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ドレスモデル
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その日は弦がオフの日だった。
めぐがいつものように事務所でパソコン作業をしていると、内線電話を終えた環奈が声をかけてきた。
「雪村さん、今日の午後少しお時間取れますか?」
「うん、大丈夫よ。どうかした?」
「ホテル支配人の長谷部さんが、雪村さんに相談したいことがあるんですって」
「長谷部さんが?なんだろう」
「この間ホテルで写真撮影したじゃないですか。写真の選別が終わったあと、長谷部さんにもメールで送ったんです。そしたらその写真がホテルスタッフの間でも好評で、ホテルの宣材写真を雪村さんにお願いしたいんですって」
ええー!?とめぐは驚く。
「それはだめでしょ」
「どうしてですか?」
「だって私はパーク事業部の広報課の社員だもん。ホテル事業部とは違うんだし」
「会社としては同じでしょ?長谷部さん、課長と部長には既に承諾してもらったっておっしゃってましたよ」
「えっ、いつの間に?」
思わず課長のデスクを見るが、普段と変わらず課長は何やら資料に目を通していた。
「長谷部さん、課長にも部長にも、直接雪村さんに話してみてって言われたそうです」
「そうなんだ」
「その前に私の耳にも入れておこうって、わざわざ今連絡くれたんですよ。律儀ですね、長谷部さんって」
「そ、そうだね」
動揺を隠し切れないでいると、環奈は時計を見てからめぐに尋ねる。
「雪村さんが大丈夫なら、13時頃にフロントまで来て欲しいそうです。お昼休憩終わったらその足でホテルに向かってもらってもいいですか?」
「あ、はい。分かりました」
「じゃあ、そうお返事しておきますね」
「うん、よろしくお願いします。課長には私からお話ししておくね」
そうしてめぐは社員食堂でランチを食べたあと、事務所には戻らずにホテルへと向かった。
「雪村さん、お疲れ様です。急にお呼び立てして申し訳ありません」
「いいえ、とんでもない。お疲れ様です、長谷部さん」
フロントに行くと、めぐに気づいた長谷部がにこやかに近づいて来た。
「オフィスでお話ししてもいいんですけど、せっかくですからロビーラウンジに行きませんか?紅茶の種類が豊富で美味しいんですよ」
「そうなんですね。お邪魔でなければ、ぜひ」
「もちろんです、ご案内しますね。少しだけ待っててもらえますか?」
そう言うと長谷部は一旦バックオフィスに入り、スーツのジャケットを私服に着替え、書類ケースを手にして戻って来た。
「お待たせいたしました。では行きましょうか」
「はい」
ふかふかの絨毯は足に心地良く、ロビーはシャンデリアや豪華な生花で華やかな雰囲気に包まれている。
めぐは長谷部の後ろを歩きながら思わず辺りを見渡した。
パークの喧騒が嘘のように時間の流れもゆったりと感じられる。
「ん?どうかしましたか?」
長谷部がめぐを振り返って足を止めた。
「いえ、とても素敵な雰囲気なので見とれてしまって。なんだか優雅な気分になりますね」
「確かに、雪村さんにぴったりですね」
「ええ?そんな。長谷部さんにこそお似合いです」
「まさか。私は単に慣れているだけですよ。雪村さんはロビーを歩いているだけで絵になりますね。ゲストの方がちらっと雪村さんに目を奪われているのが分かります」
「いえいえ、とんでもないです」
思わずうつむきながら長谷部と共にロビーラウンジに入り、窓際のソファ席に案内される。
「天井も窓も高くて気持ちいいですね。パークの景色もよく見えて、本当に外国に来たみたい」
めぐはメニューより先に窓の外に目をやった。
「ここはヨーロッパエリアにありますからね。立地は最高です」
「長谷部さん、毎日この景色を眺めながらお仕事出来るなんていいですね。私は地味な事務所でパソコンに向かってる時間が多いので、うらやましいです」
「雪村さんが地味な事務所にいるところが想像出来ないですけど」
