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第13話 ドローン
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店主がたまを撫でていると、いつもの様に青年がやってくる。
ガラガラガラっ!
『おっさん!ドローン出してくれドローン、有るんだろドローン!』
入店と共に発した第一声がこれである。
『もちろん有るぞ』
と商品が取り出され、カウンターの上に置かれる。
…ドロンと書かれた巻物を…
それを見た青年が思わず呟く。
『· · ·何これ?どう使うんだ?』
それを聞いた店主がおもむろに巻物を口に咥え手で印を結ぶと……
ドロンと音と共に煙が噴き出し、店主の姿が消える、そして暫くした後にドロンと音共に煙が噴き出し店主が現れる。
思わず、
『お~!!』
パチパチパチと拍手をする青年。
店主ニヤニヤしながら、
『どうだ?すごいだろ』
と自慢げに言う。
『ああスゲーな · ·って、俺が欲しいのはドロンの巻物じゃなくてドローンだよ!!』
と呆れ顔の青年が。
『ラジコンヘリみたいなやつだよ』
店主はあぁ!!と手を打ち、
『あー、これか』
と言いながら取り出す· · ·そう、ラジコンヘリそのものを。
青年は店主に謝り、ドローンの形状を補足する。
『おっさん俺が悪かった、確かにラジコンヘリみたいなのとは言ったが、ラジコンヘリじゃ無いんだ。なんつうのか、合計4個の羽根(プロペラ)が四隅に1つずつ付いててだな、それらのお陰でラジコンヘリの様に飛ぶんだ』
店主はやっと納得したのか、
『ほうほう、こういったものか?』
とドローン風な物が取り出された
青年が嬉しそうに、
『そうそう、これこ· · ·れ?ん?』
疑問に思った青年が店主に問う。
『なあおっさん、1つ聞きたいんだがこの四隅に付いてるこれはなんだ?』
と指を差す。
店主はしれっと、
『何って羽(鳥の羽)だろう?』
青年は自らの想像道理だったらしい。
『うん、何となくわかってた』
ドローンらしきものには、羽根(プロペラ)ではなく羽(鳥の羽根)が付いていた。
青年は店主に確認。
『で、おっさんこれを遊ぶためのコントローラーはどこ?』
店主は答える。
『この眼鏡をかけて、頭で念じると思った通りに動くよ』
青年が眼鏡をかけて頭で念じるとドローン?に付いた羽が一斉に羽ばたきだし浮かび上がる、そのまま前進や後進、宙返りなど無音で飛行して思った通りの動きをする。
青年が呆れ顔で言う。
『相変わらず、凄いもんが出てくるな· · ·』
『いやぁ~それほどでも…』
と照れ顔の店主。
更に青年は突っ込む。
『いや、褒めてねぇよ、呆れてるんだよ· · ·まあいいや、おっさんこれいくらだ?』
店主はさらっと、
『35万でどうだ?』
青年が呟く。
『相変わらず値段もぶっ飛んでんな、この品質で通常のとそう大差無いのかよ』
暫く操作して満足したのか青年が
『よし、これ買うよ!』
と購入。
青年が操作に慣れるためにドローン?を飛ばせてるとガラガラガラっ…と小さい男の子を連れた父親が入ってきた。
『いらっしゃい、ゆっくり見ていってよ』
と決まり文句を言う店主。
男の子が目敏く青年の操作してるドローン?を見つけ、
『ねぇパパ、僕もあれが欲しい!』
と叫ぶ。
父親がドローンの値段を知ってるのか顔が引き攣る。
店主は男の子に、
『悪いけど坊や、あれと同じのはもう無いんだ· · ·それに遊ぶにはまだ早いかな?』
と言う。
男の子は諦められないのか、
『あれが欲しい、あれが欲しい~!』
と駄々をこねる。
店主が困り顔で、
『困ったな· · ·同じのは無いけどこれはどうだい?』
と通常の小型ドローンを取り出す。
男の子は顔を輝かせながら、
『これで良い!!』と言い、ドローンを掴んで走り回る。
父親が子供に、
『走ると危ないぞ!』
と注意し、店主に
