【最弱勇者】100回目の転生

黒崎

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【後編】魔界の救済

いざ、魔界へ!

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翌朝、僕達は早朝に魔界へと繋がる門に向かった。魔族のみぞ知る場所だけど、魔族のドレッドも当然のように門の場所を知っていた。

「行くぞ!」
「うん!」

ドレッドが先頭に立って門をくぐり抜けると、見たこともない景色が広がっていた。

「まさか、これが……魔界なのか!?」
「ああ、俺も初めて来たときは驚いたぜ。」

そこは空から見下ろすような絶景だった。雲を突き抜ける高さから見えるものは全てが新鮮で圧巻だった。

「もっと血みどろでおどろおどろしい場所かと思っていた。」
「そうか?そういうイメージを抱く奴も多いが、本当に絶景なんだぜ!」
「転生前に居た世界に大気がくすんだ地域があったからそれを想像していたよ。」
「お前の元居た世界も大変そうだな。」」
「アハハ…。それにしても、この世界に来て良かったって思えるくらい絶景だよ。」

それから僕らは魔王城がある城下町へ向かうと、道すがらに様々な種族と出会った。彼らは魔王サタンによって支配されているようで、僕を見るなり涙を流して喜んだ。

「よくぞご無事で!」
「勇者様、来て下さったのですね!」
「さすが勇者様だぜ!!」

声をかけられて内心焦った。既に魔界に入ったと魔王に知られては今後動き辛くなるからである。仕方がないので僕は時空魔法で魔界に入る直前まで時を巻き戻した。

「まったく、迷惑だなぁ…もう。」
「ハハッ、勇者様も大変だな…!」
「もう、笑いごとじゃないって!」

僕はブツブツと文句を言いながら透明化魔法を僕にかけてから町に入った。町に入るとドレッドに僕の顔を覆い隠せるローブの購入をお願いした。

ローブを入手すると僕は人目のつかないところでそれを身に付け、顔が隠れるように深く被った後に透明化の魔法を解いた。そしてドレッドと共に魔王城へ向かった。

「おい!何者だ?」

魔王城に入ると、魔族達が僕達を取り囲むがドレッドが機転を利かせる。

「この度、新魔王サタン様に仕えることとなった魔族のドレッドです。」
「おぉ~貴殿が噂に聞くアースガルド最強の魔族か?会いたかったぞ!」

魔族達から歓喜の声が上がる。ドレッドが機転を利かせたとしてもあまりにも友好的なので恐らくベリアルの方で作戦が上手く実行出来たに違いない。

その後、サタンの側近であるマオに城の中を案内してもらうとベリアルに遭遇する。ベリアルが別室で僕達にお茶をご馳走したいと言うとマオは別れを告げて僕達のもとから離れていった。

「マスター!ご無事で何よりです」
「お前のお陰だ、感謝するよ。」
「勿体ないお言葉……」
「ところで城内の様子は?」
「はっ!全員、平和主義者になりました。残すは魔王様のみです!」
「それは助かる、大変な依頼なのにこなしてくれてありがとう!」
「そんな……」
「ところでベリアル、聞きたいことがある。」

僕はさっそく本題に入ることにした。
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