「一度ご案内しましょうか?パークと繋がってるドアから入るとびっくりしますよ。夢と現実、みたいな差があって」
「ははは!それは面白そうですね」
目を細めて笑う長谷部は、仕事中の洗練された雰囲気とは少し違ってみえる。
(なんか、いい意味で普通の人だな。支配人としては、敢えてパリッと振る舞ってるんだろうな)
リラックスした様子でメニューを見ながら紅茶を選んでいる長谷部に、めぐはどこかホッとした。
ティーポットで運ばれてきた紅茶はアッサムとセイロンを調合したロイヤルブレンドで、香りも味も本格的だった。
「とっても美味しいです」
「良かった。スコーンもおすすめなのでご一緒にどうぞ」
「ありがとうございます」
ティータイムを満喫していためぐは、ようやく我に返る。
「あの、長谷部さん。お仕事のお話は?」
「ああ、そうでしたね。うっかり忘れるところでした。雪村さんがあまりにも様さまになるので……」
そう言って長谷部は、取り繕うように書類ケースから冊子を取り出した。
「雪村さん、まずはこちらをご覧いただけますか?」
「わあ、素敵!ウエディングドレスのカタログですか?」
めぐは手渡されたカタログをぺらぺらとめくってみる。
美しいドレスが大きな写真で紹介されていた。
このホテルでの結婚式は、挙式のあとパーク内の好きな場所で写真撮影が出来る。
特にヨーロッパエリアでの撮影は、宮殿をバックにした庭園の中で、ゴージャスなドレスが映えるフォトアルバムに仕上がると人気だ。
「どれもとっても綺麗なドレスですね」
「ありがとうございます。実は今度、新たなコンセプトでドレスを展開することになりまして。大きく3つに分けたテーマごとに、ウエディングドレスとカラードレスをシリーズ展開していこうかと」
「テーマごとに、ですか?」
「はい。可愛らしいイメージの『プリンセスライン』と高貴でエレガントなイメージの『ロイヤルライン』、それからスタイリッシュでモダンな『モードライン』の3つです」
「いいですね、とてもイメージしやすいと思います。カラードレスもこんなにたくさんあるんですね」
めぐは写真を見ながら、うっとりと感嘆のため息をつく。
「はい。このカタログでは、現在二人のモデルさんにお願いしています。可愛らしい雰囲気のモデルさんと、大人っぽくクールな雰囲気のモデルさんです。今後はそれぞれに、プリンセスラインとモードラインのモデルをお願いして、新たにロイヤルラインのモデルを雪村さんにお願いしたいと話しています」
「…………は?」
めぐは真顔に戻って顔を上げた。
「今、私の名前をおっしゃいました?」
「はい。ブライダル部門のスタッフが、ぜひとも雪村さんにロイヤルラインのモデルさんをお願いしたいと」
「いえいえいえ!!」と、めぐは必死に手を振って否定する。
「無理です!だめです!やめましょう」
「どうしてですか?」
「どうもこうも、私はモデルなんてやったことありませんし、マイナスイメージでご迷惑をおかけする訳にはまいりません」
「モデルなら、先日やっていただけたじゃないですか」
「あれは普通のカップルのよくあるデートのイメージでしたから。こんなウエディングドレスのモデルなんて、とてもとても」
ブンブン首を振るめぐに、長谷部は少し首をひねる。
「どうしてそんなにご謙遜を?うちのブライダルスタッフは、ぜひあなたにお願いしたいと満場一致で話していました。私もロイヤルラインは雪村さんにビッタリだと思います」
「いえ、あの。モデル事務所に聞いてみてください。きっと私なんかよりふさわしい方がいらっしゃいますから」
すると長谷部は、急に声のトーンを変えた。
「予算的にモデルは二人しか外注出来ないんですよねえ。限られた予算の中で最善を尽くす、我々は日々その思いでアイデアを練っています。雪村さんの部署もそうではないですか?」
「そ、そう、です。はい」
痛いところをつかれて、めぐは身を縮こめる。
「雪村さんが引き受けてくださると、我々は大いに助かるんですが。ご協力いただけないでしょうか?」
「その……。気持ちはありますが、自信は全くありません」
