今までの俺に、さよならを。

学校一の美形とも言われ、何があっても表情を変えないと噂の『冷酷王子』こと神野恭哉。

彼はその日、屋上へと続く階段を登る少女の姿を見掛けて、足を止めた。

彼女がいつも屋上で授業をサボっていることは知っていたけれど、何故だろうか、その日はいつもと様子が違うように感じた。

そう気付けるほど、「彼」はずっと、「彼女」を見ていた。

ふと、嫌な予感がして。どうしても気になって。

思わず、彼女の後を追った。

前向きで明るく、隣のクラスのムードメーカー的存在と評判の藤形結衣。

皆から好かれている筈の彼女が何故「自殺」を考えたのか、その理由を知りたかった。

彼女はきっと忘れてしまったのだろう、幼い頃に交わした約束を守る時が来たのだと思った。

ああ、けれど。そんなのはきっと建前で、本当はずっと前から、その隣に立ちたかったのかもしれない。

…なあ、結衣。

俺のこと知りたいって言ったけど、俺が抱えてる想いを全部知ったら、多分、お前引くと思う。

それでも知りたいって言うなら、聞かせてやるよ。

俺が、いつからお前のことを好きで、どんな想いで、「あの一ヶ月」を過ごしていたか。
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