『すみません、お幾らでしょう?』
と怖々聞く。
店主は答える。
『特別製なんで、少し高くて1万円だね、あのドローンは墜落しそうになると自動操縦に切り替わり着陸するし遠くへ離れすぎても自動で戻って来るから安心だよ?』
父親は
『仕方ないな…』
と言いつつ、少し高いが自分も遊べばいいかと考え購入する。
子供が、
『やったー!!』
と大はしゃぎしている。
支払いを済ませて立ち去る親子、そのやり取りを見てた青年が、
『色々と待て!!』
と叫ぶ。続けて
『おっさん…さっきのあの親子に売った商品はなんだ?』
と店主に詰め寄る。
店主は何食わぬ顔をして、
『ドローン』
とハッキリ言い切る。
青年が自分が購入したドローン?を差し出し
『じゃあこれは?』
店主は、
『ドロー· · ·ン?』
と自信無さげ。
青年は腹を立て、
『なんで疑問形なんだ?それに自分でもわからないようなものを客に売りつけるなよ!!』
と怒鳴る。
『しかも俺はドローンをくれと言ったよな?だったらあの冒頭のやり取りはなんだ?おっさんはいかにも知らないような感じで対応してたよな?これはいったいどういう事だ?』
と叫ぶ。
店主は笑いながら、
『いや~、兄ちゃんと遊んでると面白くてな』
と返答する。
青年は更に、
『それは良いとして、俺には35万で売り付けてあの親子のは1万円とはどういう事だ?しかも聞いてた話じゃ自動操縦もついてるそうじゃないか、返答次第では· · ·ねえ?わかってるよな?』
『あれは室内用のおもちゃだからな、しかしお前さんのは本格仕様で台風の中でも飛ばせるぞ、常連さんにしか売らない特別な物だしな』
と自慢げに言う店主。
青年は内心、”別に台風の中で飛ばす訳じゃ無いし、あの1万円のでも良かったんだけどな· · ·懐具合的にも…“と思いながら納得した様な顔をして、
『色々と疲れたから今日は帰るよ· · ·また来る』
と店を後にする青年。
店主が、
『ああ、待ってるよ』
と笑顔で言う。
あまり笑顔を見せない店主は、どうやら青年の事を特別に気に入ってるようだ。
ガラガラガラっ!
『おっさん!ドローン出してくれドローン、有るんだろドローン!』
入店と共に発した第一声がこれである。
『もちろん有るぞ』
と商品が取り出され、カウンターの上に置かれる。
…ドロンと書かれた巻物を…
それを見た青年が思わず呟く。
『· · ·何これ?どう使うんだ?』
それを聞いた店主がおもむろに巻物を口に咥え手で印を結ぶと……
ドロンと音と共に煙が噴き出し、店主の姿が消える、そして暫くした後にドロンと音共に煙が噴き出し店主が現れる。
思わず、
『お~!!』
パチパチパチと拍手をする青年。
店主ニヤニヤしながら、
『どうだ?すごいだろ』
と自慢げに言う。
『ああスゲーな · ·って、俺が欲しいのはドロンの巻物じゃなくてドローンだよ!!』
と呆れ顔の青年が。
『ラジコンヘリみたいなやつだよ』
店主はあぁ!!と手を打ち、
『あー、これか』
と言いながら取り出す· · ·そう、ラジコンヘリそのものを。
青年は店主に謝り、ドローンの形状を補足する。
『おっさん俺が悪かった、確かにラジコンヘリみたいなのとは言ったが、ラジコンヘリじゃ無いんだ。なんつうのか、合計4個の羽根(プロペラ)が四隅に1つずつ付いててだな、それらのお陰でラジコンヘリの様に飛ぶんだ』
店主はやっと納得したのか、
『ほうほう、こういったものか?』
とドローン風な物が取り出された
青年が嬉しそうに、
『そうそう、これこ· · ·れ?ん?』
疑問に思った青年が店主に問う。
『なあおっさん、1つ聞きたいんだがこの四隅に付いてるこれはなんだ?』
と指を差す。
店主はしれっと、
『何って羽(鳥の羽)だろう?』
青年は自らの想像道理だったらしい。
『うん、何となくわかってた』
ドローンらしきものには、羽根(プロペラ)ではなく羽(鳥の羽根)が付いていた。
青年は店主に確認。