「ではこうしましょう。とにかく撮影してみて、採用するかどうかは写真を見ながら相談する。これならいいでしょう?」
「えっと、これはだめだとなれば採用されませんよね?」
「もちろんです」
「それなら、はい。分かりました」
小声で頷くと、長谷部はパッと顔を輝かせた。
「ありがとうございます!ご協力に感謝します、雪村さん」
「いえ、あの。会社の為ですから、いち社員として出来ることはやらせていただきます」
「はい。早速ブライダルスタッフに伝えますね。本当にありがとう!」
こんなに喜んでもらえるならやるしかない、とめぐは覚悟を決めた。
◇
その翌日。
出社した弦は、めぐが課長と何やら話し込んでいるのに気づいた。
どうしたのかと思いつつ席に座ると、ちょうど環奈も出社して来た。
「環奈、おはよう」
「氷室さん、おはようございます」
「めぐ、どうかしたのか?課長と真剣に話してるみたいだけど」
「ああ、スケジュール調整だと思いますよ。雪村さん、ホテルのブライダル部門に頼まれて、ウエディングドレスのモデルをやることになったので」
は?と弦は声をうわずらせた。
「なんだって?ウエディングドレスのモデル?めぐが?」
「そうです。昨日長谷部さんにホテルに呼ばれて、直々にお話があったみたいで」
「えっ、長谷部さんに?」
昨日二人がホテルで会っていた。
そのシーンを想像した途端に、弦の心はもやっとする。
(それになんでめぐは俺に知らせてくれないんだ?いや、昨日の今日だし、俺は別に彼氏でもないから知らせなくて当たり前か)
頭の中ではそう思うものの、どうにも何かが引っかかる。
その時、課長と話を終えためぐがデスクに戻って来た。
「氷室くん、おはよう」
「おはよう」
返事をしてから、チラリとめぐの様子をうかがう。
(俺からは聞かないぞ。めぐから話してくれ。俺に隠し事なんてしないよな?)
心の中で懇願していると、めぐが話しかけてきた。
「あのね、氷室くん」
「うん、なに?」
「実はホテル支配人の長谷部さんからお話があって、ブライダル部門のお手伝いをすることになったの。だから少しスケジュールの調整をお願いしたくて」
「そ、そうか!うん、分かった」
めぐから切り出してくれたことが嬉しくて、弦はついつい笑顔になる。
しかもめぐは、今日もブルースターのネックレスを着けてくれていた。
「無理言ってごめんね、ありがとう。課長には話してあるから。再来週辺りに2日間抜けさせてもらうね」
「分かった。こっちのことは気にするな」
「うん!お願いします」
めぐはにっこり笑うとデスクワークを始める。
弦もパソコン作業に戻った。
が、ふと環奈の言葉が蘇る。
(ちょっと待て。ウエディングドレスのモデルって言ったよな。めぐがドレスを着るのか?何の為に?)
聞いてみようかとめぐの方に顔を向けたが、結局声はかけられなかった。
(変に意識してるって思われたくない。彼氏でもないのに、なんか束縛してるみたいだし)
そう思いつつ気になって仕方ない。
(めぐからもう一度その話をしてくれたら、さり気なく詳細を聞いてみよう)
そう己に言い聞かせ、弦はなんとか気持ちを抑えていた。
◇
それから数日経っても、特にめぐのモデルの話題にはならなかった。
なんとなく忘れかけた頃、当日を迎える。
「じゃあ氷室くん、申し訳ないけど色々よろしくお願いします」
「ああ、こっちのことは任せてくれ。あとで報告するから」
「ありがとう。それでは行ってきます」
周りの人に挨拶してから、めぐは事務所を出て行った。
弦は今日のスケジュールを確認すると、順番にこなしていく。
年中無休のパークに合わせて、普段から社員はシフト制で勤務している。
めぐと弦のどちらかがオフの日はスケジュールも少なめにしているのだが、今日はもともと二人体制のはずだったから仕事量も多く組んでいた。
それを一人でこなさなければならない。
弦は集中して手際良く済ませていった。
定時近くになり「ただいま戻りました」とめぐの声がして、弦は顔を上げる。
「わあ!雪村さん、すごく綺麗」
