77 / 81
76話 始まった運命のパーティー
しおりを挟む
――それから更に数日が経ち、いよいよリアン様たちの魔法学院卒業パーティーの日が明日に迫った。
あれからもリアン様は私に対して特に態度を変えていない。
そしてヴァンはあの日以降、一切の予知夢を見なくなったと言っていた。
私は、少し前から聞こえていた私の中の声のことは特に誰にも話していないが、おそらくあの声の主であるルミアが伝えたかったことを徐々に理解し始めていた。
「私がするべきことも多分、わかった。……気がする」
私は自室でひとりごちた。
この数日であの声は……ルミアは頻度を増して私へと言葉を投げかけてきていた。
おかげで私には見えてきていた。
これまでの全ての、ヴァンの予知夢が示していた私の死の意味も。
「だから明日、私は私の決めた行動を起こすわ。間違っていればきっとおそらく私は、死ぬ」
でも、多分大丈夫。
問題があるとすればただひとつ。
「私のちっぽけなプライドと羞恥心だけね」
だからこそ、明日の卒業パーティーまでに私は覚悟を決めなければ。
●○●○●
「ルフェ、その薄いブルーのドレスはとてもよく似合っているね。少し僕の趣味と違うけれど」
ついに開かれた卒業パーティー、その当日。
私はリアン様と共に、魔法学院の敷地内にあるパーティー会場へと訪れていた。
ドレスは以前ヴァンに選んでもらい舞踏会で着ていた物だったので、リアン様がほんの僅かに嫌味を含む物言いをしていた。
「リアン様、いよいよ今日ですわね」
「うん、いよいよキミとの関係について、皆に公表できるよ。僕の学院の同期たちは多くが高位貴族の家柄だ。きっと色んな意味で良い宣伝効果になるよ」
「ええ、そうですわね」
良い宣伝効果、か。
それはつまり私を陥れて、そして自分はエルフィーナ王女殿下と華々しく結ばれるということだ。
そういうつもりなのはわかっているうえで、リアン様はまだ笑顔の仮面を外さない。本当に恐ろしいほどの演技っぷりだ。
とはいえ、彼がここで私に行なうことはもうすでにわかりきっている。
だからこそ、私も勇気を出さなければならない。
「卒業生の皆様! ご友人やパートナー、そして来賓の方々も! 今宵はようこそお集まりくださいました!」
司会進行者が声を出して、いよいよ卒業パーティーは始まりを告げた。
会場内は多くの魔法学院生たちやその連れで賑わっている。
グレアンドル家のドウェイン様、ミゼリア、プリセラも今宵のパーティーに参加している。何故なら今日は筆頭公爵家であるグレアンドル家から大切なお知らせがあると事前に打ち合わせがあったからだ。
リアン様はこの大勢の場で私との婚約を発表すると見せかけて、逆に婚約破棄をする予定だ。
その時に私は……。
「ルフェ、キミは卒業生じゃないけれどここに出された食事は自由に食べて良いんだよ」
「ありがとうございますリアン様」
「僕は少し他の貴族の人々と挨拶を交わしてくるから、キミはこの辺で適当に食事を楽しみながら待っていてくれ。僕が戻ったらキミのことを皆に発表するから」
「はい、わかりましたわ」
そう言ってリアン様は私から離れて行った。
リアン様が戻ったら、そこが正念場。
「ルフェルミア」
背後から名を呼ばれ振り返るとそこにいたのは、髪型と髪色をカツラなどで変装したドラグス王太子殿下と、同じく変装した聖女メリアだった。
ドラグス殿下とメリアたちも来るべきに備え、こうして変装してパーティー会場に参加しているのである。
「話はあらかた聞いている。ただ、今宵キミとヴァンが何をするかはまだ聞いていない。一体どうするつもりだ?」
「それは……その時になればわかります」
私が答えるとメリアが笑った。
「ルフェルミア、あなたがヴァン様と何を企んでいるかは存じ上げませんけれど、此度の件に関しては感謝しておりますわ。だから、まあ、その……もし何かあれば、ちょこっとはお手伝いしてあげますわよ」
