとばれないと思います。
たぶん…。
姉さんが花屋さんにいきました。
依頼は無かったと思うんだけどな…?
自分で花を買った?
花を持ってどこに行くんだろう?
今日は誰かの誕生日でもないし、お祝いごとも無かったはずだけど…。
花を持ったままで村外れまで歩いてきました。
女神様の祠に行くのかな?
でも、いつもならもう少し遅い時間に行ってるんだけど、気分が変わったのかな…。
やっぱり女神様の祠に来ました。
姉さんがおかしいと思った、僕の勘は間違っていたみたいですね。
いつもの姉さんの日課を覗いただけで終わりそうです。
僕も家に帰ってゆっくりしようかな…。
ん?
帰ろうとしたら馬の足音が聞こえてきました。
旅人かな?
危ないから通りすぎるのを待ちます。
あれ?
女神様の祠の前で止まった。
珍しいな…。
ここの祠に来るのは村人くらいで、あまり人は来ないのに…。
しかも、貴族様のような雰囲気だな。
姉さん大丈夫かな?
でも、すごいイケメンだから"偶然、祠でイケメンを見れた!"って姉さん喜んでいるだろうな。
……。
出てこないな…。
「ハハハハッ…!」
へ?
笑い声?何を話しているんだろう…。
2人は知り合いなのかな?
「キャッ!」
姉さんの声だ!
何かあったのかな?!
僕は急いで祠の中に入って行った。
「姉さん、大丈夫!?」
そこには…イケメンと抱き合っている姉さんがいた。
「姉さんに何をするんだ!離せ!」
僕はイケメンの腕を掴んで言った。
「アァ、アロム違うのよ…」
「何が!」
姉の方を見ると顔が真っ赤になっている。
絶対に何かあったでしょ。
「私が転けそうになったのを助けて下さったの…」
へ?
「申し訳ありません!勘違いしてしまって…」
僕は深く頭を下げた。
貴族様相手にやってしまった…。
「大丈夫だ。頭を上げてくれ」
良かった…怒られない。良い人だ。
さっきから姉さんの視線を感じます…。
「…アロム、そんな格好をして何処に行くつもりだったの?」
アァァー!!!!!
忘れてた。
変装してたんだった…。
気がつけば姉さんが魔写る君で僕の姿を連写していました。
なんで、魔写る君を持ってるんだよ~!
アー!失敗した~~!!
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