環奈が感激したように呟き、弦も驚いて目を見開いた。
朝と同じブラウスとスカートの私服姿のめぐは、髪型とメイクだけが違っていた。
もともと白い肌が更に透き通るようで、目元はくっきりと、頬や唇は華やかに色づいている。
サイドに流した前髪と、毛先を巻いてアップに整えたヘアスタイルで、まるでテレビの中の芸能人が目の前に現れたようだった。
言葉もなく見とれていると、めぐが弦に尋ねる。
「氷室くん、今日はありがとう。大丈夫だった?」
「え……、ああ、大丈夫」
「そう、良かった。旅行雑誌に載せる紹介文、先方のOKもらえた?」
「うん、取り敢えずこれでいこうって。写真を挿入してから文字数を調整することになってる」
「分かった、ありがとう。明日も一人でお願いすることになるんだけど、よろしくね」
「おお、任せとけ」
そしてふと弦は気づいた。
毎日着けてくれているブルースターのネックレスが、めぐの胸元にないことを。
更にめぐが遠い存在になったように感じて、弦は戸惑う。
すると環奈がめぐに話しかけた。
「ね、雪村さん。どんな感じでしたか?ウエディングドレスのモデルって」
「うーん、もう着せ替え人形の気分よ。ヘアメイクも着替えもされるがままだし、そのまま写真スタジオに連れて行かれてパシャパシャ撮られて、っていう繰り返し。慣れないことするから疲れちゃった」
「そうなんですね、見てみたかったなあ。明日も撮影するんですよね?」
「そう。今日は白ドレスばかりだったから、明日は披露宴用のカラードレスだって」
「ちょこっと見学しに行ってもいいですか?」
めぐは、だめだめー!と慌てて環奈に首を振る。
「どうしてですか?お昼休みにちょこっとだけ。ね?」
「だめったらだめ。環奈ちゃんに見られてるかと思うと、恥ずかしくて無理!」
「そんなあー。氷室さんだって見たいですよね?彼氏としては、美しい彼女のドレス姿を」
急に話を振られて弦は焦る。
恋人としての演技をしなければ、と頷いた。
「まあ、そうだな」
「でしょう?ね、雪村さん。お願い!ほんのちょっと、遠くから見守るだけですから」
環奈は両手を合わせてめぐに頼み込む。
「いやだって、あちらの都合もあるでしょうし。ドレスの情報解禁とか、そういうのも」
「あー、そっか。それなら長谷部さんに聞いてみてもいいですか?」
「えっ、そ、それは、まあ……」
話の流れで渋々めぐが頷くと、環奈は早速ホテルのバックオフィスに内線電話をかけ始めた。
長谷部に繋いでもらい、何やら楽しそうに話し出す。
「広報課でも色んな情報を把握しておきたいですし、もしお邪魔でなければ少しだけでも。もちろん知り得た内容は口外しませんので。……はい!ありがとうございます。では明日、よろしくお願いします」
電話を終えた環奈がにこにこと顔を上げ、めぐは困ったようにため息をついた。
◇
「氷室さん、12時になりましたよ。行きましょ!」
時計の針が重なった途端、待ってましたとばかりに環奈が立ち上がる。
乗り気でないまま、弦は環奈に連れられてホテルに向かった。
「えっと、写真スタジオは3階ですね」
案内表示を確認して環奈がエレベーターのボタンを押す。
3階に着くと、長い廊下の先にホテルスタッフが数人固まっているのが見えた。
開け放たれたドアの中に目をやり、うっとりと見とれている。
「あそこですね!」
環奈がタタッと小走りに近づき、部屋の中を覗き込んで感嘆の声を上げた。
「わあ、素敵!なんて綺麗なの」
弦も環奈に歩み寄り、隣に並んでスタジオの中を見てみた。
次の瞬間、驚いて目を見開く。
真紅のバラのようなドレスに身を包んだめぐが、手にブーケを持ち、カメラに向かって微笑んでいた。
その存在感と輝くオーラに、弦は何も考えられなくなる。
単なる美人というだけではない。
めぐは見る者を魅了し、惹きつける魅力に溢れていた。
美しく高貴で、キラキラと輝いていて清らかで……。
いつも気軽に話しているめぐが、今は自分の手の届かない所にいる。
そう感じて、弦は思わず視線を落とす。
もっと見ていたい。
だが見ているうちに辛くなってきた。
