【最弱勇者】100回目の転生

黒崎

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【前編】僕たちの新婚旅行

襲い掛かる刺客

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新婚旅行先である人間たちが暮らす6大王国へと旅立った。
まずは北の大国アルスラン王国へ行った。

「凄く幻想的な雪景色だね。」
「あぁ、ここの景色は絶景なんだぜ!」
そう言ってドレッドは僕を抱き締めて頬にキスをした。

「ねぇ、君って意外とロマンチスト?」
「お、俺はそんなんじゃねぇ!恋人がいたら一度来てみたいと思っていただけだ。」
「ふーん、そうなんだ。でも嬉しいよ。ありがとう。」

僕がドレッドに抱き着くと彼は頬を真っ赤に染めた。

「なっ!?おまっ、いきなり抱きつくなよ!」
「だって君が可愛いからつい……。」
「やめろぉおお!!恥ずかしいだろ!!」

次に温泉の名地、南の国アグラ王国へ向かった。到着すると早速2人で入浴した。

「うわ~気持ちいいな。」
「ああ、最高だな!ところでお前さっきから俺の身体ばかり見てるな?」
「そりゃ他の男なんて眼中にないもん。」
「嬉しいこと言ってくれるじゃねーか!」

僕達は互いの背中を流し合い、和気あいあいと温泉を楽しんだ。

今度は東の国ジパングへ行くことになったがそこでとある人物と出会うことになる。
東の国ジパングへ向かう途中、薄気味悪い森を通ることになった。

「おい!ここは魔獣がいっぱい出るらしいから気をつけろよ」

心配してくれるドレッドに僕は目線を送り静かに頷く。しばらく歩いていると突然、目の前に謎の人物が現れた。

「クックックッ……我の名はバッシュ・ザ・ブラックナイト!」
「僕達に何の用だ!」
「言うまでもない、貴様らの命を貰い受けに来た!」

どうやら彼は魔族のようだ、しかもかなり手ごわそうだ。僕には創造魔法があるのでこの程度の敵なら対処できると思うが全能力値1の僕は一瞬の油断が命取りになる。

「ドレッド頼む、時間を稼いで!」
「おう、任せろ!」

僕はドレッドに時間を稼ぐようにお願いし、その隙に創造魔法を唱えた。

「平和主義者になれ!」

僕は創造魔法でバッシュを平和主義者に変えてみたが、効いていない様子だった。

「フハハハッ!!我が剣の錆びになるがいい!!」

そう言ってバッシュはドレッドの護衛を搔い潜って僕に襲いかかってきた。間一髪のところで避けた僕は慌ててMP回復薬を飲むと今度はバッシュを5歳児に変えるように試みた。するとバッシュの身体はみるみるうちに縮んでいく。


「えっ?何これ!?体が縮んでる!?」

バッシュが5歳児の姿になると、ドレッドが手刀をあびせて彼を気絶させた。

「ふー、危なかったね。」
「しかし、こんな奴らに苦戦するとは俺もまだまだだな……」
「まさか、僕の創造魔法が効かないなんて……」

僕は創造魔法を一度も失敗したことがない。間違いなく発動していたのにバッシュは一度それを無効化している。創造魔法を無効にできる相手と出くわすのは過去の転生も含めて初めての出来事のため、僕は内心とても動揺していた。

「魔王軍以外にもこんなに強い魔族がいるんだね……」
僕が心配そうにそう告げるとドレッドが僕の肩に手を置いた後、僕を抱き寄せた。

「ああ、だがこれからもっと強い敵と戦うことになるだろう。強くならねば……」
「僕も更に強い魔法を身に付けたい。全能力値1だけど、夫として君を守りたい。」
「そうか……ありがとう。俺もお前のことを伴侶として愛しているぞ。」

僕はドレッドに寄り添った後、ひとまず今後のことについて提案した。

「ジパングでの観光が終わったら、一旦そこの図書館で調べものをして良い?」
「ああ構わないぞ!」

そんな会話をしながら僕達はジパングへ到着した。
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