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第3部 群雄割拠編
第30話 就任!リョフ部長?
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中央校舎東部付近・校庭~
エンジュツ自ら率いる大部隊とリュービ軍が戦闘を開始していた。
「リュービ軍を倒しなさい!全軍突撃!」
「大変ですエンジュツ様、後ろからカンウの部隊です!」
「なんですってチョウクン!
くー、全軍撤退!」
「むー、リュービと戦えばカンウが、カンウと戦えばリュービが襲ってきますわ!」
「すばしっこくてすぐ逃げられますしね。敵は被害を最小限に押さえて我が軍を徐々に消耗させる作戦なんでしょう」
「もーつまらない!せっかくたくさん家来連れてきたのに!」
「この辺りは環境観察用の森林地帯、大軍の移動が困難な上に、小部隊は隠れやすいですし。何とか対抗策を講じないと」
中央校舎東部付近・高台~
「兄さん、我が軍の方が優勢です」
「しかし、敵の数は俺達の三倍くらい多い。このままでは押しきられてしまうかも知れない」
「そろそろ敵も諦めて帰ってくれるといいんですが」
「アニキ…カン姉…」
俺とカンウが話をしていると、文芸部に残ったはずのチョーヒが今にも泣きそうな顔で現れた。
「チョーヒ!なんでここにいるんだ!」
「ごめんアニキ…部室リョフに取られちまった…守れなかった…ごめん…ごめんよ…」
「チョーヒ、落ち着け。
ゆっくりでいい、何があったか教えてくれないか」
チョーヒは少しずつ落ち着きを取り戻していき、文芸部で起きた顛末を語ってくれた。
「そうか…ソウヒョウがリョフと組んだか」
「ごめんアニキ…」
「いや、チョーヒが謝ることじゃない。
これはソウヒョウのことまで気が回らなかった俺の落ち度だ。たまたま今反乱を起こしたが、例え今じゃなくても、いずれ対立することになっただろう」
「でもアニキ、オレが短気を起こしたせいで!」
「俺だってお前だって完璧じゃない。だから俺達は兄妹になったんじゃないか」
「そうです、互いの欠点を補うために私達がいるんです」
「うう…アニキ…カン姉…」
チョーヒは俺に抱きついて、顔を埋めながら泣きじゃくった。
「よしよし…
こうなった以上は仕方がない。ここは退却しよう」
「兄さん、退却と言ってもどこか行く宛があるのですか?」
「リョフのところに行こうと思う」
「リョフですか?しかしリョフは部室を乗っ取った張本人ですよ」
「このまま逃げればエンジュツとリョフの挟み撃ちにあうかもしれない。それならばいっそ投降した方がいい。
それにリョフは妹をしつけるのは姉の役目だと言っていたようだ。まだ俺を弟だと思っているのなら賭けてみる価値はある」
「しかし…
わかりました。他に行き場もないですし、リョフのところに行きましょう」
校庭にエンジュツの甲高い声が響く。
「遂にリョフから連絡がきたわ!これでリュービは孤立無援よ!全力で叩き潰しなさい!」
どうやら文芸部陥落はエンジュツの知るところとなったようだ。全軍を上げて俺達の部隊へ攻撃を開始した。
「全軍、後退!」
「行きなさいお前達!今までの恨みを晴らしなさい!」
「エンジュツ様、後ろよりまたカンウ軍です!」
「バカね。同じ手に何度も引っ掛かりはしないわ!チョウクン、伏兵に合図を送ってカンウ軍を防がせなさい!」
茂みよりカンウ小隊の倍近い人数のエンジュツ軍が現れ、その進行を妨害した。
「ふふふふふ、これでカンウ軍は封じたわ!さあ、今のうちにリュービ本隊を潰しなさい!」
「エンジュツ様!今度は左翼からチョーヒ軍です!」
「なんですって!」
「おらおらどけどけ!今日のオレは機嫌が悪いぜ!」
怒りを爆発させたチョーヒの前に、エンジュツ軍の生徒達は為す術もなく叩き潰されていった。
「わわわ、まだいるなんて聞いてないわよ!撤退!撤退!」
「何処だエンジュツ!何処にいやがる!」
「チョーヒ、もういいわ、帰りますよ」
「チ、命拾いしたな」
大暴れするチョーヒに恐れをなしたエンジュツは校庭の隅まで逃亡した。
「ふー、ここまでは追ってこないみたいね。なんでリョフが援軍率いて出てこないのよ!どうなってんの!
電話にも出ないし、リュービを裏切ったっての嘘じゃないでしょーね!」
「でもエンジュツ様、リュービ軍が完全に撤退したようですよ」
「え?じゃあリョフの裏切りは本当なの?なんでリョフは出てこないの?」
「もしかしたら出撃が遅れているだけかも知れませんよ?」
「んー、ならいいわ、キレイ!」
腰近くまである長い髪に、メイド服の上から胸部と肩に防具を装着した少女・キレイが、エンジュツの声に応えて前に出てきた。
「キレイ、貴女に一軍を預けるわ。リュービを追撃して、リョフと挟み撃ちにしてやりなさい!」
「はい、わかりました!」
文芸部・部室~
エンジュツからの援軍催促にチンキュウは焦っていた。
「リョフ様、早くリュービを追いましょう。今ならリュービを倒すことができます!」
「何故…姉が…弟を…倒す…の…?」
「姉弟といってもお遊びじゃないですか」
「遊び…じゃない…リュービ…私の…弟…そのうち…帰って…くる…」
話の通じぬリョフにチンキュウは困惑した。
(困った、このままリョフを動かせなければエンジュツとの密約が果たせない。みすみすリュービを逃がしてしまう)
その時、チョーリョーが部室に駆け込んできた。
「リョフ様、リュービ殿が戻られました」
「戻ってきた?そんなバカな!」
「ほら…な…」
リョフはニコリと笑うと、リュービを出迎えに部室を後にした。
「ただいま、リョフ姉さん」
「おか…えり…リュービ…私の…弟…」
一か八かの賭けだった。だが、俺は賭けに勝ったようだ。微笑んで出迎えてくれたリョフを見て、ようやく俺は胸を撫で下ろした。
傍らのチンキュウは歯を食い縛りながら、こちらを睨み付けている。
「なんとあざといことを…リュービがここまで堂々とやって来るとは…」
そこに、リョフの部下であろう顔に傷のある、ガタイのいい男子生徒が入ってきた。
「リョフ様、エンジュツの一隊がこちらに向かってきております」
「なぜ…?」
リョフは不思議そうな顔を、その報告者に返した。
「リョフ姉さん、おそらく敵は俺を捕まえに来たのでしょう」
「わかった…リュービ…来い…」
「はい」
「アニキ!」
リョフについて行こうとする俺を不安そうな顔でチョーヒが呼び止めた。
「大丈夫だ、任せろ」
何の根拠もない。だが、俺は賭けに勝った。
そう信じて俺は、リョフと共に外のエンジュツ軍の前に出ていった。
外には鎧メイド服の女生徒が部隊を率いて俺達を待ち構えていた。
「おお、リョフ殿、リュービを捕らえていただけましたか。
私はエンジュツ軍のキレイ。そのリュービをこちらに引き渡していただきたい」
「断…る…リュービは…私の…弟…だ!」
「それでは約束が違うではないですか!」
「約束…知らない…このまま…帰れ…さも…なく…ば…私が…お前を…倒す!私の…平穏…を…乱す…な…」
「なんと…リョフでは相手が悪い。わかりました、この場は引きます。
しかし、エンジュツ様を裏切ったことゆめゆめお忘れなきよう!」
キレイは部隊を率いて、おとなしく退散してくれた。
「リュービ…戻ろう…文芸部を…返すよ…」
「いえ、姉さん。俺の代わりに文芸部の部長になってくれませんか?」
「いい…のか…?」
「はい、今回の一件でまだまだ自分が力不足だと認識しました。姉さんに文芸部の部長をお願いしたい」
「わかっ…た…私…部長…リュービ…弟…私を…補佐…しろ…」
「はい、姉さん、わかりました」
俺達をやりとりを顔をひきつらせながら見ていた男が一人いた。リョフの参謀・チンキュウだ。
「リュービめ!小物だと侮っていたが、どうやらとんだ食わせ者のようだ。これは認識を改めねばなるまい」
エンジュツ自ら率いる大部隊とリュービ軍が戦闘を開始していた。
「リュービ軍を倒しなさい!全軍突撃!」
「大変ですエンジュツ様、後ろからカンウの部隊です!」
「なんですってチョウクン!
くー、全軍撤退!」
「むー、リュービと戦えばカンウが、カンウと戦えばリュービが襲ってきますわ!」
「すばしっこくてすぐ逃げられますしね。敵は被害を最小限に押さえて我が軍を徐々に消耗させる作戦なんでしょう」
「もーつまらない!せっかくたくさん家来連れてきたのに!」
「この辺りは環境観察用の森林地帯、大軍の移動が困難な上に、小部隊は隠れやすいですし。何とか対抗策を講じないと」
中央校舎東部付近・高台~
「兄さん、我が軍の方が優勢です」
「しかし、敵の数は俺達の三倍くらい多い。このままでは押しきられてしまうかも知れない」
「そろそろ敵も諦めて帰ってくれるといいんですが」
「アニキ…カン姉…」
俺とカンウが話をしていると、文芸部に残ったはずのチョーヒが今にも泣きそうな顔で現れた。
「チョーヒ!なんでここにいるんだ!」
「ごめんアニキ…部室リョフに取られちまった…守れなかった…ごめん…ごめんよ…」
「チョーヒ、落ち着け。
ゆっくりでいい、何があったか教えてくれないか」
チョーヒは少しずつ落ち着きを取り戻していき、文芸部で起きた顛末を語ってくれた。
「そうか…ソウヒョウがリョフと組んだか」
「ごめんアニキ…」
「いや、チョーヒが謝ることじゃない。
これはソウヒョウのことまで気が回らなかった俺の落ち度だ。たまたま今反乱を起こしたが、例え今じゃなくても、いずれ対立することになっただろう」
「でもアニキ、オレが短気を起こしたせいで!」
「俺だってお前だって完璧じゃない。だから俺達は兄妹になったんじゃないか」
「そうです、互いの欠点を補うために私達がいるんです」
「うう…アニキ…カン姉…」
チョーヒは俺に抱きついて、顔を埋めながら泣きじゃくった。
「よしよし…
こうなった以上は仕方がない。ここは退却しよう」
「兄さん、退却と言ってもどこか行く宛があるのですか?」
「リョフのところに行こうと思う」
「リョフですか?しかしリョフは部室を乗っ取った張本人ですよ」
「このまま逃げればエンジュツとリョフの挟み撃ちにあうかもしれない。それならばいっそ投降した方がいい。
それにリョフは妹をしつけるのは姉の役目だと言っていたようだ。まだ俺を弟だと思っているのなら賭けてみる価値はある」
「しかし…
わかりました。他に行き場もないですし、リョフのところに行きましょう」
校庭にエンジュツの甲高い声が響く。
「遂にリョフから連絡がきたわ!これでリュービは孤立無援よ!全力で叩き潰しなさい!」
どうやら文芸部陥落はエンジュツの知るところとなったようだ。全軍を上げて俺達の部隊へ攻撃を開始した。
「全軍、後退!」
「行きなさいお前達!今までの恨みを晴らしなさい!」
「エンジュツ様、後ろよりまたカンウ軍です!」
「バカね。同じ手に何度も引っ掛かりはしないわ!チョウクン、伏兵に合図を送ってカンウ軍を防がせなさい!」
茂みよりカンウ小隊の倍近い人数のエンジュツ軍が現れ、その進行を妨害した。
「ふふふふふ、これでカンウ軍は封じたわ!さあ、今のうちにリュービ本隊を潰しなさい!」
「エンジュツ様!今度は左翼からチョーヒ軍です!」
「なんですって!」
「おらおらどけどけ!今日のオレは機嫌が悪いぜ!」
怒りを爆発させたチョーヒの前に、エンジュツ軍の生徒達は為す術もなく叩き潰されていった。
「わわわ、まだいるなんて聞いてないわよ!撤退!撤退!」
「何処だエンジュツ!何処にいやがる!」
「チョーヒ、もういいわ、帰りますよ」
「チ、命拾いしたな」
大暴れするチョーヒに恐れをなしたエンジュツは校庭の隅まで逃亡した。
「ふー、ここまでは追ってこないみたいね。なんでリョフが援軍率いて出てこないのよ!どうなってんの!
電話にも出ないし、リュービを裏切ったっての嘘じゃないでしょーね!」
「でもエンジュツ様、リュービ軍が完全に撤退したようですよ」
「え?じゃあリョフの裏切りは本当なの?なんでリョフは出てこないの?」
「もしかしたら出撃が遅れているだけかも知れませんよ?」
「んー、ならいいわ、キレイ!」
腰近くまである長い髪に、メイド服の上から胸部と肩に防具を装着した少女・キレイが、エンジュツの声に応えて前に出てきた。
「キレイ、貴女に一軍を預けるわ。リュービを追撃して、リョフと挟み撃ちにしてやりなさい!」
「はい、わかりました!」
文芸部・部室~
エンジュツからの援軍催促にチンキュウは焦っていた。
「リョフ様、早くリュービを追いましょう。今ならリュービを倒すことができます!」
「何故…姉が…弟を…倒す…の…?」
「姉弟といってもお遊びじゃないですか」
「遊び…じゃない…リュービ…私の…弟…そのうち…帰って…くる…」
話の通じぬリョフにチンキュウは困惑した。
(困った、このままリョフを動かせなければエンジュツとの密約が果たせない。みすみすリュービを逃がしてしまう)
その時、チョーリョーが部室に駆け込んできた。
「リョフ様、リュービ殿が戻られました」
「戻ってきた?そんなバカな!」
「ほら…な…」
リョフはニコリと笑うと、リュービを出迎えに部室を後にした。
「ただいま、リョフ姉さん」
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一か八かの賭けだった。だが、俺は賭けに勝ったようだ。微笑んで出迎えてくれたリョフを見て、ようやく俺は胸を撫で下ろした。
傍らのチンキュウは歯を食い縛りながら、こちらを睨み付けている。
「なんとあざといことを…リュービがここまで堂々とやって来るとは…」
そこに、リョフの部下であろう顔に傷のある、ガタイのいい男子生徒が入ってきた。
「リョフ様、エンジュツの一隊がこちらに向かってきております」
「なぜ…?」
リョフは不思議そうな顔を、その報告者に返した。
「リョフ姉さん、おそらく敵は俺を捕まえに来たのでしょう」
「わかった…リュービ…来い…」
「はい」
「アニキ!」
リョフについて行こうとする俺を不安そうな顔でチョーヒが呼び止めた。
「大丈夫だ、任せろ」
何の根拠もない。だが、俺は賭けに勝った。
そう信じて俺は、リョフと共に外のエンジュツ軍の前に出ていった。
外には鎧メイド服の女生徒が部隊を率いて俺達を待ち構えていた。
「おお、リョフ殿、リュービを捕らえていただけましたか。
私はエンジュツ軍のキレイ。そのリュービをこちらに引き渡していただきたい」
「断…る…リュービは…私の…弟…だ!」
「それでは約束が違うではないですか!」
「約束…知らない…このまま…帰れ…さも…なく…ば…私が…お前を…倒す!私の…平穏…を…乱す…な…」
「なんと…リョフでは相手が悪い。わかりました、この場は引きます。
しかし、エンジュツ様を裏切ったことゆめゆめお忘れなきよう!」
キレイは部隊を率いて、おとなしく退散してくれた。
「リュービ…戻ろう…文芸部を…返すよ…」
「いえ、姉さん。俺の代わりに文芸部の部長になってくれませんか?」
「いい…のか…?」
「はい、今回の一件でまだまだ自分が力不足だと認識しました。姉さんに文芸部の部長をお願いしたい」
「わかっ…た…私…部長…リュービ…弟…私を…補佐…しろ…」
「はい、姉さん、わかりました」
俺達をやりとりを顔をひきつらせながら見ていた男が一人いた。リョフの参謀・チンキュウだ。
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