「環奈、俺そろそろ戻るな。昼メシ食べたいし」
「えー、もう?」
「環奈はゆっくりしててくれ。じゃあ」
弦は環奈に背を向けると、足早にエレベーターホールに引き返した。
めぐがいつものように事務所でパソコン作業をしていると、内線電話を終えた環奈が声をかけてきた。
「雪村さん、今日の午後少しお時間取れますか?」
「うん、大丈夫よ。どうかした?」
「ホテル支配人の長谷部さんが、雪村さんに相談したいことがあるんですって」
「長谷部さんが?なんだろう」
「この間ホテルで写真撮影したじゃないですか。写真の選別が終わったあと、長谷部さんにもメールで送ったんです。そしたらその写真がホテルスタッフの間でも好評で、ホテルの宣材写真を雪村さんにお願いしたいんですって」
ええー!?とめぐは驚く。
「それはだめでしょ」
「どうしてですか?」
「だって私はパーク事業部の広報課の社員だもん。ホテル事業部とは違うんだし」
「会社としては同じでしょ?長谷部さん、課長と部長には既に承諾してもらったっておっしゃってましたよ」
「えっ、いつの間に?」
思わず課長のデスクを見るが、普段と変わらず課長は何やら資料に目を通していた。
「長谷部さん、課長にも部長にも、直接雪村さんに話してみてって言われたそうです」
「そうなんだ」
「その前に私の耳にも入れておこうって、わざわざ今連絡くれたんですよ。律儀ですね、長谷部さんって」
「そ、そうだね」
動揺を隠し切れないでいると、環奈は時計を見てからめぐに尋ねる。
「雪村さんが大丈夫なら、13時頃にフロントまで来て欲しいそうです。お昼休憩終わったらその足でホテルに向かってもらってもいいですか?」
「あ、はい。分かりました」
「じゃあ、そうお返事しておきますね」
「うん、よろしくお願いします。課長には私からお話ししておくね」
そうしてめぐは社員食堂でランチを食べたあと、事務所には戻らずにホテルへと向かった。
「雪村さん、お疲れ様です。急にお呼び立てして申し訳ありません」
「いいえ、とんでもない。お疲れ様です、長谷部さん」
フロントに行くと、めぐに気づいた長谷部がにこやかに近づいて来た。
「オフィスでお話ししてもいいんですけど、せっかくですからロビーラウンジに行きませんか?紅茶の種類が豊富で美味しいんですよ」
「そうなんですね。お邪魔でなければ、ぜひ」
「もちろんです、ご案内しますね。少しだけ待っててもらえますか?」
そう言うと長谷部は一旦バックオフィスに入り、スーツのジャケットを私服に着替え、書類ケースを手にして戻って来た。
「お待たせいたしました。では行きましょうか」
「はい」
ふかふかの絨毯は足に心地良く、ロビーはシャンデリアや豪華な生花で華やかな雰囲気に包まれている。
めぐは長谷部の後ろを歩きながら思わず辺りを見渡した。
パークの喧騒が嘘のように時間の流れもゆったりと感じられる。
「ん?どうかしましたか?」
長谷部がめぐを振り返って足を止めた。
「いえ、とても素敵な雰囲気なので見とれてしまって。なんだか優雅な気分になりますね」
「確かに、雪村さんにぴったりですね」
「ええ?そんな。長谷部さんにこそお似合いです」
「まさか。私は単に慣れているだけですよ。雪村さんはロビーを歩いているだけで絵になりますね。ゲストの方がちらっと雪村さんに目を奪われているのが分かります」
「いえいえ、とんでもないです」
思わずうつむきながら長谷部と共にロビーラウンジに入り、窓際のソファ席に案内される。
「天井も窓も高くて気持ちいいですね。パークの景色もよく見えて、本当に外国に来たみたい」
めぐはメニューより先に窓の外に目をやった。
「ここはヨーロッパエリアにありますからね。立地は最高です」
「長谷部さん、毎日この景色を眺めながらお仕事出来るなんていいですね。私は地味な事務所でパソコンに向かってる時間が多いので、うらやましいです」
「雪村さんが地味な事務所にいるところが想像出来ないですけど」
「一度ご案内しましょうか?パークと繋がってるドアから入るとびっくりしますよ。夢と現実、みたいな差があって」