実はドラグス殿下にメリアをパートナーとしてこの卒業パーティーに参加してほしいと頼んだのは私だ。 更に私は先日、ドラグス殿下にメリアの想いをこっそり伝えたおいた。
ドラグス殿下はメリアの気持ちについて全く信じていないが、それは今夜のメリアの行動次第だろう。
ヴァンはまだここには来ていない。
が、必ず来てくれると信じている。
「私の勝手な勘なのですけれど、リアン様は私を陥れることはするだろうけど、もはや殺意までは持っていないと思います」
「そうなのかルフェルミア?」
「はい殿下。だからヴァンの予知夢が告げていた私を死に追いやる犯人は、もはやリアン様ではないと私は結論付けました」
私がそう言うと、メリアが頷いていた。
「ええ、私もそう思いますわね。正直、リアン様がどんな手を使ってもルフェルミアを殺せるだなんて到底思いませんもの」
「そう。私もそう思ってた。でもやっとわかった気がするの」
私を殺す、その真犯人。
それが誰だか、私にはおそらくわかった。
だから、今日ここでそれに決着をつける。
「じきにリアン様が戻ってこられます。殿下とメリアは少し離れていてください」
私は彼らにそう告げて、いよいよ覚悟を決めたのだった。
あれからもリアン様は私に対して特に態度を変えていない。
そしてヴァンはあの日以降、一切の予知夢を見なくなったと言っていた。
私は、少し前から聞こえていた私の中の声のことは特に誰にも話していないが、おそらくあの声の主であるルミアが伝えたかったことを徐々に理解し始めていた。
「私がするべきことも多分、わかった。……気がする」
私は自室でひとりごちた。
この数日であの声は……ルミアは頻度を増して私へと言葉を投げかけてきていた。
おかげで私には見えてきていた。
これまでの全ての、ヴァンの予知夢が示していた私の死の意味も。
「だから明日、私は私の決めた行動を起こすわ。間違っていればきっとおそらく私は、死ぬ」
でも、多分大丈夫。
問題があるとすればただひとつ。
「私のちっぽけなプライドと羞恥心だけね」
だからこそ、明日の卒業パーティーまでに私は覚悟を決めなければ。
●○●○●
「ルフェ、その薄いブルーのドレスはとてもよく似合っているね。少し僕の趣味と違うけれど」
ついに開かれた卒業パーティー、その当日。
私はリアン様と共に、魔法学院の敷地内にあるパーティー会場へと訪れていた。
ドレスは以前ヴァンに選んでもらい舞踏会で着ていた物だったので、リアン様がほんの僅かに嫌味を含む物言いをしていた。
「リアン様、いよいよ今日ですわね」
「うん、いよいよキミとの関係について、皆に公表できるよ。僕の学院の同期たちは多くが高位貴族の家柄だ。きっと色んな意味で良い宣伝効果になるよ」
「ええ、そうですわね」
良い宣伝効果、か。
それはつまり私を陥れて、そして自分はエルフィーナ王女殿下と華々しく結ばれるということだ。
そういうつもりなのはわかっているうえで、リアン様はまだ笑顔の仮面を外さない。本当に恐ろしいほどの演技っぷりだ。
とはいえ、彼がここで私に行なうことはもうすでにわかりきっている。
だからこそ、私も勇気を出さなければならない。
「卒業生の皆様! ご友人やパートナー、そして来賓の方々も! 今宵はようこそお集まりくださいました!」
司会進行者が声を出して、いよいよ卒業パーティーは始まりを告げた。
会場内は多くの魔法学院生たちやその連れで賑わっている。
グレアンドル家のドウェイン様、ミゼリア、プリセラも今宵のパーティーに参加している。何故なら今日は筆頭公爵家であるグレアンドル家から大切なお知らせがあると事前に打ち合わせがあったからだ。
リアン様はこの大勢の場で私との婚約を発表すると見せかけて、逆に婚約破棄をする予定だ。
その時に私は……。
「ルフェ、キミは卒業生じゃないけれどここに出された食事は自由に食べて良いんだよ」
「ありがとうございますリアン様」
「僕は少し他の貴族の人々と挨拶を交わしてくるから、キミはこの辺で適当に食事を楽しみながら待っていてくれ。僕が戻ったらキミのことを皆に発表するから」
