6 / 6
第4話 日常
しおりを挟む
ねぇ空良……。 今、君は僕と同じ景色を見ているのだろうか?
僕は窓越しに眺める景色を眺めながら、ふと、空良のことを
思い起こす。
―――3時間目。A組は数学だ。
今頃、Ⅽ組は何の授業をしているのだろか……。
僕、数学って結構 好きなんだよね。
計算や公式を解いていると頭が働いてくる。
血の巡りがよくなるんだよ。
あの日から僕と空良は学校で会うことはない。
【友達】を拒絶され、というか…あれは………
『友達って…人に言われてなるものじゃないっしょ』
『お前は頭いいから名門校行くんだろ?』
『じゃ、友達になっても意味ないね』
『私達…高校は別々だ。じゃあね、秀才君』
―――まったく相手にされていなかった……。
『はあ…… 』
小さな ため息が零れた。
君と廊下ですれ違うこともないし、やっぱりクラスが違うとなかなか会えないね。
その分、僕は君との日常を想像してみるんだ。
たまに君を学校で見かけると、
『おっ、今日はツイテいるかも』と、僕は勝手にラッキーデーにしている。
ノートの空いたページに日付を書いて、ついでにハートマークを書いてみたりして。
顔が少し緩んでいるみたいだ。僕は笑っているのだろうか……。
ふと、僕は窓越しに映る自分の顔を見る。顔から笑みが零れている。
僕が笑っている。僕にもこんな表情があったなんて初めて知った。
僕は改めて自分の事を人間だと実感した。
不思議だ。随分とそんな感情なんて忘れていた。
君の事を考えると、なんだか僕は生きている感じがする。
そう思うと、僕はもっと君の事を知りたくなったーーー。
でもね、僕は知っているんだ。
クラスが違っていても、学校で滅多に会えなくても、この場所にくれば
必ず君に会えることを―――ーーー。
だから下校時間はいつも皆が帰った最後に教室を出る。
回り道をしてこの土手から君を眺めている。
最近、僕が 毎日している日課だ。いつの間にかマイブームになっている。
放課後、君はいつもここで一人、ブーメランを飛ばしていたね。
土手から見渡す風景の中に君を見つけ、ここから眺める景色から
君を見ていることが好きだったんだ。
まるで風景画の中に君がいるみたいだ。
君を見ているだけで僕の心は揺れ動かされている。
ハラハラしたりm、ドキドキしたり、僕の心は忙しく稼働している。
だけどね、僕はなかなか君に話しかけることが出来なかったね。
いつもタイミングを探し、チャンスを待っていた。
自分では行動を起こすこともできないくせに、誰かがキッカケを与えてくれると
思って、ただ君を見ているだけだった。存在感の無い僕に無関心の人ばかりで
そんな時だけ頼りにするなんて僕も矛盾している。
でも、そのチャンスは自然の流れに導かれるように突然やって来た―――ーーー。
「ヒューーーン」と、強い突風が吹いたその時だった。
冷たい風が頬を伝い髪が揺れ靡《なび》く。
彼女は思わずジャンプしたが、イタズラに風の流れが邪魔をし、
彼女はブーメランを取り損ねてしまった。彼女が飛ばしたブーメランは
風の流れによって僕の方へと飛んできた。
僕は両手を高く空に向かって振り上げる。気づくとブーメランは僕の手の中に入り、
ブーメランをキャッチしていた。
「わりィ」
彼女は僕の方に向って叫ぶ。
僕は彼女に向って思いっきりブーメランを飛ばした。
スカッとして、めちゃくちゃ気持ちよかった。
だけど、僕が放ったブーメランは彼女の前じゃなくて右へと逸れてしまった。
「あ…」と、思ったが、その瞬時に彼女は右へと反射的に移動した。
ガシッ。僕の瞳に彼女が映った時、彼女はブーメランを
キャッチしていた。
「どこ投げてんだよ、ヘタクソ(笑)」
そう言った彼女の顔は思いっきり笑っていた。
初めて見る彼女の笑顔だった――――ーーー。
「ごめーん(笑)」
気づくと、僕は笑って彼女の元へと駆け寄っていた。
『友達にならない?』
そんな言葉は彼女には必要がなかったんだと思った。
だって、友達は自然にできるものだから……
自然体で生きている空良にはそんな言葉は関係なかったんだね。
僕達には『友達』なんて言葉はいらなかった―――――ーーー。
僕が空良を友達だと思えば、もう、それは友達なんだ…と、思う。
ほんの些細な日常の中に一つだけ希望を見つけたーーー。
僕は窓越しに眺める景色を眺めながら、ふと、空良のことを
思い起こす。
―――3時間目。A組は数学だ。
今頃、Ⅽ組は何の授業をしているのだろか……。
僕、数学って結構 好きなんだよね。
計算や公式を解いていると頭が働いてくる。
血の巡りがよくなるんだよ。
あの日から僕と空良は学校で会うことはない。
【友達】を拒絶され、というか…あれは………
『友達って…人に言われてなるものじゃないっしょ』
『お前は頭いいから名門校行くんだろ?』
『じゃ、友達になっても意味ないね』
『私達…高校は別々だ。じゃあね、秀才君』
―――まったく相手にされていなかった……。
『はあ…… 』
小さな ため息が零れた。
君と廊下ですれ違うこともないし、やっぱりクラスが違うとなかなか会えないね。
その分、僕は君との日常を想像してみるんだ。
たまに君を学校で見かけると、
『おっ、今日はツイテいるかも』と、僕は勝手にラッキーデーにしている。
ノートの空いたページに日付を書いて、ついでにハートマークを書いてみたりして。
