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第39話 冬は鍋。
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やけに冷え込むある日の夕刻…ストーブの前でたまが寝ている。店主が気持ち良さそうに寝ているたまを撫でようかと立ち上がると、またこいつか…と思うかも知れないが、中村が何でも屋にやって来た。ガラガラガラっ!
『うぃーす!今日はやけに寒いな・・・って店主は温かそうだな』
店主はまた椅子に座り直して中村に問いかける。
『やあ、今日は何を買いに来たんだい?』
中村は手が冷たいのか手を擦り合わせながら話す。
『明日まで寒いみたいだから…今日と明日の夕飯を鍋にしようかと思ってな、伊集院に作って貰って…一緒に食べるんだぁ♡』
そんな中村を見かねて店主が声をかける。
『先にこっちへ来て、手と体を温めろ、で何がほしいんだ?』
店主の申し出に、ありがたそうにしながら中村は、たまを避けてストーブの近くに近寄る。
『おっさん助かるよ、で蟹が欲しいんだけど…タラバガニとズワイガニを出してくれよ』
すると店主はニヤリと笑い“ほらよ”と小さめの1つの発泡スチロールを取り出し、その中身を確認し、またいつものように怒りだす。
『おっさん、脚ばかりで胴体が一つも無いじゃないか!!いつもみたいに…立派なのを出してくれ、それとお裾分けに伊集院に家へもって帰らすから、それなりの量を頼むよ』
店主は小さめの発泡スチロールを引っ込めて、“これならどうだ”と代わりに両手を広げたくらいのサイズの発泡スチロールを取り出すと、中にはタラバガニとズワイガニがそれぞれ3匹ずつ入ってる。
中村が中を確認して今度は満足そうに言う。
『今度のはまるごと一匹だから立派だな!大きいし身も詰まってそうだし良いじゃないか、最初からこれを出してくれよ・・・って、おっさんいきなりなんだ?俺の手を掴んでいったいどうしたいんだ?』
店主が中村の手をガシッと掴みグググと引き寄せて蟹の方へと近付ていく。中村は一応抵抗はしているがどんどん引きずられて、中村の手が蟹の近くまで来ると爪が開かれここに来て必死で抵抗をはじめる。
『おい!!止めろおっさん、この蟹生きてるじゃないか!!止めろって、危ないだろ!!おいよせ、危ないから放せって!!おっさん、危ないって言ってんだろ!洒落にならないぞ!?』
店主は“チッ”と小さく舌打ちをして手を放すと、中村はやれやれといった感じで指を擦っている。
『ふ~危なかった、もう少しで蟹に指を挟まれる所だったぜ…
おっさん、生きてるのは危ないから死んだのに変えてくれよ』
店主は呆れた感じで“またかね”と呟いて別の発泡スチロールと入れ換える。
『これなら良いかね?』
店主の一言が許せなかったのか、中村が物凄い勢いで怒りだす。
『蟹はそれで良いけどな、またかねってなんだよおっさん!!蟹に挟まれたらどうするんだ、料理するのは俺じゃなくて伊集院なんだぞ!?ほんとにまったく…
それで値段は幾らだ?』
値段を問われ店主は答える。
『そうだな、6匹で3万だけど良いかね?』
中村は納得して次の注文をする。
『まあ、少し高いがそのサイズで一匹5000円と考えたら安いか・・・それで良いよ、でフグ鍋もするからトラフグも出してくれ』
店主は“トラフグ”だなと言い中サイズの発泡スチロールを取り出すと中村が、
『丸々と太ってて美味そうじゃ無いか!?たんまり脂肪を溜め込んでやがるぜ…
ってこれじゃなくて、キチンと調理がされてるのを出しくれよ』
店主はやれやれとした感じで言う。
『しかし…さっきは立派なのを出せと言ってたじゃ無いか』
その言葉に中村は反論する。
『いや、蟹はともかくフグは色々とマズイだろ、素人が捌くと法律的にもマズイし生命的にもマズイだろ!?それとも何か!?俺に死ねとでもいいたいのか!?』
店主は“そんな事は”と言い口をモゴモゴさせながら違う発泡スチロールと置き換えた。
中村は満足げに、
『それで良いんだよ、でこのフグの値段は?』
店主は値段を答える。
『フグは一匹で3万円だ、蟹と合わせて6万円だが良いか?』
中村は悩むが買うことに決める。
『流石にフグはこの大きさになると高いな、仕方ないそれで良いぜ』
支払いを済ませて店主が中村に問いかける。
『所でお前さん、それだけも買って持って帰れるのかね?』
と問いかけられると中村はニヤリと笑い小箱を取り出し、
『以前借りたこの箱が有るからな、便利だから暫く貸しておいてくれよ』
と言うと店主は、
『しょうがないな、でも必ず返せよ?それとその小箱は人前では絶対に使うんじゃないぞ!!』
忠告を受けた中村はそれに答えて更なる注文をする。
『あぁわかってるよ、それに言われなくとも人前で使えねぇっての!
