何でも屋さん

みのる

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第45話 正月休みにやってきた可愛い子どもたち。

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正月も少し回ったある朝、会社員等は仕事がはじまったのか朝早くからスーツ姿で何でも屋の前を通りすぎて行く。
そんな大人達を横目に子供達はまだ冬休みなのか元気に走り回っている。

店内では、ストーブの前でたまが丸くなって居眠りをしており、店主もストーブの方へ向け頻繁に頷いている・・・と思ったら居眠りをしている。
ガラッガラッ!!ガラッガラッピシャッ!!っと引き戸が勢いよく開き閉まる。
店主が目を開き入り口の方を見ると、まだ20代前半くらいのOLが店主の元へと息を切らせながら近付いてくる。

『おや、お嬢ちゃん久しぶりだね、今日また寝過ごしたのかい?』

と言いながら、掌サイズくらいで紙で包まれた四角い箱と、蓋付きの紙コップに入ったホット珈琲をカウンターの上に置く。

若いOLは商品を受け取り800円を渡しながら、

『えぇ!久しぶりに寝過ごしちゃってね、朝御飯食べる暇が無いとき…この店は本当に助かるわ、欲しいものが直ぐに出てくるし、美味しいし毎日でも買いに来たいんだけどね』

と言うと続けて“じゃあまたね”と急いで出ていく。
OLが帰り暫くすると、また店主がウトウトと居眠りをはじめる。
店主がまた何度も頷いていると奥から、

『たま~!どこに居るんだい!?朝ごはんよ~』

とたまを呼びながら奥さんが出てて、ストーブの前で丸くなってるたまを見つける。

『おや、たまここで寝てたのかい?』

と言いながらたまを抱えあげようとし店主の方へと目を向けると、

『あらま、昨夜あんなに頑張るからだよ、ほんとにもう…♡』

と頬を染めながら言って、ハンテンと毛糸の帽子を取りだし帽子を被せてハンテンをソッと肩にかけるとたまの方へと振り返り、たまに近寄り抱えあげると“朝ごはんよ”と呟いて奥へと戻っていく。

しばらくうつらうつらと頷きながら寝ていた店主が目を覚まし時計を見ると、そろそろお昼を食べる時間なので少し早いけど奥へと入っていく。
暫くして食事を終えた店主が再び出て来ていつもの場所に座るがまた直ぐにうつらうつらと頷きだす。

店の外では相変わらず子供達が騒いでおり、その騒ぎ声が段々と近付いてくる“ここの店なら何でも欲しいの有るよ”とか“どうする?ここにする?”とか“こんな小さな店に無いよ“等と子供達が大きな声で話している。
暫く話し声が続いた後、ガラガラガラっ!と引き戸が開き子供達が入ってくる。
店主が目を開き、

『やぁいらしゃい、何が欲しいのかね?』

と子供達ににこやかに声をかける。

すると子供達が口々に話し出す。

『おっちゃん、凧上げ用の凧は有る?』『俺はブイブレード!』『わたちはジュリーちゃん人形!』

店主は何とか聞き取れた様で、

『え~と…凧とブイブレードとジュリーちゃん人形だね、凧は1000円、ブイブレードは800円、ジュリーちゃん人形は3000円だよ』

と値段を教える。
子供達がカウンターのお金を置いて商品を持って走り去ると入れ替わるようにまた別の子供達が入って来た。
子供達が声を揃えて、

『おじさん、お菓子くださいな』

と言う。
店主はいつものセリフを言う前にお菓子を欲しいと言われてガクッとなりながらも“どれが良い?”と駄菓子を取り出し、子供達の前に差し出す。
子供達がどれにしようかとお菓子を持ち替えて悩んでいると、ガラガラガラっ!と引き戸が開き、高校生位の男の子が入ってきた。

店主が大慌てで、

『やぁいらっしゃい、ゆっくり見てってよ』

といつも台詞を言って満足気である。

男子高生はショーケースの方をキョロキョロと見ていたが、店主の方へ顔を向け、

『すみません、サンテンドーボタン無いですか?』

ボタンが有るか聞かれ店主は、

『サンテンドーボタンならもちろん有るよ、値段は33000円だね』

と取り出しカウンターの上に置く。

男子高生は取り出された商品を見て驚き喜ぶ。

『これってクリスマス前に発売された限定モデルじゃ無いですか!?どこの店も予約完売した筈なのに…ここに有るなんてラッキーです!』

財布からお金を取り出し支払いを済ませるとニコニコ顔で帰って行った。

店主が子供達に話しかける。

『君たち、どれを買うか決まったかい?』

子供達は相談した後、

『ポテトチップスとパッキーとローチュウと、後はえ~と板チョコとサンレフト、サットソット家族袋をください!』

店主は言われたお菓子の計算をはじめる。

『ポテトチップス、パッキー、ローチュウ、板チョコが100円、サンレフトは150円、サットソット家族袋は300円で850円だな』

と言って袋に入れる。

子供達皆で出し合った850円をカウンターの上に置き、1人の子がお菓子入りの袋を持ってワイワイ言いながら帰って行った。

日が暮れるのも早くなっており、外はすっかりと薄暗くなってきていた。
店主は外を見て、時間はまだ少し早いけどそろそろ店じまいでもしようかなと思うのであった。
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