殺し屋が異世界転移してもやっぱり職業は変わらないみたいです

クレハ

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一章

10.幹部会議前の情報共有 デリーside

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デリーside

ロゼルとのいざこざがあってから数日たった。

この間ギャルとロゼルで集まって、事前にもう一人の幹部のゼレナにもリョカの事を説明しておいた方がいいだろうと言う話になったので正式に集まる幹部会議とは別に情報共有することになった。

「何だお前ら、急に呼び出して。何かあったのか?」

「突然で悪いな、ゼレナ。」

今日は俺の管理しているエリアの俺の部屋で4人集まっている。

「最近俺とギャルのエリアの境目付近にフラフラと現れたリョカって言うやつがいるんだ。」

「あー、何か最近噂になってるやつ?確かデリーとギャルの保護下においてるーって」

「ああ、そうだ。だからその境目辺りに丁度いい空き家があったのでそこに一応住んでもらってる。目の届く範囲にいて欲しいからな。」

「なんでお前らがそこまでするんだ?」

「簡潔に言うと、レビア様と同類の様な感じで...あ、流石に人食べたりはしないみたいなんだが、とにかくリョカと対峙すればその疑問は解決する。な、ギャル、ロゼル」

「ああ、あいつ...リョカはデリーを簡単にあしらってた。レビア様以外では負けなしだったデリーをだ。最初はリョカの何がヤバいのか分からなかったけど徐々に分かってきた。あの殺気もそうだけど自分の邪魔になる奴は何があっても排除する。そこに善も悪もない、そんな感じだ。」

「俺も...俺のエリアでルール違反をしたリョカを排除しようとしたんだが...俺のどんな攻撃も全てナイフ2本でいなされかわされ、逆に俺の方が気が付けば切り傷ばかりになっていた。向こうは遊んでやったって言ってたけど、多分本気でそう言ってたんだと思う。最後の方で今までの比じゃない圧を感じて死ぬかもと思った所でデリーが助けてくれた...。」

あの時ロゼルを助けることができたのは身体強化を使えたからだ、あと少し遅ければロゼルの体と首はさよならしてたかもしれない。

「えー、何その問題児、俺関わりたくないんだけど。」

そう言って嫌そうな顔をするゼレナ

「今日はそのリョカの素性調査の結果を話しておこうと思ってな、俺とギャルで調べた結果だ。」

「まあ、結果と言っても...な?デリー。」

「...そうだな」

俺とギャルは顔を見合わせる。

そんな俺達を不思議そうに見るロゼルとゼレナ。

「...何も情報が出てこなかったんだ」

「「は?」」

「まず、リョカが顔をフードで隠してるから顔は分からないんだが、俺とギャルがリョカと初めて会った時からの情報しか手に入らなかったんだ。」

「ありえない、デリーお前ちゃんと裏の奴等を使ったのか?」

ロゼルが至極真っ当な意見をしてくる。

「勿論だ、門の入場履歴も調べたがリョカなんて名前は存在しなかったしそれにプラス魔力登録もされた痕跡もなかった。」

そう言うと皆が沈黙する。

「まるで突然この王都の貧民街に現れたみたいじゃないか?」

少ししてゼレナがそうポツリと呟いた。

「実は俺とギャルが初めて会った時、闇魔法で傷を治してくれたんだ、これで貸し借りなしとか言って。あれは気持ち悪い見た目だったがまあそこは今置いておいて、可能性の一つとして闇魔法でここまで転移してきたと言うのも考えられる。」

「は?闇魔法ってそんなこと出来るのかよ」

そう言って俺に疑問をぶつけるロゼル。

「分からない、だが俺は闇魔法で怪我を治癒出来るなんて知らなかった。この前例がある以上知らないだけでもしかしたらそう言う魔法も闇魔法で出来るんじゃないかと思ったんだが」

「待て待て!そのリョカって奴は貴族なのか?」

と慌てた様子でゼレナが言う。

「いや、言いたい事はわかるがその線は薄いだろうな...俺とギャルもその路線でも調べてみたんだが闇魔法が使える貴族は限られていて生まれた子供を捨てたとか誘拐されたとかそう言った事案は無かったんだ。となると平民の可能性が高い。」 

「もうお手上げだよな、まったく。俺とデリーがこんなにも調べて何も出てこないならもう無理無理。」

ギャルがそう言って天を仰いだ。

「それにまだ問題がある」

「まだあるのかよ!?」

ゼレナが疲れた顔をした

「レビア様がリョカの事気に入ったみたいだ」

「...レビア様が?」

「ああ」

「リョカって奴を気に入った?」

「ああ、それだけで厄介だろ?ただでさえリョカの逆鱗がどこなのか分からないのに、その上レビア様のお気に入りのリョカがどんな目にあったらレビア様の逆鱗に触れるのか皆目見当もつかない。」

「そー言う事、俺達はいつ爆発するか分からない爆弾を2つ所持しているようなもんなんだよ!」

俺の言葉に続きギャルが諦めたかの様な調子で言う。

「そのリョカは冒険者か何かなのか?」

とゼレナが聞いてきたので俺は身分証の発行を頼んできたリョカを思い浮かべながら

「いや、身分証を持ってなかった、用意してくれと頼んできたくらいだから恐らく一般人だ。」

「いや、そんな殺しに特化したような一般人がいるのかよ」

とロゼルが言う。

「そのリョカは闇ギルドに所属させるのか?」

「問題はそこなんだよゼレナ。今俺もギャルも悩んでいる所だ、レビア様に一度聞いてみた方がいいかもしれないな」

「そもそも、俺たちが定めたルールに従ってくれるかも怪しいしな。」

ギャルが呆れ顔で言う。

「とにかくロゼルとゼレナの所にもリョカにちょっかいかけない様厳しく言っておいてくれないか?」

「ああ、分かった」

「そうするしかなさそうだな」

ロゼルとゼレナが疲れた様な顔で了承する

「まあ当分は俺とギャルの所で面倒見るからあまり心配はしないでくれ。そして次の幹部会議がある時に顔合わせ兼ねてリョカ連れて来るからよろしくな」

そう言って今回はここら辺で解散することになった。

ロゼルとゼレナが帰った後、俺とギャルだけがこの場に居る。

「デリー、胃薬まだあるか?最近疲れてるよな、大丈夫か?」

そう言って俺を心配して来るギャル。

「ギャルがキスの一つでもしてくれればこの疲れも無くなるんだけどなぁー?」

「んな!?ふざけんなバカ!」

いつもの様に顔を真っ赤にして怒って来るギャル

「怒るなギャル、冗談だって!」

「べべべ、別に...キスくらい俺にだって出来る!」

そう言って俺の胸ぐらを掴むと乱暴に俺に口付けをして来た。

「じ、じゃあな!馬鹿デリー!」

バタンと扉を閉めて走り去って行くギャル

「はぁーっ、俺のギャルが可愛すぎる」


end

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