巨人族の1/3の花嫁〜王様を一妃様と二妃様と転生小人族の僕の三妃で幸せにします〜〈完結〉

クリム

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4章

71 ソニン様のお仕置き※

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 宮に戻ると強烈な現実が待ち構えていました。ベビーベッドに赤子が二人。巨人のべクルと、小獣人のイベールが寝ています。

「フェンナ、べクルも育てることになりました」

 フェンナが嬉しそうに笑います。フェンナは二人のおむつを替えてから、

「来る月にはもう一人ですわ。宮が賑やかになります」

と話します。ティンも

「任せてください」

と胸をとんと叩きました。

 ひと月でイベールは体温調節が出来るようになり、目を開いてあちこち眺めるようになりました。首が座り抱き上げるのも楽になりました。寝返りもしますし、そろそろ這うのではとフェンナが話してくれました。三月殆ど寝て過ごしていた育ちの遅い僕とは大違いです。

 今はべクルを興味深く見つめています。べクルも落ち着いた赤子でイベールを見つめていました。

「実を捥いだ順番なら、あなたの目の前の小さな獣人はイベール兄様ですよ、べクル」

 べクルが頷いたような気がします。高級神官がマナ値を測る測定水晶を持って宮に来ました。べクルは数値が高く振り切り、イベールは残念ながら僕と同じでマナが殆どありませんでした。

 僕は疲れてしまい、少し寝台で横になりました。セフェムがキレンさんと少し話していて、それから寝室に入ってきました。セフェムが心配して獣化し僕の横で丸くなります。セフェムでも少しは気力が回復するのです。

「大丈夫か?ガリィはハゲと話し合いだと。夜は来ない」

「はい」

 僕は目を閉じて頷きました。でも、どうして、ソニン様とロキの実がなったのでしょうか。ご神託にない妾妃には実がならないのが常です。今生の父にも別棟に囲う妾妃はいましたが、実はなりませんでした。

「どうして実が……」

 思わず口に出しますと、

「タクが望んだから、実がなる。それが一妃の力だ。タクはベクルに対してはみんなの実になるよう望み、それぞれの妃に実を望んだ。一妃の責は全ての妃をまとめることと、次王の養育だと聞いたことがある」

セフェムが鼻をぷすと鳴らしながら話しました。セフェムは僕がどんなに一妃を望んでいたか知っています。番いだからだと話していました。僕の気力の揺れから理解できるのだそうです。

「一妃が望めばですか……」

 うとうとしていると夕食の時間になりましたが、食欲が無くて横になっていました。セフェムが寝台から起きて寝室の扉から出て行きます。食事をしているのでしょう。しばらくすると、

「主様、セフェム様は警備の変更で戻らないようです。お子様方を離れにお連れします。ごゆっくりお過ごし下さい」

フェンナの声がします。

「セフェム様がお戻りまで、僕が宮にいます」

寝室に入って来てそう言うティンに、離れに行くように話して、ティンの頭を撫でました。

「ありがとうございます。でも、大丈夫ですよ」

 ティンが出ていくと僕はそっと寝台から起き上がりました。疲れは多少取れましたし、気力も随分満たされています。寝室を出て宮の扉を薄く開けると、僕の宮には警備の近衛さんはいませんから、今ですね。僕は僕自身に幻視を掛けて神殿に行きました。

 一妃の僕が望むならガルド神は受けてくれるはずです。身分的に、ソニン様は二妃に、ロキは三妃になってしまいますが、許してください。

 神殿のガルド神の扉の前に置かれている銀杯の前に立ち、台によじ登りました。

 僕は指輪をつけている左手を翳して、銀杯の中にマナを満たそうとしました。ガリウスとセフェムは王族、しかも王です。だからマナは強く、ガルド神に聞き届けられるはずです。