「ははは!それは面白そうですね」
目を細めて笑う長谷部は、仕事中の洗練された雰囲気とは少し違ってみえる。
(なんか、いい意味で普通の人だな。支配人としては、敢えてパリッと振る舞ってるんだろうな)
リラックスした様子でメニューを見ながら紅茶を選んでいる長谷部に、めぐはどこかホッとした。
ティーポットで運ばれてきた紅茶はアッサムとセイロンを調合したロイヤルブレンドで、香りも味も本格的だった。
「とっても美味しいです」
「良かった。スコーンもおすすめなのでご一緒にどうぞ」
「ありがとうございます」
ティータイムを満喫していためぐは、ようやく我に返る。
「あの、長谷部さん。お仕事のお話は?」
「ああ、そうでしたね。うっかり忘れるところでした。雪村さんがあまりにも様さまになるので……」
そう言って長谷部は、取り繕うように書類ケースから冊子を取り出した。
「雪村さん、まずはこちらをご覧いただけますか?」
「わあ、素敵!ウエディングドレスのカタログですか?」
めぐは手渡されたカタログをぺらぺらとめくってみる。
美しいドレスが大きな写真で紹介されていた。
このホテルでの結婚式は、挙式のあとパーク内の好きな場所で写真撮影が出来る。
特にヨーロッパエリアでの撮影は、宮殿をバックにした庭園の中で、ゴージャスなドレスが映えるフォトアルバムに仕上がると人気だ。
「どれもとっても綺麗なドレスですね」
「ありがとうございます。実は今度、新たなコンセプトでドレスを展開することになりまして。大きく3つに分けたテーマごとに、ウエディングドレスとカラードレスをシリーズ展開していこうかと」
「テーマごとに、ですか?」
「はい。可愛らしいイメージの『プリンセスライン』と高貴でエレガントなイメージの『ロイヤルライン』、それからスタイリッシュでモダンな『モードライン』の3つです」
「いいですね、とてもイメージしやすいと思います。カラードレスもこんなにたくさんあるんですね」
めぐは写真を見ながら、うっとりと感嘆のため息をつく。
「はい。このカタログでは、現在二人のモデルさんにお願いしています。可愛らしい雰囲気のモデルさんと、大人っぽくクールな雰囲気のモデルさんです。今後はそれぞれに、プリンセスラインとモードラインのモデルをお願いして、新たにロイヤルラインのモデルを雪村さんにお願いしたいと話しています」
「…………は?」
めぐは真顔に戻って顔を上げた。
「今、私の名前をおっしゃいました?」
「はい。ブライダル部門のスタッフが、ぜひとも雪村さんにロイヤルラインのモデルさんをお願いしたいと」
「いえいえいえ!!」と、めぐは必死に手を振って否定する。
「無理です!だめです!やめましょう」
「どうしてですか?」
「どうもこうも、私はモデルなんてやったことありませんし、マイナスイメージでご迷惑をおかけする訳にはまいりません」
「モデルなら、先日やっていただけたじゃないですか」
「あれは普通のカップルのよくあるデートのイメージでしたから。こんなウエディングドレスのモデルなんて、とてもとても」
ブンブン首を振るめぐに、長谷部は少し首をひねる。
「どうしてそんなにご謙遜を?うちのブライダルスタッフは、ぜひあなたにお願いしたいと満場一致で話していました。私もロイヤルラインは雪村さんにビッタリだと思います」
「いえ、あの。モデル事務所に聞いてみてください。きっと私なんかよりふさわしい方がいらっしゃいますから」
すると長谷部は、急に声のトーンを変えた。
「予算的にモデルは二人しか外注出来ないんですよねえ。限られた予算の中で最善を尽くす、我々は日々その思いでアイデアを練っています。雪村さんの部署もそうではないですか?」
「そ、そう、です。はい」
痛いところをつかれて、めぐは身を縮こめる。
「雪村さんが引き受けてくださると、我々は大いに助かるんですが。ご協力いただけないでしょうか?」
「その……。気持ちはありますが、自信は全くありません」
「ではこうしましょう。とにかく撮影してみて、採用するかどうかは写真を見ながら相談する。これならいいでしょう?」
「えっと、これはだめだとなれば採用されませんよね?」
「もちろんです」
「それなら、はい。分かりました」
小声で頷くと、長谷部はパッと顔を輝かせた。
「ありがとうございます!ご協力に感謝します、雪村さん」
「いえ、あの。会社の為ですから、いち社員として出来ることはやらせていただきます」
「はい。早速ブライダルスタッフに伝えますね。本当にありがとう!」
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◇
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「ああ、スケジュール調整だと思いますよ。雪村さん、ホテルのブライダル部門に頼まれて、ウエディングドレスのモデルをやることになったので」
は?と弦は声をうわずらせた。
「なんだって?ウエディングドレスのモデル?めぐが?」
「そうです。昨日長谷部さんにホテルに呼ばれて、直々にお話があったみたいで」
「えっ、長谷部さんに?」
昨日二人がホテルで会っていた。
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頭の中ではそう思うものの、どうにも何かが引っかかる。
その時、課長と話を終えためぐがデスクに戻って来た。
「氷室くん、おはよう」
「おはよう」
返事をしてから、チラリとめぐの様子をうかがう。
(俺からは聞かないぞ。めぐから話してくれ。俺に隠し事なんてしないよな?)
心の中で懇願していると、めぐが話しかけてきた。
「あのね、氷室くん」
「うん、なに?」
「実はホテル支配人の長谷部さんからお話があって、ブライダル部門のお手伝いをすることになったの。だから少しスケジュールの調整をお願いしたくて」
「そ、そうか!うん、分かった」
めぐから切り出してくれたことが嬉しくて、弦はついつい笑顔になる。
しかもめぐは、今日もブルースターのネックレスを着けてくれていた。
「無理言ってごめんね、ありがとう。課長には話してあるから。再来週辺りに2日間抜けさせてもらうね」
「分かった。こっちのことは気にするな」
「うん!お願いします」
めぐはにっこり笑うとデスクワークを始める。
弦もパソコン作業に戻った。
が、ふと環奈の言葉が蘇る。
(ちょっと待て。ウエディングドレスのモデルって言ったよな。めぐがドレスを着るのか?何の為に?)
聞いてみようかとめぐの方に顔を向けたが、結局声はかけられなかった。
(変に意識してるって思われたくない。彼氏でもないのに、なんか束縛してるみたいだし)
そう思いつつ気になって仕方ない。
(めぐからもう一度その話をしてくれたら、さり気なく詳細を聞いてみよう)
そう己に言い聞かせ、弦はなんとか気持ちを抑えていた。
◇
それから数日経っても、特にめぐのモデルの話題にはならなかった。
なんとなく忘れかけた頃、当日を迎える。
「じゃあ氷室くん、申し訳ないけど色々よろしくお願いします」
「ああ、こっちのことは任せてくれ。あとで報告するから」
「ありがとう。それでは行ってきます」
周りの人に挨拶してから、めぐは事務所を出て行った。
弦は今日のスケジュールを確認すると、順番にこなしていく。
年中無休のパークに合わせて、普段から社員はシフト制で勤務している。
めぐと弦のどちらかがオフの日はスケジュールも少なめにしているのだが、今日はもともと二人体制のはずだったから仕事量も多く組んでいた。
それを一人でこなさなければならない。
弦は集中して手際良く済ませていった。
定時近くになり「ただいま戻りました」とめぐの声がして、弦は顔を上げる。
「わあ!雪村さん、すごく綺麗」
環奈が感激したように呟き、弦も驚いて目を見開いた。
朝と同じブラウスとスカートの私服姿のめぐは、髪型とメイクだけが違っていた。
もともと白い肌が更に透き通るようで、目元はくっきりと、頬や唇は華やかに色づいている。
サイドに流した前髪と、毛先を巻いてアップに整えたヘアスタイルで、まるでテレビの中の芸能人が目の前に現れたようだった。
