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3 Side 慧
43 ひとつに※
しおりを挟む待ち望んだ誉史のものは、みちり、みちりと俺の穴をさらに広げながらなかに入ってきた。その、これまで感じたことのない内側から押される感覚に、俺はなんとか必死に呼吸をする。
「……ふっ……ううっ……」
きちんと準備していたおかげか、痛みはまったく感じなかった。ただ俺が襲われていたのは、気持ちいいところへ届きそうで届かないそんなもどかしさだった。
実は、入口の拡張は済んでいたものの、まだ太いものを挿れるのが怖くてディルドを入れたことはなかったのだ。
だから比較的細い棒状のものでなかをかき回していたのだが、そのときのいい場所を掠めるような感覚に覚えがあった。
――きっと、この奥を付いたら気持ちいいのだろう。
そんな期待感を抱いた瞬間、誉史自身は止まることなくさらに奥へと進んだのだった。
めりめりと分け入るような圧迫感があって、ずぶりと押し込むように熱いものが侵入してくる。次第に腹に圧迫感を感じ、俺は声が出せずにいた。
すると突然、内側から押し寄せるような気持ちよさが現れたと思えば、まるで身体のなかから快感を直接刺激されるような、未知の感覚が俺を襲った。
同時に腹部を押し上げる圧迫感もあり、俺は快楽と苦しさに一瞬意識が飛びそうになる。
すると誉史から、
「慧……力抜いて……っ……きついって」
と必死な声が聞こえた。その切羽詰まった声色にどうにかしないといけないとは思ったものの、俺にできることはこちらの状況を伝えることだけだった。
「……んんっ……ぬ、抜いてるって……」
そのやりとりがあったあと、しばらく経ったあとで誉史はようやく腰を引いた。
――ようやく穴が馴染んだのだろうか。
そう思ったのも束の間、引かれたものはずぶりと俺のなかに入り込み、気持ちいいところをぐわりと押し上げる。先程以上の快感に全身に鳥肌が立ってしまう。
――や、やばい。
俺はそう思いながら、相反する感覚のなかでよくわからなくなっていた。
いま自分を襲っていたのはとてつもない快楽と苦しさだった。またそれに加えて、あんな場所へ誉史の大切なものを入れているという背徳感もあった。
そんな無数の感覚と同時に、もちろん繋がれたという胸に込み上げる嬉しさもあって。俺はもう身体に力が入らなかった。
突っ伏した机に身を委ねるように脱力していると、ようやく刺激に慣れた誉史が上半身を起こして俺の被っていたウィッグを取り払う。
そして俺の顎に触れ優しく口づけをし、それを合図についに誉史は動き始めたのだった。
背にはずっしりとした重みと熱、そして吐息と誉史の匂いがあった。それは俺に安心をもたらしたものの、一瞬で快感へと昇華されてしまう。
「誉史……ゆっくり――んぐっ……ふっああぁ……」
「…………無理」
ずぶ、ずぶと激しくものが打ちつけられるなかで、俺は卑猥な声を止めることができなかった。
「あっ……ああんっ……ああっ」
「慧……声……抑えてっ……!」
「誉史、お前が……んっ……優しくしろって……ああっ」
「無理だって……慧のナカ、よすぎ…………俺のを搾り取ろうとしてる」
穴がそんな動きをしていることはわからなかったが、確かにいま俺のからだは快感に震え、下を向いたものからは透明な液が溢れ糸を引いていることだろう。
しかし、そんな恥ずかしさなんてどうでもよくなっていた。
ありとあらゆる刺激と感情のすべてが奔流となって、俺達の快感を加速しているように思えた。
「ふっ……ううっ……あっあっ」
「慧っ…………もう、無理……」
そう息を荒らげながら、ぐちゃぐちゃにそしてひとつになった俺達は、備品庫の片隅で静かに達したのだった。
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