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戦闘スタイル
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キルシィの無事が確認出来たので、漸く移動を開始することが出来る。
「大丈夫でしたら何よりです。では···先に進みましょう。キルシィさん。」
「はい。急ぎましょう。」
先を急ぎながら、響は改めて声を掛ける。
「俺のモンスターと闘う時の戦闘スタイルは先ほどの様に物理攻撃主体で特攻型の前衛タイプなんです。キルシィさんは後衛タイプと話されていましたが、どの様な闘い方をされるのですか?この先、魔族との闘いになるかも知れない可能性もあるので、こちらの戦力を確認しておきたいので教えてくれませんか?」
響の問い掛けに、キルシィは少し考えながら話す。
「そうですね···。どちらかというとソロでの戦闘が主だったので、本当は前衛もこなせるオールラウンドタイプではありますが、パーティを組んだときには専ら後衛で、その場合は精霊魔法と補助魔法と弓を使います。ダガーやレイピアを使用しての近接戦闘も可能ですが、見ての通り戦士タイプではないので力業は向いていなくて、前衛に入ってもスピード重視の先手必勝狙いですね。精霊魔法は水と風と土がメインです。ですが、ダンジョンの中では大規模な精霊魔法はほぼ使用できないので、今回はあまり当てにしないで下さい。補助魔法は戦闘時の攻撃力・防御力・速さの増減と属性防御と毒マヒ石化の状態異常防御と状態異常解除と体力回復といったところでしょうか。」
ダンジョン内はそのダンジョンを保持する為に独自の魔力で構成されているそうだ。
その為に、周囲の自然や精霊の力を使う精霊魔法の特性上、ダンジョン保持の独自の魔力に遮られて威力の強い精霊魔法はあまり多様出来ないらしい。
試しの祠もダンジョンになるので、条件としては同じ事がいえるそうだ。
そういう訳でキルシィの戦力は大幅にダウンした状態であると言わざるを得ない。
それは、響が考えていたよりも遥かに深刻な状態なのかも知れない。
今までは一緒に居た相手は護るべき対象では無かったが、今回は戦う相手によっては護りながら戦う必要が有るかも知れないのだ。
響の予定では、魔族達との戦いは避けられないものだ。
もしも、多勢に無勢で混戦になったときには、絶対護りきれるとは言えない。
護りに意識を向けながら戦える程、実戦経験が豊富な訳ではない響にとっては、不利な状況と言えるのではないだろうか?
らしくない程、思わず深刻に考えていた響だったが、そんな事を考えるのは時間の無駄だと、さっさと切り替えることにした。
まあ、なるようになるだろう。
元々の楽観的な思考に気持ちを委ねる。
「それでは、俺が前衛で相手に特攻を掛けますから、キルシィさんは後衛で戦いの補助をお願いしますね。」
何となくRPGに有りがちなテンプレなセリフだな···とは思いながら、道具袋から取り出したモップを構える。
目の前の別れ道のある広場には、ゆらゆらと揺れる影が5つ程見える。
それを目にしたキルシィが声を潜めて響に話し掛ける。
「あれはきっとシャドウナップでしょう···。確かAランクモンスターで、実体が有るような姿に見えていますがそれは幻のような物らしいです。本体は影の方にあるらしく、弱点である本体を上手く隠してしまうそうです。その上、影から影へ渡る能力を持っていると聞いています。」
「キルシィさんは、あのモンスターを見るのは初めてなんですか?」
響は、研究の為にあちらこちらを探索しているキルシィでも、知らないモンスターが居るのかと不思議に思った。
「ええ···そうですね。話には聞いた事があるのですが、本来この辺りで見掛けるモンスターではないですから···。遥か東の砂漠にある古代遺跡では稀に出現するそうですよ?こんなところで御目にかかれるとは驚きです。動くものに反応する性質を持っているそうですから、不用意に近付くのは危険ですよ···。」
明らかに難色を示すキルシィの言葉に、響はモンスターに特攻を掛けようとしていたその身を僅かに退く。
少し戦い方を考えた方が良いだろうか?
