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死体に群がるハエは何を思うかを考えないように
しおりを挟むリンクの目線です。
「組長のことは好き?」
相変わらず俺になつかないペット。
リンクはマサのベッドに腰かけながら、
マサの髪に手を伸ばした。
短くて硬い髪をちょっともてあそぶ。
そうするとマサは強面をさらに歪めて
心底うっとうしそうな顔でハエでも払うように
僕の手を払った。
「なぜ、そんな質問をする?それにこたえる義務は?」
マサは相変わらずリンクの方を見ずに
手に持ったiPhoneを操作しながら答える。
「嫉妬、嫉妬だよ。
前の飼い主に対して君は意外に執着というか
思い入れがあるようだったから。
本当のところはどう考えているんだろう、
って思ってね」
「お前よりはましだ、だが俺の過去を聞いて何になる?
お前も俺にとってもメリットなんざないはずだ。
それに俺のことについてはさんざん調べたんじゃないのか?」
「そうだねぇ、メリット、得、そんなものはないよ。
ただ日本でいう『寝取られ』『NTR』の気持ちを味わいたくて。
ただ文章でみるのと、本人から聞くのでは生々しさが違うだろう?」
「くそが!」
マサがまた怒って俺の顔面に向かって拳を振り上げる。
彼は頭の出来は悪くないらしいのに、
僕の煽りに簡単に乗ってしまうところが、
単純だ。
だが、そこがかわいいな、と思ってしまう。
惚れた弱みだろう。
拳を軽くかわして、体が傾いたところを
正面から抱きしめる。
「ああ、よしよし。暴れない、暴れない。
悪かったよ。僕もからかいすぎた。
でもね。ご主人様に手を上げるなって何度も
何度も何度も言ったよね。
まだわからないのか?
それともお仕置きが欲しくてわざとやってる?」
相変わらず俺の背中をたたいたり、足をバタバタさせて
無駄な抵抗をしているマサをさらに力を込めて拘束する。
「嫌だ、やめろ。なんでだ、なんで俺なんだ…くそが」
「そんなの決まっているよ」
僕は未だに暴れるマサを肩に担ぎ上げる。
今日は硬めの拘束用の台の上でやろう。
撮影の用意もしないと。
「君が魅力的だからだよ」
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