「だめですよ、ターク様」

「ぅひゃあ!」

 僕はひょいと抱き上げられました。その手のしなやかな白魚のような指先はソニン様で、その隣にロキがいます。

「セフェムが言った通りだったなー。ターク、そんなんしちゃだめだって」

 月の光の中で祭壇の石段から下され、僕はソニン様の膝の上に抱っこされてしまいました。目の前にはしゃがんだロキがいます。

「ターク様、ガルド神にわたくしたちを正式妃にするお願いをしようとしましたね」

 ソニン様の片膝に座りロキとソニン様を見上げて、渋々頷きました。

「だって、だって、こんな……ソニン様もロキも……」

 僕は二人を見ることが出来ません。ふいにロキの声が低く響きました。

「お前だけが妃で、俺たちを哀れんでいるのか?」

 僕は慌ててロキを見上げて首を横に振りました。

「違います!」

 ロキの瞳は厳しくて、ひどく睨まれています。

「ターク様はガリウス様をお独り占めしたかったのでしょう?ご都合がよろしいではありませんか?」

「ソニン様?」

 冷たく硬い声が僕の頭の上から降ってきます。僕を抱っこするソニン様の腕がきつくて、僕はソニン様を見上げます。白い顎と緑の瞳がまるで知らない人のようです。

「は、離してください」

 指先を動かして魔法陣を……両手をロキに掴まれました。

「やっ……」

「どこもかしこも小さくて……可愛らしい」

 背後のソニン様の指がチュニックの中に入り込み、僕の左右の乳首を撫でて摘み出して潰してきます。

「ひっ……あっ……!」

 どうしてこんな……ソニン様っ!

「可愛らしい声。この声でガリウス様を誘うのですね」

 指がチュニックの下に降りて、僕のズボンを脱がしてチュニックを広げてロキに見せたのです。ガリウスとは違い細くて長い指が、まるで楽器でも奏でるかのように陰茎を嬲り、亀頭口の割れ目に長く伸ばした爪を入れてきました。

「ひぃっ……痛いっ……やめて、やめてくださいっ……」

 爪は鋭く刺さり、反対の手で張り出しの少ない亀頭冠を掴まれて僕は涙がぼろぼろ溢れました。

「ごめんなさいっ、ごめんなさいっ、ソニン様、ロキ、許してっ……痛い痛いっ!ああああっ!」

 陰茎をソニン様に擦られて爪が離れた瞬間、僕は泣きながらソニン様の手の中に精液を出してしましました。さらに裏筋を擦り絞り出すように残滓を掬い上げると、ソニン様が僕の精液を甘露の如く飲み干します。

「まあ、なんて甘い……」

 ソニン様の美しいから怖い表情に、僕は泣きながら謝ります。あの痛いのはすごく嫌なのです。

「ごめんなさい、ごめんなさいっ」

「……ええ、許して差し上げます。可愛いターク様」

 え……。

「あーーー、怖っ!ソニンちゃん、めっちゃ怖い。年下怖いよー。ターク大丈夫かあ。ちんぽの先、真っ赤じゃんか、舐めてやるよ」

 ロキが僕の項垂れた陰茎を掴んでぺろぺろ舐めてきます。

「や、や、やめてくださいっ……出したばっかりで、敏感にっーーーっ!!」

 ぴゅくぴゅくと出てしまったのは、カウパー腺液と多分……少し尿です。

「薄甘い……ターク、ちんこから砂糖水出てるわ」

 いつものロキです。

「ターク様、痛かったですか?わたくしがされたお仕置きより甘めだと思いましたが……」

「ソニンちゃん、どんなお仕置きされたんだよ」

「わたくしのモノに太い鉄串を差し込んで精を塞ぐのです。そしてお尻を突き上げられて……あれは辛かったのです。許してもらうため何でもいたしました」

「お、おー!」

 ロキが鼻息を荒くしています。

「あの、ソニン様、ロキ?」

 ソニン様が僕のズボンを畳んで手にしています。

「お仕置きですよ、ターク様。わたくしたちに何も話さないですぐに行動してしまうのですから。さあ、わたくしの宮の寝室で話し合いましょう。わたくしたちには話し合いが必要です。ロキ様もいらしてください」

 ソニン様に抱っこされて強制送還です。意外と力持ちなんですね。
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