殺し屋が異世界転移してもやっぱり職業は変わらないみたいです

クレハ

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二章

25.レビアと授業と模擬戦と

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キィィィーンッ!!

レビアが上段からまっすぐに振りかぶるその剣を両手に持っているナイフを交差して受け止める

すぐに弾き返すと今度は俺が体勢を今まで以上に低くしてレビアの懐に入り喉元を狙うとすぐに避けられ、ついでとばかりに剣で俺のナイフを弾き飛ばそうとする

そうくるか、ならばと思い俺はわざとナイフから力を抜き、落ちる場所を誘導し、キィンッ!と音を立てて飛んでゆくナイフを片手でまた握り直す。

そして休む暇を与えない様にナイフで攻撃を繰り出す

レビアも剣で俺の攻撃を器用に受け流している

そろそろ決着をつけるか

レビアも同じことを考えたのか一気に距離を詰めてきて俺の喉元に剣を寸止めするが俺もレビアの喉元に両手に持っているナイフを交差させて寸止めする

「はぁーい、引き分けですねーリョカ先生ありがとうございまーす。」

「ありがとうございますレビア先生」

生徒達の様子を見るとポカーンと口を開けて呆けていた。

「皆んなちゃんと模擬戦見てたかなー?今日の俺とリョカ先生の模擬戦のレポートを次の授業までに持って来ることー、じゃあ次はみんなの番でーす、剣を持って二人組になって模擬戦して下さーい」

レビアがそういうとやっと生徒達も我にかえったのか急いで二人組を組んで模擬戦をやり出した

するとレビアが生徒の名簿を見ながら恐らく異世界召喚された神子であろう生徒の所へと近づいた

「えーっと、君が今日からこの学園に入学って言ってた成瀬心(ナルセココロ)君だよねー?」

「はっ、はいっ!成瀬心です!心って呼んでください!」

ん?なんか顔が赤い...まさかレビアの事が好きなのか?

いや、判断するのはまだ早いか、単にイケメンに耐性がないだけかも。

それに出会ってすぐに好きにならないだろ、普通。

「はい、成瀬君ねー、君はまだ剣を握った事がないんだよねー?」

「そうです、僕、剣とか握った事がなくて...さっきまでレーリア君が教えてくれるって言ってたんですけど、リョカ先生がレーリア君を気絶させてしまったので...その、僕に教えてくれる人が居なくて...」

チラッ、チラッとレビアの方を見ながらモジモジとそう言う成瀬。

何か俺が悪いみたいな感じに聞こえるのは多分気のせい...だろう、多分。

「じゃあー、成瀬君は素振りでもしててくださいねー、アロール君が起きるまでー。そうだなぁー、素振りの仕方はリョカ先生が教えてあげてー」

「えっ!?あ、あのっ、レビア先生が教えてくれるんじゃっ...」

「成瀬君ー、俺の事を名前で呼ばない様にー、ユリアシス先生って呼ぶ様にしてねー?」

あ、これはレビアが怒ってる。

レビアのストレスが溜まらない内に俺が助け舟でも出すか。

「えっ!いや、でもっ!僕はーーー」

「成瀬君、私語は慎んで。素振りの仕方を教えるから」

するとなんとまあ分かりやすく敵意むき出しな事で。

「レビア先生は他の生徒を、こっちは任せてくれ」

「はーい、じゃあリョカ先生、成瀬君のことはよろしくねー」

そう言ってヒラヒラと手を振って他の生徒を見に行くレビア

「じゃあ成瀬君、まずは姿勢からだ」

そう言って成瀬に向き直って指示を出すとキッ!と親の仇でも見るかの様に俺を睨みつけてきた。

おぉ怖っ!

「...どうしてリョカ先生はユリアシス先生の事を名前で呼んでいるんですか」

え、何こいつキモいしウザい

「その話は今授業と関係があるのか?」 

すると成瀬がボソリと言う

「存在しないはずのモブのくせに」

はい、聞こえてまーす。

しかしこの発言...もしかしてこの世界ってただの異世界じゃない...?

“存在しないはずのモブ”...ねぇ

て事はこいつは俺は知らないがレビアの事は知っていると言うことか

もし俺のオタク知識があっているのであればこの世界はどこかのラノベの世界か漫画の世界かゲームの世界...

可能性は沢山ある

まぁ、これからも注意深くこいつの言動を見張っていれば何かまた分かるかも

今は授業だ

「さぁ、早く姿勢をただして、そう。そして剣の握り方はーーー」










「はーい!皆んな注目して下さーい!今日の実技の授業は終わりでーす、次の授業までにレポートもちゃんと書き上げて提出する様にー、以上、解散でーす」

レビアのその言葉で生徒達が剣を元の場所に戻し訓練所を後にする

ついぞ第二王子のレーリア・アロールは目を覚まさなかったので俺が第二王子を担ぎレビアが保健室まで案内してくれた。

第二王子を保健室に捨てていくとレビアがため息をつく

「はぁー、疲れたー!リョカお疲れ様ー、あの神子、成瀬心の相手途中で変わってくれてありがとうねー」

「ああ、レビアがキレそうだったからな」

「あれれー?俺そんなに分かりやすかったー?」

「いや。全然わからないが少しだけ殺気がもれたときがあった」

「えー!そんなのが分かるの多分リョカくらいだよー!」

そう言ってケラケラと笑うレビア

「俺の研究室ここー!ここで暫く待っててー、書類を少し片付けたら俺もすぐに帰れるからー」

「分かった。」

研究室を見渡すと本や資料の山だった

何だか落ち着く空間だな

そんな事を思いながら先程の言葉の意味を考える

俺は異世界転移、もしくは迷い込んでしまった“異物”な訳で、レビア達はもしかしたらメインに出て来るキャラクター?

いや、この世界、ユリアーデに居る人達は皆んな生きてるんだ

“キャラクター”だなんて考え方は良くない

ここがどこのラノベや漫画、ゲームの世界かだなんてどうでも良い。

俺はここで生きるしか道はないんだ。

「リョカー、お仕事終わったー!かーえーろー!」

「ああ、そうだな、“帰ろう”」

そう言って俺とレビアは貧民街へと向かった



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