あっそうだおっさん、ついでにホットココアも出してくれよ、こうも寒いと身体の芯から暖めないとな』
注文を受けた店主が、
『はいよ、300円だ』
と答えると中村が300円を取りだし支払いホットココアを受けとる。
中村がココアを啜りながらcafeスペースを見て店主に話しかける。
『cafeスペース寒そうだな、こう寒くなって来ると向こうもどうにかしないとならないんじゃ無いか?』
中村の問いかけに店主が返す。
『う~ん、そうだね…何とかしないとね』
ココアを飲み終えた中村が、
「さてと、身体も暖まったし帰るとするかな。」
と呟き、
『じゃあなおっさん!』
といつもの元気な声で残し帰っていった。
『うぃーす!今日はやけに寒いな・・・って店主は温かそうだな』
店主はまた椅子に座り直して中村に問いかける。
『やあ、今日は何を買いに来たんだい?』
中村は手が冷たいのか手を擦り合わせながら話す。
『明日まで寒いみたいだから…今日と明日の夕飯を鍋にしようかと思ってな、伊集院に作って貰って…一緒に食べるんだぁ♡』
そんな中村を見かねて店主が声をかける。
『先にこっちへ来て、手と体を温めろ、で何がほしいんだ?』
店主の申し出に、ありがたそうにしながら中村は、たまを避けてストーブの近くに近寄る。
『おっさん助かるよ、で蟹が欲しいんだけど…タラバガニとズワイガニを出してくれよ』
すると店主はニヤリと笑い“ほらよ”と小さめの1つの発泡スチロールを取り出し、その中身を確認し、またいつものように怒りだす。
『おっさん、脚ばかりで胴体が一つも無いじゃないか!!いつもみたいに…立派なのを出してくれ、それとお裾分けに伊集院に家へもって帰らすから、それなりの量を頼むよ』
店主は小さめの発泡スチロールを引っ込めて、“これならどうだ”と代わりに両手を広げたくらいのサイズの発泡スチロールを取り出すと、中にはタラバガニとズワイガニがそれぞれ3匹ずつ入ってる。
中村が中を確認して今度は満足そうに言う。
『今度のはまるごと一匹だから立派だな!大きいし身も詰まってそうだし良いじゃないか、最初からこれを出してくれよ・・・って、おっさんいきなりなんだ?俺の手を掴んでいったいどうしたいんだ?』
店主が中村の手をガシッと掴みグググと引き寄せて蟹の方へと近付ていく。中村は一応抵抗はしているがどんどん引きずられて、中村の手が蟹の近くまで来ると爪が開かれここに来て必死で抵抗をはじめる。
『おい!!止めろおっさん、この蟹生きてるじゃないか!!止めろって、危ないだろ!!おいよせ、危ないから放せって!!おっさん、危ないって言ってんだろ!洒落にならないぞ!?』
店主は“チッ”と小さく舌打ちをして手を放すと、中村はやれやれといった感じで指を擦っている。
『ふ~危なかった、もう少しで蟹に指を挟まれる所だったぜ…
おっさん、生きてるのは危ないから死んだのに変えてくれよ』
店主は呆れた感じで“またかね”と呟いて別の発泡スチロールと入れ換える。
『これなら良いかね?』
店主の一言が許せなかったのか、中村が物凄い勢いで怒りだす。
『蟹はそれで良いけどな、またかねってなんだよおっさん!!蟹に挟まれたらどうするんだ、料理するのは俺じゃなくて伊集院なんだぞ!?ほんとにまったく…
それで値段は幾らだ?』
値段を問われ店主は答える。
『そうだな、6匹で3万だけど良いかね?』
中村は納得して次の注文をする。
『まあ、少し高いがそのサイズで一匹5000円と考えたら安いか・・・それで良いよ、でフグ鍋もするからトラフグも出してくれ』
店主は“トラフグ”だなと言い中サイズの発泡スチロールを取り出すと中村が、
『丸々と太ってて美味そうじゃ無いか!?たんまり脂肪を溜め込んでやがるぜ…
ってこれじゃなくて、キチンと調理がされてるのを出しくれよ』
店主はやれやれとした感じで言う。
『しかし…さっきは立派なのを出せと言ってたじゃ無いか』
その言葉に中村は反論する。
『いや、蟹はともかくフグは色々とマズイだろ、素人が捌くと法律的にもマズイし生命的にもマズイだろ!?それとも何か!?俺に死ねとでもいいたいのか!?』
店主は“そんな事は”と言い口をモゴモゴさせながら違う発泡スチロールと置き換えた。
中村は満足げに、
『それで良いんだよ、でこのフグの値段は?』
店主は値段を答える。
『フグは一匹で3万円だ、蟹と合わせて6万円だが良いか?』
中村は悩むが買うことに決める。
『流石にフグはこの大きさになると高いな、仕方ないそれで良いぜ』
支払いを済ませて店主が中村に問いかける。
『所でお前さん、それだけも買って持って帰れるのかね?』
と問いかけられると中村はニヤリと笑い小箱を取り出し、
『以前借りたこの箱が有るからな、便利だから暫く貸しておいてくれよ』
と言うと店主は、
『しょうがないな、でも必ず返せよ?それとその小箱は人前では絶対に使うんじゃないぞ!!』
忠告を受けた中村はそれに答えて更なる注文をする。
『あぁわかってるよ、それに言われなくとも人前で使えねぇっての!
あっそうだおっさん、ついでにホットココアも出してくれよ、こうも寒いと身体の芯から暖めないとな』
注文を受けた店主が、
『はいよ、300円だ』
と答えると中村が300円を取りだし支払いホットココアを受けとる。
中村がココアを啜りながらcafeスペースを見て店主に話しかける。
『cafeスペース寒そうだな、こう寒くなって来ると向こうもどうにかしないとならないんじゃ無いか?』
中村の問いかけに店主が返す。
『う~ん、そうだね…何とかしないとね』
ココアを飲み終えた中村が、
「さてと、身体も暖まったし帰るとするかな。」
と呟き、
『じゃあなおっさん!』
といつもの元気な声で残し帰っていった。
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