『で、おっさんこれを遊ぶためのコントローラーはどこ?』
店主は答える。
『この眼鏡をかけて、頭で念じると思った通りに動くよ』
青年が眼鏡をかけて頭で念じるとドローン?に付いた羽が一斉に羽ばたきだし浮かび上がる、そのまま前進や後進、宙返りなど無音で飛行して思った通りの動きをする。
青年が呆れ顔で言う。
『相変わらず、凄いもんが出てくるな· · ·』
『いやぁ~それほどでも…』
と照れ顔の店主。
更に青年は突っ込む。
『いや、褒めてねぇよ、呆れてるんだよ· · ·まあいいや、おっさんこれいくらだ?』
店主はさらっと、
『35万でどうだ?』
青年が呟く。
『相変わらず値段もぶっ飛んでんな、この品質で通常のとそう大差無いのかよ』
暫く操作して満足したのか青年が
『よし、これ買うよ!』
と購入。
青年が操作に慣れるためにドローン?を飛ばせてるとガラガラガラっ…と小さい男の子を連れた父親が入ってきた。
『いらっしゃい、ゆっくり見ていってよ』
と決まり文句を言う店主。
男の子が目敏く青年の操作してるドローン?を見つけ、
『ねぇパパ、僕もあれが欲しい!』
と叫ぶ。
父親がドローンの値段を知ってるのか顔が引き攣る。
店主は男の子に、
『悪いけど坊や、あれと同じのはもう無いんだ· · ·それに遊ぶにはまだ早いかな?』
と言う。
男の子は諦められないのか、
『あれが欲しい、あれが欲しい~!』
と駄々をこねる。
店主が困り顔で、
『困ったな· · ·同じのは無いけどこれはどうだい?』
と通常の小型ドローンを取り出す。
男の子は顔を輝かせながら、
『これで良い!!』と言い、ドローンを掴んで走り回る。
父親が子供に、
『走ると危ないぞ!』
と注意し、店主に
『すみません、お幾らでしょう?』
と怖々聞く。
店主は答える。
『特別製なんで、少し高くて1万円だね、あのドローンは墜落しそうになると自動操縦に切り替わり着陸するし遠くへ離れすぎても自動で戻って来るから安心だよ?』
父親は
『仕方ないな…』
と言いつつ、少し高いが自分も遊べばいいかと考え購入する。
子供が、
『やったー!!』
と大はしゃぎしている。
支払いを済ませて立ち去る親子、そのやり取りを見てた青年が、
『色々と待て!!』
と叫ぶ。続けて
『おっさん…さっきのあの親子に売った商品はなんだ?』
と店主に詰め寄る。
店主は何食わぬ顔をして、
『ドローン』
とハッキリ言い切る。
青年が自分が購入したドローン?を差し出し
『じゃあこれは?』
店主は、
『ドロー· · ·ン?』
と自信無さげ。
青年は腹を立て、
『なんで疑問形なんだ?それに自分でもわからないようなものを客に売りつけるなよ!!』
と怒鳴る。
『しかも俺はドローンをくれと言ったよな?だったらあの冒頭のやり取りはなんだ?おっさんはいかにも知らないような感じで対応してたよな?これはいったいどういう事だ?』
と叫ぶ。
店主は笑いながら、
『いや~、兄ちゃんと遊んでると面白くてな』
と返答する。
青年は更に、
『それは良いとして、俺には35万で売り付けてあの親子のは1万円とはどういう事だ?しかも聞いてた話じゃ自動操縦もついてるそうじゃないか、返答次第では· · ·ねえ?わかってるよな?』
『あれは室内用のおもちゃだからな、しかしお前さんのは本格仕様で台風の中でも飛ばせるぞ、常連さんにしか売らない特別な物だしな』
と自慢げに言う店主。
青年は内心、”別に台風の中で飛ばす訳じゃ無いし、あの1万円のでも良かったんだけどな· · ·懐具合的にも…“と思いながら納得した様な顔をして、
『色々と疲れたから今日は帰るよ· · ·また来る』
と店を後にする青年。
店主が、
『ああ、待ってるよ』
と笑顔で言う。
あまり笑顔を見せない店主は、どうやら青年の事を特別に気に入ってるようだ。
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