新☆何でも屋

みのる

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豪華列車でレッツゴー☆

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店主中村は気を取り直してそれぞれのテーブルに置かれた本日の御品書きに目を通した。
まいがさり気に口添えする。
『今日のランチはフランス料理らしいわよ?』

ほぉ、フランス料理……?店主中村のお耳がぴくぴく。

遂に発車を始めた豪華列車「よいどれものがたり」。普通の列車と比べてその速度の緩やかな事⁉️
『なんだぁ!この列車、随分とおせぇぞ?』
文句タラタラな店主中村にまた、恥をかくまい。
『観光列車なんだから当たり前よ!(恥)』


列車の中を軽快な音楽が広がり…まつかわの街を離れゆく。次第に半都会のゴミゴミした景観から田や畑等の緑いっぱいな景色に変わってゆく。

………を見るまでもなく、店主中村は御品書きに夢中である。
『芋のポタージュだって!鴨に……牛さん♪♪(ワクワク)』
既に中村のこころは食事の事でいっぱいである。(チーン……)
そんな中村にとりあえず、
『ホラ、アナタ?海が見えて来たわよ?残念ながら今日のお天気は良くないけども……』
景色を楽しむ事を勧めてはみるが、……まぁ奴には聞こえてはいないだろうな。


そんな中、いよいよご待望の!ランチ登場♪まずは芋のポタージュが厳かに姿を現す。
まいは静かにスプーンで掬いいただくのだが、中村は………まぁ、言うまでもないだろう。(呆)

ずぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおっ!

カップにダイレクトに口をつけ、ひとのみである。
本当に良いところの坊ちゃんなのであろうか?

このよいどれものがたりはこの地方ではちょっと有名な列車であり、至る所で人々のあたたかい歓迎を受ける。
歓迎のことばを記した大きなカードを掲げて駅で待っていてくれたり。その方法は場所によりさまざまである。
 

雲のかかる海を眺めながら、いよいよメインである。
海の幸、山の幸をふんだんに使用された美味しい弁当箱方式のランチ♪
『見た目も美しいし……きっといただいたらもっと美味しいわよ?』
隣の席の中村にふと目をやると……来た瞬間に手をつけてる………(滝汗)
『うめ~、うめぇよ~(大号泣)』

更にまいの反対側の席のデカい唇のネェヤンは、付け合わせの葉っぱ(おそらくバクチー)を食らって悶絶していた。
まいと中村は昔からこういうクセの強い葉物を食べて過ごしてきたから余裕である。

瞬時と完食してしまった中村に『お暇な時間』が出来てしまった。
どうやら、全ての人が食べ終わらないとデザートに辿り着けないパターンらしい。
ゆっくりと景色と食事を堪能しているまいに、怪しい影が忍び寄る。

『まい~!お前の肉を寄越しやがれ~~~っ‼』
『きゃあぁぁぁっ‼‼‼』
魚が1番美味であったのだが、(ある人の好み)やはりそこは「肉食系男子(?)」の中村。まいの分の肉を全て横取りしたのであった………

こうして和やかに(?)昼食を済ませ、まったりしているところで列車はひとつの駅に停まった。
かの有名な"左灘駅"である。

『お、降りていいのか?よし、降りるぞ♪まい。』
何故か嬉しそうな中村。とそれを怪訝な表情で見るまい。
そして中村の密やかなる期待は見事裏切られる。

『…………ココの景色は!それはそれは絶景で有名では無かったのか⁉️⁉️』
そして項垂れる中村。呆れて物も言えないまいは中村に足りない言葉を補う。
『此処はで有名なところなのよ?常に綺麗な訳ではないわ。』
非常に残念な事に、普段は普通の駅である。短い時間はあっちゅーまに過ぎて、列車の発車時刻になった。

それから目の前に広がる壮大な海原が視界を流れてゆき、次には大きな川が見えてきた。
デザートの珈琲を口にしながらまいは呟く。
「なんて……大きな川……」

ンが~~~~~ッッッ‼‼
ンご~~~~~ッッッ‼‼

嫌な予感しかしないまい。隣に目を向けると、まぁ……想定通りの展開に。(合掌)

デザートの珈琲に砂糖3杯、ミルク3つを颯爽と投入し……その熱さにも構わずに即座に飲み干して(何故か)爆睡する中村の姿であった。

結果、ふたりでやって来たのにまいひとりで楽しむ事となったよいどれものがたり。
太郎駅に差し掛かると、またもや地元住民の歓迎を受ける。
サンタのコスプレをした住民や、その地域の名物(?)イノシシのコスプレをしたおじいさん、さまざまである。
此処でひとつ、まいは感じた。
"私達が住んでいるまつかわはまだ、若い人が溢れてるけど……まつかわを離れるとだんだん高齢化が目につくわね……"

ンが~~~~~ッッッ!
ンご~~~~~ッッッ!

………中村は相変わらずである。

列車から高く遠くにそびえる城からも歓迎の旗が振られている。列車を見つけた通行人も手を振ってくる。
よいどれものがたりとは、如何に地域に密着している列車なのであろうか?

美味しかった……ゴホンっ!楽しい旅も終盤に入る。
ラストから2駅前の辺りで、労働中のガソリンスタンドの兄ちゃんやその客からも。更には付近に在住の地元住民からも熱烈な歓迎を受ける。

それを目にしたデカい唇のネェヤンは感極まり、その目から光るモノを落としたとかなんとか。


こうして楽しい列車の旅は幕を閉じた。終点から往復でよいどれものがたりに乗るチケットは手に出来ていない故に、そこからはバスでまつかわまで帰る羽目になる中村夫婦。

よいどれものがたりの窓際では地元マスコットゆるキャラみきゅんが優しく微笑みながら客人を眺めていた。
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