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こんな産婦人科医がいるはずない_in New York
しおりを挟む「いいこと思いついた」
リンクは珍しく非番だった。
産婦人科医は多忙だ。日本でも産婦人科医不足が叫ばれているが
それはここアメリカでも同じであった。
急な呼び出しもあり、貴重なプライベートでも邪魔されることも度々だ。
リンクは仕事については「自分の好奇心と自己顕示欲を生かせるから」と別に不満に思ってはいないようだ。
(出来損ないの同僚のことをケラケラとバカにしていることはあるが、それも仕事の楽しみの一つなのだそうだ)
普段夜しかともに過ごせない、(マサにとっては好都合、でないと抱きつぶされるからだ)
そんなリンクは珍しくベッド上ではなくソファーに座って過ごしている。
ペット部屋と呼んでいるマサの部屋にわざわざ来た。そして、ソファーに座りスマホをいじっているマサの隣にやってきて、無駄に長い足を組み、優雅に読書に浸っている。
マサもマサで特に話したいこともなく、リンクの隣で適当にスマホを見て情報を収集している。
(マサはペットと呼ばれ軟禁状態であるこの状態をまだあきらめていない。外に出てリンクから自由になるために情報収集を常に行っている)
そして、パタリ。
読みかけの本をテーブルに置くとマサの方を見て最初のセリフを言った。
マサはというと悪い予感がしていた。
リンクはサディストな上に、好奇心旺盛で思いついたことは何でも試したがる無邪気さがある。
まるでトンボの翅をむしり取ってどうなるか調べる子どものように無邪気で残酷で手に負えない。
「・・・・。」
マサは静かに立ち上がると、自分がリンクと距離を取れる最大の範囲、つまりトイレ兼バスルームへ向かった。
(ペット部屋と呼ばれるこの部屋は窓はすべて鉄格子で固定されており、外へ続く扉は一つしかない。その扉はリンクの生体認証になっているようだ)
「ちょっと待ってよ、まだ何も言ってないだろう」
このサディストはそのしぐさを逃すはずがない。
ガシッとマサの腕をつかみ、その勢いで体ごと自分の方へと引き寄せ、軽々と膝にマサを乗せた。
(このとんでもない変態医師は体格がめっぽうよくて190㎝を超える身長だ。対してマサは日本人の平均身長の170㎝をようやく超えるほどの身長。別に小さくはない)
「…ふっ、ん」
その勢いでマサの股間がゴリっとリンクの膝に押し付けられる。
連日のセックスのせいで敏感になっている体のせいで簡単に声が漏れてしまう。
すぐに隠そうとしたが目ざといリンクはそれを指摘し、さらに煽っていく。
「感じてるのか?かわいいな」
くつくつと笑うリンク。
感じやすいことを指摘され、マサはカァッと顔を赤らめる。
「くそっ、離せ、変態!」
腰をひねって逃れようとするが、リンクは逃すはずもない。
「耳まで赤くなっているな。いつまでたっても初々しくて心配になるよ」
リンクはマサの体を自分の方にぐっ近づけた。
さらに耳元から直接低い声を流し込んでやる。
「…~~~~つっ゛♡♡!!」
それだけで感じてしまうのか、マサは一方で口元を覆い、もう一方でぎゅっとリンクのシャツの胸あたりをつかむ。
ふるふると体を震わせている様子にリンクはにんまりと口を歪めた。
「マサ、お前は無意識に男を誘う天才だな」
「…くそっ、くそっ!」
意外と油断ならないこのお転婆は口を覆っていた手で目つぶしをしようと仕掛けてきたから、片手をひとまとめにひねって両手を塞いだ。
「OH~~、本当に油断ならないよ。びっくりするだろ。僕は話を聞いてもらいたいだけなのに」
リンクはわざとしゅんと肩を落とす。
リンクのそのしぐさすらも腹が立つのか、マサは今度は頭突きを繰り出そうとしてきたた。
すかさずソファーに仰向けの状態でマサの体を押し付けると、ようやくあきらめたのかおとなしくなった。
「お前のその容赦のなさには恐れ入るよ。ご主人様に感謝の念はないのか?だから前のご主人様にも捨てられるんだぞ」
地雷をわざとえぐるように言葉を選ぶと、一瞬傷ついたような表情を見せたがそれは本当に一瞬のことだった。
今度は足をひねってリンクの胴体を蹴ろうとしてきたので、すかさずリンクはマサの股間を膝で押しつぶす。
「…あっ!ぐぁあああっ!うぐぅっ!!」
痛そうに顔を歪め悲痛な声を上げるマサを見るととてもかわいそうだとリンクは思った。
リンクは決して自分のペットを虐待するような最低な人間ではないのだ。
ただペットと自分の喜びを共有したいだけ。いい飼い主で在りたいだけだ。
「ほらほら、悪い子だ。マサは本当に悪い子だ。僕がこんなに大事にしているのに。僕の気持ちをひとーつもわかってもらえないなんて悲しくて仕方ないよ」
「いたぁ!いたい!くそぉっ!離せ、あ、ああ!」
ぐりぐりぐり。
膝で容赦なく押しつぶすとマサの目には涙が浮かんでくる。本気で痛いのだろう。
「このまま押しつぶしていいかい?もしかしたら排泄器に障害が残るかもしれないよ。別に僕は君の世話が増えたって苦痛じゃないけど、君は嫌だろう。それか今日はせっかくの休日だ、だから僕に付き合って楽しいことをするか、どっちがいいと思う?賢明な君ならわかるはずだよ」
「!ああ゛っ!わがった、わがったがら!おまえ゛の言うとおりにする゛!!外してくれっ!ぐぁっ!!」
「わかってくれたならいいんだ」
懺悔室の前の神父の如く懐が深い顔で、リンクはうなずいた。
「ぁ、…はぁ、はぁ、、、はぁ、はぁ」
マサは脂汗を滲ませ、顔面蒼白になっていた。
潰されるという恐怖からようやく解放されたことで弛緩したのか、その頬にはつぅっと一筋涙が流れる。
ぺとり。
リンクは思わず顔を寄せ、その涙をなめとった。
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