「はい、わかりましたわ」
そう言ってリアン様は私から離れて行った。
リアン様が戻ったら、そこが正念場。
「ルフェルミア」
背後から名を呼ばれ振り返るとそこにいたのは、髪型と髪色をカツラなどで変装したドラグス王太子殿下と、同じく変装した聖女メリアだった。
ドラグス殿下とメリアたちも来るべきに備え、こうして変装してパーティー会場に参加しているのである。
「話はあらかた聞いている。ただ、今宵キミとヴァンが何をするかはまだ聞いていない。一体どうするつもりだ?」
「それは……その時になればわかります」
私が答えるとメリアが笑った。
「ルフェルミア、あなたがヴァン様と何を企んでいるかは存じ上げませんけれど、此度の件に関しては感謝しておりますわ。だから、まあ、その……もし何かあれば、ちょこっとはお手伝いしてあげますわよ」
実はドラグス殿下にメリアをパートナーとしてこの卒業パーティーに参加してほしいと頼んだのは私だ。 更に私は先日、ドラグス殿下にメリアの想いをこっそり伝えたおいた。
ドラグス殿下はメリアの気持ちについて全く信じていないが、それは今夜のメリアの行動次第だろう。
ヴァンはまだここには来ていない。
が、必ず来てくれると信じている。
「私の勝手な勘なのですけれど、リアン様は私を陥れることはするだろうけど、もはや殺意までは持っていないと思います」
「そうなのかルフェルミア?」
「はい殿下。だからヴァンの予知夢が告げていた私を死に追いやる犯人は、もはやリアン様ではないと私は結論付けました」
私がそう言うと、メリアが頷いていた。
「ええ、私もそう思いますわね。正直、リアン様がどんな手を使ってもルフェルミアを殺せるだなんて到底思いませんもの」
「そう。私もそう思ってた。でもやっとわかった気がするの」
私を殺す、その真犯人。
それが誰だか、私にはおそらくわかった。
だから、今日ここでそれに決着をつける。
「じきにリアン様が戻ってこられます。殿下とメリアは少し離れていてください」
私は彼らにそう告げて、いよいよ覚悟を決めたのだった。
1
あなたにおすすめの小説
一夜限りの関係だったはずなのに、責任を取れと迫られてます。
甘寧
恋愛
魔女であるシャルロッテは、偉才と呼ばれる魔導師ルイースとひょんなことから身体の関係を持ってしまう。
だがそれはお互いに同意の上で一夜限りという約束だった。
それなのに、ルイースはシャルロッテの元を訪れ「責任を取ってもらう」と言い出した。
後腐れのない関係を好むシャルロッテは、何とかして逃げようと考える。しかし、逃げれば逃げるだけ愛が重くなっていくルイース…
身体から始まる恋愛模様◎
※タイトル一部変更しました。
捨てられ聖女は、王太子殿下の契約花嫁。彼の呪いを解けるのは、わたしだけでした。
鷹凪きら
恋愛
「力を失いかけた聖女を、いつまでも生かしておくと思ったか?」
聖女の力を使い果たしたヴェータ国の王女シェラは、王となった兄から廃棄宣告を受ける。
死を覚悟したが、一人の男によって強引に連れ去られたことにより、命を繋ぎとめた。
シェラをさらったのは、敵国であるアレストリアの王太子ルディオ。
「君が生きたいと願うなら、ひとつだけ方法がある」
それは彼と結婚し、敵国アレストリアの王太子妃となること。
生き延びるために、シェラは提案を受け入れる。
これは互いの利益のための契約結婚。
初めから分かっていたはずなのに、彼の優しさに惹かれていってしまう。
しかしある事件をきっかけに、ルディオはシェラと距離をとり始めて……?
……分かりました。
この際ですから、いっそあたって砕けてみましょう。
夫を好きになったっていいですよね?
シェラはひっそりと決意を固める。
彼が恐ろしい呪いを抱えているとも知らずに……
※『ネコ科王子の手なずけ方』シリーズの三作目、王太子編となります。
主人公が変わっているので、単体で読めます。
義妹がやらかして申し訳ありません!
