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アリアの信念
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どこをどう歩いたのか全く覚えていない。
気づくと目の前にセフィル様がいる。
「それがアリアの答えか……。」
?
何を言っているの?
あぁ、早くこの短剣で刺さなければ……。
刺す?誰に何を?
「俺を殺してアイザックの元へ行くのか?」
そうだ、私はアイザック様の元へ……。
なんで?
「あいつを愛しているのだろう?」
そう、愛して……。
そんな馬鹿な。
私が愛しているのは………。
「アリアは今まで俺の命を繋いでくれていた。
お前に殺されるなら本望だ。
人払いしている今なら見つかることもない。」
セフィル様は悲しげな目で私を見つめ、短剣を握る私の両手をそっとご自分の胸にあてがう。
何が起きているの?
セフィル様は目を閉じ、私に刺されるのを待っている。
い、嫌!
違う!!
震える手に全身の力を思いっきり込めて、見えない力に抗う。
愛する彼を殺すくらいなら……。
「アリア!!」
持ち手を返し、自分に向けて勢いをつける。
セフィル様を殺すくらいなら私が死ぬ。
短剣は私の胸に刺さり、ようやく思考がクリアになる。
脚から力が抜け、床に崩れ落ちそうになる。
だが倒れる寸前でセフィル様が抱きとめてくれた。
油断してた。
アイザック様は催眠術が使えたのか。
公爵家の秘密も催眠術で関係者から引き出したのかも……。
「何故だ!!
俺を殺せばお前の望みが叶ったのに……。」
私の望み?
私の望みはただ一つ、貴方が幸福になることだけ……。
「私の望みはセフィル様がサラ様と共に幸せな未来を歩むことです……。」
「何故そんなことを望む?」
そんなこと決まっている。
「私が貴方を愛しているからです……。」
セフィル様が大きく目を見張る。
今まで気づかれてなかったのなら、私はちゃんと悪役令嬢が出来ていたのね。
あぁ、でも本心を言ってしまった……。
セフィル様に煩わしく思われるかも……。
「馬鹿!!
俺が愛しているのはお前だ!!」
今度は私が目を見張る番だった。
………幻聴?
セフィル様が、私を愛して……?
「だって……セフィル様はサラ様には微笑むのに……私の前では……笑ってくれなかった……。」
涙が勝手に浮かんでくる。
「アリアを意識しすぎて緊張していたんだ。
あぁもういい、喋るな!
今、人を呼んでくる!」
あぁ……本当に……?
「もう……いいのです……。
それより……セフィル様………。
私を抱き締めて……ください……。」
息をするのも辛い。
私はもう保たないだろう。
ならばせめて、貴方の腕に抱かれて逝きたい。
「駄目だ!
死ぬな、アリア!!」
あぁ、セフィル様が泣いている……。
「セフィル様……最期の願いを……聞いてください……。
笑顔を………。」
私に向けてくれる笑顔を、一度でいいから見たかった。
セフィル様は泣きながら、それでも無理矢理笑顔を作ってくれた。
セフィル様の腕に抱かれて、笑顔をこんなに間近に見られた……。
なんて幸せなの………。
「アリア!アリア!!
愛してるんだ!!
生きてくれ!!」
セフィル様の必死な声が遠く感じる。
瞼が重くなり、抗えず目を閉じる。
セフィル様、私を愛してると言ってくれてありがとう……。
さよなら……セフィル様……………。
ってあれ?
気づくと目の前にセフィル様がいる。
「それがアリアの答えか……。」
?
何を言っているの?
あぁ、早くこの短剣で刺さなければ……。
刺す?誰に何を?
「俺を殺してアイザックの元へ行くのか?」
そうだ、私はアイザック様の元へ……。
なんで?
「あいつを愛しているのだろう?」
そう、愛して……。
そんな馬鹿な。
私が愛しているのは………。
「アリアは今まで俺の命を繋いでくれていた。
お前に殺されるなら本望だ。
人払いしている今なら見つかることもない。」
セフィル様は悲しげな目で私を見つめ、短剣を握る私の両手をそっとご自分の胸にあてがう。
何が起きているの?
セフィル様は目を閉じ、私に刺されるのを待っている。
い、嫌!
違う!!
震える手に全身の力を思いっきり込めて、見えない力に抗う。
愛する彼を殺すくらいなら……。
「アリア!!」
持ち手を返し、自分に向けて勢いをつける。
セフィル様を殺すくらいなら私が死ぬ。
短剣は私の胸に刺さり、ようやく思考がクリアになる。
脚から力が抜け、床に崩れ落ちそうになる。
だが倒れる寸前でセフィル様が抱きとめてくれた。
油断してた。
アイザック様は催眠術が使えたのか。
公爵家の秘密も催眠術で関係者から引き出したのかも……。
「何故だ!!
俺を殺せばお前の望みが叶ったのに……。」
私の望み?
私の望みはただ一つ、貴方が幸福になることだけ……。
「私の望みはセフィル様がサラ様と共に幸せな未来を歩むことです……。」
「何故そんなことを望む?」
そんなこと決まっている。
「私が貴方を愛しているからです……。」
セフィル様が大きく目を見張る。
今まで気づかれてなかったのなら、私はちゃんと悪役令嬢が出来ていたのね。
あぁ、でも本心を言ってしまった……。
セフィル様に煩わしく思われるかも……。
「馬鹿!!
俺が愛しているのはお前だ!!」
今度は私が目を見張る番だった。
………幻聴?
セフィル様が、私を愛して……?
「だって……セフィル様はサラ様には微笑むのに……私の前では……笑ってくれなかった……。」
涙が勝手に浮かんでくる。
「アリアを意識しすぎて緊張していたんだ。
あぁもういい、喋るな!
今、人を呼んでくる!」
あぁ……本当に……?
「もう……いいのです……。
それより……セフィル様………。
私を抱き締めて……ください……。」
息をするのも辛い。
私はもう保たないだろう。
ならばせめて、貴方の腕に抱かれて逝きたい。
「駄目だ!
死ぬな、アリア!!」
あぁ、セフィル様が泣いている……。
「セフィル様……最期の願いを……聞いてください……。
笑顔を………。」
私に向けてくれる笑顔を、一度でいいから見たかった。
セフィル様は泣きながら、それでも無理矢理笑顔を作ってくれた。
セフィル様の腕に抱かれて、笑顔をこんなに間近に見られた……。
なんて幸せなの………。
「アリア!アリア!!
愛してるんだ!!
生きてくれ!!」
セフィル様の必死な声が遠く感じる。
瞼が重くなり、抗えず目を閉じる。
セフィル様、私を愛してると言ってくれてありがとう……。
さよなら……セフィル様……………。
ってあれ?
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