言葉もなく見とれていると、めぐが弦に尋ねる。
「氷室くん、今日はありがとう。大丈夫だった?」
「え……、ああ、大丈夫」
「そう、良かった。旅行雑誌に載せる紹介文、先方のOKもらえた?」
「うん、取り敢えずこれでいこうって。写真を挿入してから文字数を調整することになってる」
「分かった、ありがとう。明日も一人でお願いすることになるんだけど、よろしくね」
「おお、任せとけ」
そしてふと弦は気づいた。
毎日着けてくれているブルースターのネックレスが、めぐの胸元にないことを。
更にめぐが遠い存在になったように感じて、弦は戸惑う。
すると環奈がめぐに話しかけた。
「ね、雪村さん。どんな感じでしたか?ウエディングドレスのモデルって」
「うーん、もう着せ替え人形の気分よ。ヘアメイクも着替えもされるがままだし、そのまま写真スタジオに連れて行かれてパシャパシャ撮られて、っていう繰り返し。慣れないことするから疲れちゃった」
「そうなんですね、見てみたかったなあ。明日も撮影するんですよね?」
「そう。今日は白ドレスばかりだったから、明日は披露宴用のカラードレスだって」
「ちょこっと見学しに行ってもいいですか?」
めぐは、だめだめー!と慌てて環奈に首を振る。
「どうしてですか?お昼休みにちょこっとだけ。ね?」
「だめったらだめ。環奈ちゃんに見られてるかと思うと、恥ずかしくて無理!」
「そんなあー。氷室さんだって見たいですよね?彼氏としては、美しい彼女のドレス姿を」
急に話を振られて弦は焦る。
恋人としての演技をしなければ、と頷いた。
「まあ、そうだな」
「でしょう?ね、雪村さん。お願い!ほんのちょっと、遠くから見守るだけですから」
環奈は両手を合わせてめぐに頼み込む。
「いやだって、あちらの都合もあるでしょうし。ドレスの情報解禁とか、そういうのも」
「あー、そっか。それなら長谷部さんに聞いてみてもいいですか?」
「えっ、そ、それは、まあ……」
話の流れで渋々めぐが頷くと、環奈は早速ホテルのバックオフィスに内線電話をかけ始めた。
長谷部に繋いでもらい、何やら楽しそうに話し出す。
「広報課でも色んな情報を把握しておきたいですし、もしお邪魔でなければ少しだけでも。もちろん知り得た内容は口外しませんので。……はい!ありがとうございます。では明日、よろしくお願いします」
電話を終えた環奈がにこにこと顔を上げ、めぐは困ったようにため息をついた。
◇
「氷室さん、12時になりましたよ。行きましょ!」
時計の針が重なった途端、待ってましたとばかりに環奈が立ち上がる。
乗り気でないまま、弦は環奈に連れられてホテルに向かった。
「えっと、写真スタジオは3階ですね」
案内表示を確認して環奈がエレベーターのボタンを押す。
3階に着くと、長い廊下の先にホテルスタッフが数人固まっているのが見えた。
開け放たれたドアの中に目をやり、うっとりと見とれている。
「あそこですね!」
環奈がタタッと小走りに近づき、部屋の中を覗き込んで感嘆の声を上げた。
「わあ、素敵!なんて綺麗なの」
弦も環奈に歩み寄り、隣に並んでスタジオの中を見てみた。
次の瞬間、驚いて目を見開く。
真紅のバラのようなドレスに身を包んだめぐが、手にブーケを持ち、カメラに向かって微笑んでいた。
その存在感と輝くオーラに、弦は何も考えられなくなる。
単なる美人というだけではない。
めぐは見る者を魅了し、惹きつける魅力に溢れていた。
美しく高貴で、キラキラと輝いていて清らかで……。
いつも気軽に話しているめぐが、今は自分の手の届かない所にいる。
そう感じて、弦は思わず視線を落とす。
もっと見ていたい。
だが見ているうちに辛くなってきた。
「環奈、俺そろそろ戻るな。昼メシ食べたいし」
「えー、もう?」
「環奈はゆっくりしててくれ。じゃあ」
弦は環奈に背を向けると、足早にエレベーターホールに引き返した。
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