新☆何でも屋

みのる

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携帯を所持するようになった元・店主

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新製品の相談から2日後、商品の値段の打ち合わせと称して留守番を奥さんに押し付けて抜け出して来た店主中村は、元店主と共に近くの喫茶店へと歩を進めていた。

道中近所の人達に会い、「こんにちは」等と挨拶などしながら進んで行く。
『おや、元店主と若店主2人!お揃いでどこへ行くんだい?』
『近所の喫茶店までね。』

『あら、何でも屋の店主じゃないの。いい所で会ったよ、近々饅頭を買いに行くから少しは勉強しておくれよ!?』
『あぁわかったよ、がめついババアめ。』

『こんにちは、いいお天気ですね?』
『こんにちは、すっかり暑くなりましたな。』

『よぉ何でも屋、お前とこに電動ドリルは置いてるか?』
『うちは何でも屋だから無いものは無いって何回も言ってるだろ?いい加減に覚えてくれよ、ほんとにまったく…』

しばらく歩いていると前から20代前半位の可愛い女の子2人組が歩いて来て、お互い「こんにちは」と挨拶をしてすれ違った所でブバッ、ブビビビビビ~と放屁の音が鳴り響く。
店主中村は自分と思われてら大変だと思い直ぐに言い放つ。
『おっさん、こんな所で屁をこくなよ!』

『いや~すまんすまん、私じゃ無くてこれだよ。』
とポケットから携帯を取り出す、またブバッ、ブビビビビビ~と鳴って元店主が電話に出る
『もしもし、どうしたんだい?
え?米畑コーヒーで豆菓子とチキンカツサンドを買ってきてくれだって?わかったよじゃあね。』
電話を切りポケットへ携帯をしまう元店主。

『携帯の呼出音かよ、そんな音で恥ずかしくないのか?』

『面白いだろ?それに他の人の携帯の呼び出し音と重なる事も無いからややこしくないからね。』

『確かに間違う事は無いけどさ・・・まあおっさんが良いなら別に良いけど・・・』


一方すれ違った女性達は
『何あの人!?自分がオナラしたのに隣のおじさんに押し付けて酷い人!!』
『ほんと最低!!』
『ああいう人とは付き合いたく無いわね!?』
『ほんとそれ!!』
等と散々な言われようである。黙っていれば2分の1の確率で免れたのに即苦情を言うものだから、オナラをしたのが店主中村だった事にされ逆効果で有った。


米畑コーヒーへ着いた店主達は席に着き注文をする。
『私はアイスコーヒーとホットドッグ、それと持ち帰りでチキンカツサンドと豆菓子の大袋2つずつお願いするよ。』

『俺はイチゴクリームソーダとカツサンド・・・それと米畑コーヒー特製プリン、以上!』
注文を終え、すかさず店員が復唱をはじめる。
『アイスコーヒー1つ、ホットドッグ1つ、イチゴクリームソーダ1つ、カツサンド1つ、特製プリン1つ、お持ち帰りでチキンカツサンド2つ、豆菓子の大袋を2つ、以上でよろしいでしょうか?』

『はい。』

『少々おまちくださいませ。』
と言い残し立ち去る店員。

『で本題だけどおっさん、値段はどうしたらいいと思う?』

『う~んそうだね、タイガーボールとレーダーのセットは25万、神虎シェンフゥの置物は8000円、ハカルダーは2万7800円と言ったところかな?』

『やっぱ品質を考えるとそのくらいするか・・・』

『他にも追加でボールスーパーで出来たタイガーボールなんかどうかね?
これならお前さんでも簡単に取り出せるし、1つ100円くらいで売れるから手頃なんじゃ無いのか?』

『そうかその手が有ったか!!』
と、ここで注文した品がやって来た。

『お待たせしました、お持ち帰りの方はお会計の時にお渡ししますね、以上でよろしいでしょうか?』

『はい。』

『ではごゆっくりどうぞ。』
店員が立ち去る。

『まずは食べようじゃないか。』
と言うと元店主が食べ始め、店主中村もそうだなと同意して食べ始める。

食事を終えしばらく休憩してまた話し始める。
『そうそう、鉛筆バトルなんかもどうだ?』

『その鉛筆バトルって何だよ?』

『なんだお前さん知らないのか?
(鉛筆バトルを知らない店主中村の為に見本に鉛筆バトルを1本取り出す)
この様に鉛筆の各面に技とかの名前が書かれていて、この鉛筆をこの様に転がしてでた指示に従って遊ぶんだよ。』

『へ~…こんな鉛筆があったんだな、鉛筆も安いし良いかも知れないな。』

話も着々と進みそろそろ帰るかと会計を済ませ帰路につく2人。
『確かお前さんの奥さんも、うちのと同じでチキンカツ好きだっただろ?この豆菓子1袋と一緒に持って帰ってやれ。』

『おっさんすまないな、本来なら頼み事をしてる俺が奢らなけりゃならないのに奢ってもらったうえに土産まで貰っちまって。』

『なぁに構わんよ、お前さんら夫婦とは付き合いも長く私の弟夫婦みたいなもんだし、うちのもお前さんら夫婦を気にいってるみたいだしな。』

『おっさんらがそんな風に思ってくれてたなんてちっとも知らなかったぜ、俺ァ嬉しいぜ…これからも宜しくなおっさん!』

『あぁ、じゃあまたな。』
と何でも屋付近で別れる2人。

『ただいま~、まい帰ったぞ!』

『あら、おかえりなさい ♪』

『今日店番押し付けて悪かったな、それとほら!まいへの土産のチキンカツサンドと豆菓子だ、おっさんが持っていってやれと買ってくれてたんだよ!』

『まぁ、店主さん私の好物知っていたのですね。』

『まいが店主の奥さんと同じものが好きだから覚えてたらしいよ。』
店主中村が帰宅し元店主が中村奥さんにお土産を買ってくれてた事を伝え渡すと、自分の好物を知っていてくれた事を嬉しいく思う中村奥さんであった。

『それよりも店主さんにお会計を払わせたの?お金渡してたでしょう?ほんとにもう!』

『いや、そ、それはおっさんが払わせてくれなかったんだよ…』

『奥さんにお礼言っとかないと・・・それとアナタ、渡したお金返しなさいよ!?』

『わ、わかったよ・・・』
渡しておいたお金は使ってないから返せと迫る奥さんに渋々返金する店主中村、少し残念そうだ。

『それよりもせっかく買ってくれたんだから食べたら?』

『そうしようかしら?』
中村奥さんがケースを開くと散々食ったはずの店主中村がチキンカツサンドを一切れ奪い取る。
『まい~、全部食べきれないだろ!?俺が1つ食ってやるよ!』
なんとも卑しいやつだ。

『あっ!!アナタ食べて来たんでしょう⁉人の物まで盗らないでよ!?ほんとにもう・・・』

一方家に帰った元店主は玄関で待ち構えて居た奥さんに一息つく間も無く奪い取られる。
『ただい『アンタ、私のチキンカツサンドを早くおだし!』ま・・・』

『はいよ、そんなに急かさなくても逃げはしないよ・・・』

『イーヒヒヒ!これこれ、これが美味しいのよ!』
もはや元店主の言うことなど聞いておらず、涎を垂らしながらチキンカツサンドに食らいつく元店主奥さん、当然ながら元店主には一切れも譲らないのである。


今日も平穏な1日が過ぎて行くのであった。
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