荒瀬ヤヒロ
恋愛
公爵令息エリオットはある日、男爵家の義姉妹の会話を耳にする。
何かを企んでいるらしい義妹。義妹をたしなめる義姉。
何をやらかすつもりか知らないが、泳がせてみて楽しもうと考えるが、男爵家の義妹は誰も予想できなかった行動に出て―――
義妹の脅迫!義姉の土下座!そして冴え渡るタックル!
果たしてエリオットは王太子とその婚約者、そして義妹を諫めようとする男爵令嬢を守ることができるのか?
過労薬師です。冷酷無慈悲と噂の騎士様に心配されるようになりました。
黒猫とと
恋愛
王都西区で薬師として働くソフィアは毎日大忙し。かかりつけ薬師として常備薬の準備や急患の対応をたった1人でこなしている。
明るく振舞っているが、完全なるブラック企業と化している。
そんな過労薬師の元には冷徹無慈悲と噂の騎士様が差し入れを持って訪ねてくる。
………何でこんな事になったっけ?
【完結】魔力がないと見下されていた私は仮面で素顔を隠した伯爵と結婚することになりました〜さらに魔力石まで作り出せなんて、冗談じゃない〜
光城 朱純
ファンタジー
魔力が強いはずの見た目に生まれた王女リーゼロッテ。
それにも拘わらず、魔力の片鱗すらみえないリーゼロッテは家族中から疎まれ、ある日辺境伯との結婚を決められる。
自分のあざを隠す為に仮面をつけて生活する辺境伯は、龍を操ることができると噂の伯爵。
隣に魔獣の出る森を持ち、雪深い辺境地での冷たい辺境伯との新婚生活は、身も心も凍えそう。
それでも国の端でひっそり生きていくから、もう放っておいて下さい。
私のことは私で何とかします。
ですから、国のことは国王が何とかすればいいのです。
魔力が使えない私に、魔力石を作り出せだなんて、そんなの無茶です。
もし作り出すことができたとしても、やすやすと渡したりしませんよ?
これまで虐げられた分、ちゃんと返して下さいね。
表紙はPhoto AC様よりお借りしております。
元お助けキャラ、死んだと思ったら何故か孫娘で悪役令嬢に憑依しました!?
冬野月子
恋愛
乙女ゲームの世界にお助けキャラとして転生したリリアン。
無事ヒロインを王太子とくっつけ、自身も幼馴染と結婚。子供や孫にも恵まれて幸せな生涯を閉じた……はずなのに。
目覚めると、何故か孫娘マリアンヌの中にいた。
マリアンヌは続編ゲームの悪役令嬢で第二王子の婚約者。
婚約者と仲の悪かったマリアンヌは、学園の階段から落ちたという。
その婚約者は中身がリリアンに変わった事に大喜びで……?!
【完結】捨てられた聖女は王子の愛鳥を無自覚な聖なる力で助けました〜ごはんを貰ったら聖なる力が覚醒。私を捨てた方は聖女の仕組みを知らないようで
よどら文鳥
恋愛
ルリナは物心からついたころから公爵邸の庭、主にゴミ捨て場で生活させられていた。
ルリナを産んだと同時に公爵夫人は息絶えてしまったため、公爵は別の女と再婚した。
再婚相手との間に産まれたシャインを公爵令嬢の長女にしたかったがため、公爵はルリナのことが邪魔で追放させたかったのだ。
そのために姑息な手段を使ってルリナをハメていた。
だが、ルリナには聖女としての力が眠っている可能性があった。
その可能性のためにかろうじて生かしていたが、十四歳になっても聖女の力を確認できず。
ついに公爵家から追放させる最終段階に入った。
それは交流会でルリナが大恥をかいて貴族界からもルリナは貴族として人としてダメ人間だと思わせること。
公爵の思惑通りに進んだかのように見えたが、ルリナは交流会の途中で庭にある森の中へ逃げてから自体が変わる。
気絶していた白文鳥を発見。
ルリナが白文鳥を心配していたところにニルワーム第三王子がやってきて……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる