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2章 あなたを幸せにしたい
5 これが魔力供給?※
しおりを挟む気付いたときには、全身を快楽が包んでいた。
それは寄せては返す波のようで、身体のどこかで高まった快感が次は別のところで高まる。次第に全身が敏感になるようで、理人自身は痛いほどに立ち上がり喜びの涙を流していた。
自分が何をされているのかわからなかった彼は、なんとか目を開け確認する。その視線の先には、舌を出して身体を舐め回す王の姿があった。
まるで身体からはちみつでも出ていてそれを舐め取っているかのようで、その姿にこうして魔力を得ているのだと納得する。
しかしこの行為が与える刺激は童貞には強すぎた。
感じたこともないほど柔らかく温かいものに攻め立てられ、理人の全身は震える。
同時になぜか尻の中も疼き始めたので、その不自然な感覚に彼は思わず考える。
――やっぱり、アヌサバのあれは淫紋だったんだ……。
人に身体を触られ舐められる気持ちよさは、おそらく皆誰もが感じるものだろう。しかしその感覚と尻の中が同調するのはおかしいはずなのだ。
理人がそう思っていると、次第に内側だけでなく入口までもひくひくと動きはじめてしまった。物欲しげに勝手にぱくぱくと口を開けはじめた秘孔に気づいた彼は、ようやく察したのだった。
――まさか、アヌサバ言っていた繋がる方法って……ここに挿れて繋がるってこと?
本来そういう用途のない場所であるため、これまで考えもしなかった。しかしこうして入口は蠢き、中は強引に掻き回されることを望んでいる。
理人がそれに気づき赤くなると、同時に王もこちらの変化に気付いたらしい。
「……随分ものほしげだな。じっくり楽しんでやるから覚悟しろ」
そう言って長い指をぺろりと舐めると、理人が制止する間もなくそれをずぶりと挿れたのだった。
「んあああああっ」
湯気が立ち込める部屋で、理人の声は大きく響いた。それは彼が感じた快楽と驚きの入り混じったものだった。
――まさか、こんなに気持ちいいなんて。
そう思うほど、指一本のもたらした快感はすさまじいものだった。
王の節くれだった細い指が中をかき回すたび、刺激が全身を襲った。それはまるで中を覆う肉壁すべてが性感帯となったようで、自然と嬌声が出てしまう。
「……ふっ……んッ……んあっ……」
点でもたらされていた快感は次第に線となって理人を刺激した。そしてそれは波となり徐々に大きくなって、そして――。
「んっんん……んあああっ」
一線を越えた瞬間、思わず理人は吐精してしまった。
身体が震え、同時に白いどろりとした体液を腹の上にびゅっびゅっとぶちまけてしまう。
「うっ…………はあっはあっ……はぁっ」
あまりの気持ちよさに理人は息も絶え絶えだった。
だからこの先があるなんて――自分の役割がまだ始まったばかりだということに全く気づいていなかった。
突然、大きな手がイったばかりの敏感なそれに伸ばされ、まるで残りも出せというように大きく扱かれたとき。理人はようやくまだ魔力供給が終わっていないことに気づいたのだった。
「や、やっ……やめてっ……」
弱々しい静止はまったく意味をなさず、手は動き続けて残りすべてを搾りだされてしまった。腹の上にたっぷり溜まったそれを、王はぺろりと舐めそして呑み込む。
表情が一変したのはそのときだった。
王はまるで正気を失ったようにぎらぎらと目を見開くと、やばいかも、と思う理人の尻を掴んで穴を大きく広げたのち――。
「――――――っ」
ずぶりと秘孔に自身を捩じ込んだのだ。
肉棒は奥にぶつかり、まるで性感帯全体を同時に刺激されているような快感をもたらした。身体の閾値を超えた刺激に、理人はまた達してしまう。
このときには彼はもう考えることができなくなっていた。
気持ちよさと同時に、からだが内側から王を求める衝動に支配されていた。穴のなかのひだ一枚一枚が、王のものを抱きしめるようにきゅうきゅう締め付ける。
すると王は気持ちよさそうにふっと息を吐いたのち、動きはじめた。
「はうっ……あっ……んんッあ」
激しい腰使いに自然と声が出てしまい、その後何回出したのか理人はわからない。そのたび、王は掃除するようにそれを舐め飲み込んだので、これが魔力供給なのかとようやく気づいた。
ただ、何度も訪れる快感に理人はすでに意識を失いそうになっていた。
性器だけでなく目や口、鼻からあらゆる体液が出て、身体中どろどろだった。
再び快楽の波が押し寄せ、理人は目をぎゅっとつぶる。
――もう、気持ちよすぎて駄目だ。
そんなときだった。
前髪を優しく押し上げるようにひやりとした手が伸びた。それはまぶたを、顔を、優しく撫で、
「…………壊れるなよ」
聞こえたのは、聞いたこともない優しい声だった。
理人は心が震えるのを感じた。
それはいま、からだを触れる手が、優しく全身を包んでいることに気づいたからだろうか。それとも、王の口から出た言葉が、本心とは違うことに気づいたからだろうか。
自らの穴が温かいもので満たされるのを感じながら、理人は心地よい温もりのなかで意識を失った。
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