実際の所、この世界に来てから響はその身に攻撃を受けたことは一度もない。
ダメージを受ける前に倒してしまうので、それも当然の事ではあったが、響のスキルには物理攻撃防御上昇も物理攻撃耐性も物理攻撃無効も在りはしない。
それは、属性攻撃や属性魔法以外の攻撃ならダメージを受けるリスクが有るという事で、響の弱点の1つだ。
だからこそ特攻を掛けて、相手の出方を見ることはあまりしないのだが、影から影へ渡る能力というのが、どの程度のスピードであるのかが問題だ。
タイムラグが有るかどうかで、場合によっては生死を別ける事もある。
攻撃を受けた事がないからこそ、自身がどんなダメージを受けるか判らないし、人の身である以上急所も存在する。
たとえ僅かな傷でも、時と場合によっては致命傷に成ってしまうことも少なくはないという事を響は充分理解していた。
「大丈夫でしたら何よりです。では···先に進みましょう。キルシィさん。」
「はい。急ぎましょう。」
先を急ぎながら、響は改めて声を掛ける。
「俺のモンスターと闘う時の戦闘スタイルは先ほどの様に物理攻撃主体で特攻型の前衛タイプなんです。キルシィさんは後衛タイプと話されていましたが、どの様な闘い方をされるのですか?この先、魔族との闘いになるかも知れない可能性もあるので、こちらの戦力を確認しておきたいので教えてくれませんか?」
響の問い掛けに、キルシィは少し考えながら話す。
「そうですね···。どちらかというとソロでの戦闘が主だったので、本当は前衛もこなせるオールラウンドタイプではありますが、パーティを組んだときには専ら後衛で、その場合は精霊魔法と補助魔法と弓を使います。ダガーやレイピアを使用しての近接戦闘も可能ですが、見ての通り戦士タイプではないので力業は向いていなくて、前衛に入ってもスピード重視の先手必勝狙いですね。精霊魔法は水と風と土がメインです。ですが、ダンジョンの中では大規模な精霊魔法はほぼ使用できないので、今回はあまり当てにしないで下さい。補助魔法は戦闘時の攻撃力・防御力・速さの増減と属性防御と毒マヒ石化の状態異常防御と状態異常解除と体力回復といったところでしょうか。」
ダンジョン内はそのダンジョンを保持する為に独自の魔力で構成されているそうだ。
その為に、周囲の自然や精霊の力を使う精霊魔法の特性上、ダンジョン保持の独自の魔力に遮られて威力の強い精霊魔法はあまり多様出来ないらしい。
試しの祠もダンジョンになるので、条件としては同じ事がいえるそうだ。
そういう訳でキルシィの戦力は大幅にダウンした状態であると言わざるを得ない。
それは、響が考えていたよりも遥かに深刻な状態なのかも知れない。
今までは一緒に居た相手は護るべき対象では無かったが、今回は戦う相手によっては護りながら戦う必要が有るかも知れないのだ。
響の予定では、魔族達との戦いは避けられないものだ。
もしも、多勢に無勢で混戦になったときには、絶対護りきれるとは言えない。
護りに意識を向けながら戦える程、実戦経験が豊富な訳ではない響にとっては、不利な状況と言えるのではないだろうか?
らしくない程、思わず深刻に考えていた響だったが、そんな事を考えるのは時間の無駄だと、さっさと切り替えることにした。
まあ、なるようになるだろう。
元々の楽観的な思考に気持ちを委ねる。
「それでは、俺が前衛で相手に特攻を掛けますから、キルシィさんは後衛で戦いの補助をお願いしますね。」
何となくRPGに有りがちなテンプレなセリフだな···とは思いながら、道具袋から取り出したモップを構える。
目の前の別れ道のある広場には、ゆらゆらと揺れる影が5つ程見える。
それを目にしたキルシィが声を潜めて響に話し掛ける。
「あれはきっとシャドウナップでしょう···。確かAランクモンスターで、実体が有るような姿に見えていますがそれは幻のような物らしいです。本体は影の方にあるらしく、弱点である本体を上手く隠してしまうそうです。その上、影から影へ渡る能力を持っていると聞いています。」
「キルシィさんは、あのモンスターを見るのは初めてなんですか?」
響は、研究の為にあちらこちらを探索しているキルシィでも、知らないモンスターが居るのかと不思議に思った。
「ええ···そうですね。話には聞いた事があるのですが、本来この辺りで見掛けるモンスターではないですから···。遥か東の砂漠にある古代遺跡では稀に出現するそうですよ?こんなところで御目にかかれるとは驚きです。動くものに反応する性質を持っているそうですから、不用意に近付くのは危険ですよ···。」
明らかに難色を示すキルシィの言葉に、響はモンスターに特攻を掛けようとしていたその身を僅かに退く。
少し戦い方を考えた方が良いだろうか?
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ダメージを受ける前に倒してしまうので、それも当然の事ではあったが、響のスキルには物理攻撃防御上昇も物理攻撃耐性も物理攻撃無効も在りはしない。
それは、属性攻撃や属性魔法以外の攻撃ならダメージを受けるリスクが有るという事で、響の弱点の1つだ。
だからこそ特攻を掛けて、相手の出方を見ることはあまりしないのだが、影から影へ渡る能力というのが、どの程度のスピードであるのかが問題だ。
タイムラグが有るかどうかで、場合によっては生死を別ける事もある。
攻撃を受けた事がないからこそ、自身がどんなダメージを受けるか判らないし、人の身である以上急所も存在する。
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