【最弱勇者】100回目の転生

黒崎

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【前編】僕たちの新婚旅行

故郷ジパング

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「ここがジパングかぁ~!!綺麗な街並みだね」

僕達が到着した国は和の趣を感じる美しい国だった。

「そうだろう?俺の故郷だからな!」
「そうなの?魔王軍はみんな魔王城が故郷だと思っていたよ。」
「魔王城に住んではいるけど、俺はジパング出身なんだぜ!!」

この国はなんと、ドレッドの故郷であった。

「何か運命感じるな。僕が異世界転生する前の故郷とジパングはそっくりなんだ。」
「そうなのか!?なら帰りたいんじゃないか?」
「帰りたくないと言えば噓になるが、故郷よりもドレッドが大事だから。」
「嬉しいこと言ってくれるじゃねぇか!よし!今日は豪華な飯を食おうぜ!!」
「そうだね!」

その後、2人で宿を探した。観光地ゆえにどの宿も値が張るが僕の貯蓄額は金貨90億なので金には余裕がある。僕は地元民のドレッドに1番豪華な宿を案内してもらえるように頼むとドレッドが指差した場所は高級旅館だった。

中に入ると着物を着た美人な女将さんがいた。

「いらっしゃいまし!お2人でございますか?」
「ええ、1番良い部屋を頼む。それで1泊金貨何枚になりますか?」
「最高級の懐石料理も付きまして、1部屋1泊3枚になります。」
「倍の金貨6枚渡すので最高級のルームサービスも頼む。それとこれはチップだ。」

僕は女将さんに宿泊代とは別に金貨3枚を手渡した。

「他の女将と仲良くわけてな。」

そう言うと女将さんは涙を流して感謝を述べた。チップを渡す人少ないのかな?

「ありがとうございます!!旦那様!私ども一同誠心誠意ご奉仕させて頂きます。」
「頼んだぞ。」
「かしこまりました。」

その後、僕達の部屋には露天風呂の温泉が付いていたので早速2人で入る事にした。僕はタオルを手に取りドレッドの背中を流してあげた。

「前から思っていたけど、ドレッドの背中って本当に逞しいね。」

ドレッドの身体は筋肉質だが同時に傷だらけでもあった。恐らく今まで戦ってきた証だろう。僕はそんなドレッドを愛おしく感じて後ろから抱きしめるとドレッドもそれに応えるように僕の腕を撫でてくれた。

風呂から上がるとドレッドは早速浴衣に着替えた。普段露出度の高い格好をしているドレッドが浴衣を着ると妙に色っぽく感じる。

「なんだ、じろじろ見て。俺様の魅力に今更気が付いたのか?」

ドレッドが悪戯な笑みを浮べ浴衣をはだけさせると、僕は思わず生唾を飲み込んだ。ドレッドが僕の反応を楽しんでいると引き戸を叩く音が聞こえた。どうやら懐石料理が来たようだ。

「失礼します。こちら当館自慢のコースとなります。どうぞご賞味くださいませ」
「じゃあさっそく食べようか?」

女将が去ると僕は食事を目前に手を合わせた。

「おお!すげえなこれ!!初めて食ったけど美味い!」
「地元の人でも中々食べられない珍味なんだね。うん、凄くおいしいよ!」

その晩、小腹が空いた僕達はルームサービスで最高級の地酒と高級甘酒を注文した。おつまみも女将に見繕ってもらい、しばらくして注文の品が届くと僕達は乾杯した。

「だぁー!美味い!」
美味しそうに地酒をぐびぐびと飲むドレッドを横目に僕も甘酒を口に運ぶ。

「ねぇ、ドレッド。」
「なんだ?」
「僕がお金を渡した後いつでも僕を殺せたのに殺さなかったよね。どうして?」
「お前はいい奴だと思ったし、俺も男が好きで告白されて嬉しかったからな。」

そう言ってドレッドは僕の大好きな眩しい笑顔をこちらに向けた。

「でも、ドレッドは僕みたいなガキは嫌なんでしょ?」
「確かに成人の方が好みだが今のお前も充分可愛いぞ?数年後が楽しみだな。」

ドレッドの言葉に安堵した僕は続けて彼に質問を重ねた。

「そういえば、ドレッドって何歳?」
「俺か?今年で32歳だぞ。」
「そっか。僕達、年の差カップルだね。」
「なんだ、俺じゃ不満か?」
「そんなことないよ、凄く色っぽくて大好きだよ。」

照れくさそうに頬をかくドレッドをみて、自然と笑みがこぼれた。

「僕まだガキだけどさ。いつかドレッドに見合う男になれるように頑張るから…。」
「フッ、そんなこと気にするな。お前がどんな姿になろうとも愛してやるぞ。」
「ありがとう!僕も愛しているよ。」

僕達は抱き合うとそのまま布団に入り、添い寝したまま眠りについた。

翌日、ドレッドはジパングの観光地を案内してくれた。
忍者村、サムライ博物館、繁華街、ジフ山と実にみるところが多かった。

「今日も楽しかった。ドレッド、観光案内ありがとう!」
「ああ、俺も凄く楽しかったぜ!」

こうして僕達は充実したジパング旅行を堪能したのであった。
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