何でも屋さん

みのる

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第46話 何でも屋、閉店!?※

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日がだいぶ傾いた頃に中村が何でも屋へと急いでいた。

「もっとはやくに来るつもりが…すっかり遅くなっちまったぜ」

等と言ってるうちに何でも屋が見えてきて入口へとたどり着く。
ガラガラガラっ!!と引き戸を開け中に入ると、大抵の店で閉店間際に流れるメロディーが聞こえて来た。

『なんだもう閉店か・・・って、入って来た俺の顔を確認してからBGM流しはじめた・・・と言うか口笛を吹き始めたよな!?・・・BGM無いのかよ?
それよりもこの店閉店時間って決まって無かったよな?俺への新手の嫌がらせか?
突っ込み所が多すぎて呆れるぜ、ほんとにまったく…』

と中村が呆れ気味に一気にまくし立てる。

店主が“チッ”と小さく舌打ちをして口をモゴモゴさせながら、

『なんだバレてたのか、そろそろ店を閉めようかなと思ってたからね』

と店主は言うが、もちろんながら中村は聞き逃していなかった。

『あからさま過ぎて直ぐにわかるってーの、それに店を閉めようと思ったとしても…閉店時間は決まって無いんだから、客が来た時点で開けとけよ!
で、そんなこたぁ別にどうでも良いんだよ、それよりもまた舌打ちをしたよな!?聴き逃して貰えると思ったかおっさん?客に向かって舌打ちするとはいったいどう言うつもりなんだ?ほんとにまったく、親の顔を見てみたいぜ!!』

とかなりのご立腹である。
すると店主は無言で1枚の写真を取り出し差し出した。
中村は写真を差し出されたので不思議に思い店主に尋ねる。

『ん?なんだおっさんその写真は?』

すると店主はニヤニヤ笑いながら

『親の写真だ、お前さん見てみたいって言っただろ?』

と答えると中村は呆れ顔で答える。

『別に見たくは無いっての、あれは物の例えだ』

すると店主は話しを変え、

『そんな事より今日は何を買いに来たのかね?』

と中村に尋ねる。

中村はやれやれといった感じで話し始める。

『そんな事って・・・まあいいや、実はそろそろ伊集院にプロボーズしようと思ってな。それで指輪を買いに来たわけさ、で20万くらいで良い指輪は有るかな?』

話しを聞き終えた店主は“遂に結婚する気になったのかね”と言いながら頬をほころばせ指輪を取り出してゆく。

『そうだねぇ、先ずは1つ目だけど少し小さめのダイヤモンドだけど周りにルビーがあしらわれていて花柄になっているんだ、2つ目はシンプルに大きめのダイヤモンド1つだけの物、3つ目は
少し小さめのダイヤモンドと両サイドに小粒のダイヤモンドが2個ずつあしらわれている物とで3種類有るけど、どれが良いかね?どれも20万円だよ』

3種類の指輪を目の前にして悩む中村は、

『相変わらずの何でも屋規格で値段以上の品だな、どれも良い品から悩むな・・・う~んそうだな、このダイヤが5つのやつをくれ』

と財布から20万を取り出し支払いをする。

お金を受け取った店主は、

『はいよお待たせ、上手くいくと良いね』

とケース入りの指輪を渡す。指輪を受け取った中村が、

『あぁそう願いたいよ、今からドキドキするぜ・・・先ずは伊集院にOKを貰わないとダメなんだが、OKもらったら貰ったで向こうの両親にも挨拶しなきゃいけないし、挨拶なんていったいどうすりゃ良いんだよ…!』

と頭を抱える中村。

店主は能天気に笑う。

『そればかりはしょうがないね、ははははは!』

中村はムッとしたような顔になり、

『人事だと思いやがって、俺にとっちゃ笑い事じゃないんだぜ?ほんとにまったく…』

店主と中村がしばらく談笑してると奥の部屋から奥さんが出て来て、

『おやま中村さんいらっしゃい、あんたそろそろ閉店にしようかねぇ?』

と言うと入り口の方と行き閉店の看板を外へ出して戻ってきた。
ので店主が話しかけた。

『青年が遂にお嬢ちゃんにプロポーズするんだって』

すると奥さんはニタ~っと笑い、

『そうかい!遂に結婚を申し込むのかねぇ?』

と自分の事のように嬉しそうである。

中村は照れくさそうにしながら返す。

『まあ、伊集院が受けてくれるかわからないけどな・・・さてと、すっかり暗くなってしまったしもう帰るよ』

そう言うと中村は帰って行った。

店主が奥さんに“上手くいくと良いね”と話しかけると奥さんは“そうだねぇ”と言って奥の部屋へ入って行った。
それに続いて店主も店の戸締りと消灯を済ませて奥へと入っていった。

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