顔が少し緩んでいるみたいだ。僕は笑っているのだろうか……。
ふと、僕は窓越しに映る自分の顔を見る。顔から笑みが零れている。
僕が笑っている。僕にもこんな表情があったなんて初めて知った。
僕は改めて自分の事を人間だと実感した。
不思議だ。随分とそんな感情なんて忘れていた。
君の事を考えると、なんだか僕は生きている感じがする。
そう思うと、僕はもっと君の事を知りたくなったーーー。
でもね、僕は知っているんだ。
クラスが違っていても、学校で滅多に会えなくても、この場所にくれば
必ず君に会えることを―――ーーー。
だから下校時間はいつも皆が帰った最後に教室を出る。
回り道をしてこの土手から君を眺めている。
最近、僕が 毎日している日課だ。いつの間にかマイブームになっている。
放課後、君はいつもここで一人、ブーメランを飛ばしていたね。
土手から見渡す風景の中に君を見つけ、ここから眺める景色から
君を見ていることが好きだったんだ。
まるで風景画の中に君がいるみたいだ。
君を見ているだけで僕の心は揺れ動かされている。
ハラハラしたりm、ドキドキしたり、僕の心は忙しく稼働している。
だけどね、僕はなかなか君に話しかけることが出来なかったね。
いつもタイミングを探し、チャンスを待っていた。
自分では行動を起こすこともできないくせに、誰かがキッカケを与えてくれると
思って、ただ君を見ているだけだった。存在感の無い僕に無関心の人ばかりで
そんな時だけ頼りにするなんて僕も矛盾している。
でも、そのチャンスは自然の流れに導かれるように突然やって来た―――ーーー。
「ヒューーーン」と、強い突風が吹いたその時だった。
冷たい風が頬を伝い髪が揺れ靡《なび》く。
彼女は思わずジャンプしたが、イタズラに風の流れが邪魔をし、
彼女はブーメランを取り損ねてしまった。彼女が飛ばしたブーメランは
風の流れによって僕の方へと飛んできた。
僕は両手を高く空に向かって振り上げる。気づくとブーメランは僕の手の中に入り、
ブーメランをキャッチしていた。
「わりィ」
彼女は僕の方に向って叫ぶ。
僕は彼女に向って思いっきりブーメランを飛ばした。
スカッとして、めちゃくちゃ気持ちよかった。
だけど、僕が放ったブーメランは彼女の前じゃなくて右へと逸れてしまった。
「あ…」と、思ったが、その瞬時に彼女は右へと反射的に移動した。
ガシッ。僕の瞳に彼女が映った時、彼女はブーメランを
キャッチしていた。
「どこ投げてんだよ、ヘタクソ(笑)」
そう言った彼女の顔は思いっきり笑っていた。
初めて見る彼女の笑顔だった――――ーーー。
「ごめーん(笑)」
気づくと、僕は笑って彼女の元へと駆け寄っていた。
『友達にならない?』
そんな言葉は彼女には必要がなかったんだと思った。
だって、友達は自然にできるものだから……
自然体で生きている空良にはそんな言葉は関係なかったんだね。
僕達には『友達』なんて言葉はいらなかった―――――ーーー。
僕が空良を友達だと思えば、もう、それは友達なんだ…と、思う。
ほんの些細な日常の中に一つだけ希望を見つけたーーー。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
愚者による愚行と愚策の結果……《完結》
アーエル
ファンタジー
その愚者は無知だった。
それが転落の始まり……ではなかった。
本当の愚者は誰だったのか。
誰を相手にしていたのか。
後悔は……してもし足りない。
全13話
☆他社でも公開します
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
溺愛兄様との死亡ルート回避録
初昔 茶ノ介
ファンタジー
魔術と独自の技術を組み合わせることで各国が発展する中、純粋な魔法技術で国を繁栄させてきた魔術大国『アリスティア王国』。魔術の実力で貴族位が与えられるこの国で五つの公爵家のうちの一つ、ヴァルモンド公爵家の長女ウィスティリアは世界でも稀有な治癒魔法適正を持っていた。
そのため、国からは特別扱いを受け、学園のクラスメイトも、唯一の兄妹である兄も、ウィステリアに近づくことはなかった。
そして、二十歳の冬。アリスティア王国をエウラノス帝国が襲撃。
大量の怪我人が出たが、ウィステリアの治癒の魔法のおかげで被害は抑えられていた。
戦争が始まり、連日治療院で人々を救うウィステリアの元に連れてこられたのは、話すことも少なくなった兄ユーリであった。
血に染まるユーリを治療している時、久しぶりに会話を交わす兄妹の元に帝国の魔術が被弾し、二人は命の危機に陥った。
「ウィス……俺の最愛の……妹。どうか……来世は幸せに……」
命を落とす直前、ユーリの本心を知ったウィステリアはたくさんの人と、そして小さな頃に仲が良かったはずの兄と交流をして、楽しい日々を送りたかったと後悔した。
体が冷たくなり、目をゆっくり閉じたウィステリアが次に目を開けた時、見覚えのある部屋の中で体が幼くなっていた。
ウィステリアは幼い過去に時間が戻ってしまったと気がつき、できなかったことを思いっきりやり、あの最悪の未来を回避するために奮闘するのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる