夢にまで見たい二次元恋愛、現実にはあり?なし?

羽月☆

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20 男の子だってお姉さんの持つ二次元の書で学んだりするよね?

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『ねえ、久しぶりに飲みに行かない?』

そう連絡が来た、それは二瓶さんからだった。
本当に久しぶりだった。

返事をする前に考えた。
メンズ含めた6人で?それとも紀伊さんいれた女子友?

聞こう、これで本当に揶揄われるようなことがあったら本当に気分としては公開処刑だと思う。


『誰を誘うの?念のために聞いておきたいです。』


『紀伊さんとあと一人くらい・・・・いたら聞きたいことが聞けなそう。』

はっきり匂わせてきた二瓶さん。
湯田君がうっかり漏らしたのか、友達の恋愛成就がうれしくてつい教えてしまったのか。
バレたんだとはわかった。

『女子だけなら大丈夫です。任せます。』

この際紀伊さんはいい。
隠すよりも仲良くなることを優先させたい。


金曜日に三人で飲むことにした。
かなりの確率で湯田君と希那も飲んでると思う。
希那にはそう教えた。

『分かった。じゃあ、土曜日に。』

そう予定を決められた。

どこに行くとか何をするとか、たくさん言い合っても起きてから決めるパターンも多い。
起きた時間と天気となにかで。


そして金曜日。
待ち合わせた二人の顔が楽しそうなのは久しぶりだからと思いたい。


「で、どうなってそうなったの?」

乾杯のグラスを下ろす前に二瓶さんが聞いてきた。
そんなタイプだったの?

紀伊さんを見るとこちらも楽しみそうな瞳だった。
あの最初の飲み会の時の雰囲気は別にただの友達だったらしい、そう思いたい。


お姉さんが美人だということを一番に教えてしまった。
当然変な顔をした二人。

実際希那にも一番にそう言って怒った顔をされたし。

それからお姉さんを彼女だと誤解して・・・などなど。

初めてがあの資料室だったとか、最近はどうだとか、詳しくは控えめに。
内緒のところは内緒で。

あ、もちろん最初に紀伊さんとの二人組を観察したり考えてたりすることは内緒にできた。

それでも満足してもらえた。

私もホッと肩の力を抜いた。大丈夫だったと思う、そんな安心した気分。



「湯田君に聞いてたの?」

今度は私が二瓶さんに聞いた。

「うっかり漏らしてくれて、ちょっと深追いしたら教えてくれた。本当につい先日の事。まさかそんな事になってるなんて思わなかったし、相手が三木君じゃなくてそっちだったなんて。」

やっぱりうっすらと三木君とのことが噂になったらしい。
もしかしてそれが今でもじんわりと浸透したままかもしれない。

こうなると三木君に申し訳ないんだけど・・・・。


湯田君と二瓶さんは相変わらずで、紀伊さんも好きな人がいるらしい。
誰かは教えてもらえなかった。
照れた顔で首と手を振って内緒にされた。

「じゃあ、うまくいったら今度は紀伊さんの色々を聞きたい。」

嬉しくも恥ずかしくて私はそう言った。

「報告会、楽しみにしてる。」

二瓶さんもそう言ったから知らないらしい。

紀伊さんは本当に照れた顔で可愛いかった。

大人しいタイプだから相手が動かないとなかなか上手くはいかないのかもしれない。
それでも内緒にされたから相手は・・・社内の人?
先輩かな?


いろんなタイプを想像してしまった。


全く希那とは違うタイプしか浮かんでこなかったのは正直な私の気持ち。
だって合わないよね?

言い訳のようにそう心でつぶやいたりした。




「楽しかったみたいじゃない。」

「うん、久しぶりだったしね。湯田君がうっかり二瓶さんに漏らしたらしいよ。」

「知ってるよ、謝られたし。」

そう平然と言うけど、こっちにも教えてくれてもいいのに。



「あ・・・。」


「何?」


「あとね、紀伊さんも好きな人がいるみたい。すごくかわいい感じに照れて相手については教えてもらえなかった。うまく言ったらまた報告会しようねってことにしてるんだ。」


そう言ったらじっと見られた。


・・・・何?


「紀伊さん・・・・・可愛いよね。」

よく分からなくて普通にそう言ってみた。


「ああ・・・・。」


なんだろう?
まったく何を思ったのか分からない表情だった。
問い詰めたい気もしないでもないけど、あんまりいい気分もしなそうで放っといた。

だって希那じゃない事だけは確かだし、じゃあ別にいい・・・そう思ったから。



「そういえばね、やっぱり三木君と私ってちらりと思われたみたい。最初に内緒話をしたのを見られたから、だいぶん経つし最近は全く社内でも会えないくらいなのに、申し訳ないかも。どうしたらいい?」

これで三木君の邪魔になってたら本当に申し訳ない。
そう思って聞いたのに。


「まあ、大丈夫じゃない?」


あんまり考えてもくれなかったみたい、軽く答えられた。

ちょっとだけムカッとしたから、今度三木君に会ったら直接謝りたいって思った。
本人と話し合うのが一番!


ちょっとだけ斜めになった機嫌もすぐにまっすぐになります。
だってせっかく二人でいるんだし。

時々だけど、ドキドキ妄想シーンに誘い込んでる。
意外に乙女心が分かる希那。
週末ダラダラで過ごした後、部屋を後にする最後の瞬間、玄関でじっと立ち止まるとちょっとだけ壁にくっついて・・・・・。

夜のデート中も人のいなそうなところで見上げると、顔が近寄って来てくれて・・・・。

軽い口喧嘩でフグのようにぷくりと頬を膨らませると、時々は・・・・。

それ以外でも買い物に夢中になってふらふらして人や物にぶつかりそうになるとその前に腕を強くひいてくれて、はずみでよろけて・・・・。


何だか恋愛中の看板を敢えて出さなくてもそれなりに研究の書が役に立って、さり気なくそんなシチュエーションに持ち込めて。

もしかして希那もお姉さんのバイブルの中で学んだりした?
同じような知識を共有してたりする?なんて思ってたり。

決して無駄ではなかった現実逃避のような研究。

それでも会社では本当にそんなところは微塵も漏れだしてません。



「ご機嫌だね。」


いきなり三木君に声をかけられた。
今日はこっちに来て休憩らしい。
それより何より背後から私のご機嫌に気が付くなんて、気のせいです!


「久しぶりだね、三木君。」


そうそう、相談があったのだ。相談というか報告、ああ、やっぱり相談。

「楽しい週末を過ごしてるみたいで良かったよ。」


「・・・・どうも。でもね・・・・・ちょっと誤解されてるかもしれないの、私と三木君が仲がいいって思ってる人がいるみたい。」


三木君の顔を見た。
それは困る!なんて顔はしてない。

「うん・・・別に、しばらくはお互いそれでもいいよ。」


「うん・・・・迷惑かけてごめん・・・・あっちも何とも言わないから、先輩たちにバレるよりは・・・・。」


また小声になったから三木君が一歩近くに来たけど、離れた。
だから誤解されるってば。

「あの、本当に、否定しておくから。三木君も聞かれたらお願い。じゃあ。」


そそくさと離れた。


さり気なく周りを見ても誰もいない。大丈夫だと思いたい。

もう、誤解されるから、大人しく社食で休憩してほしい。


それでも三木君以外背後から私の緩み具合を指摘する人もいない。
廊下で二瓶さんとすれ違っても明るく手を振れたくらいだから。




「里穂、今週は?」


お母さんに食事のいるいらないを聞かれた。


「まだ分からない。予定は立ててないんだ。」

「そうなの?じゃあ思い切ってナマイキナ君を連れてくる?」


「ここに?」


「そう。一緒にご飯食べる?」



「嫌がると思う、そんなに知らない人に愛想よくできるほうじゃないし、緊張するじゃない。お母さんはいろいろと聞く気満々でしょう?教える気も満々でしょう?お父さんも無口になるよ。」


「少しだけ見てみたいじゃない。里穂がどんだけ緩んだ顔になるんだかって。」


「なりません。二人とも普通だって。」

「一応聞いてみたら?意外に『里穂のお母さん』に興味を持ってくれるかも。」

そんな訳ない。
今まで話も出たことがないくらいなのに。

でもちょっと面白いかもと思ったりして。



「希那、今週は用事あり?」

『何もない。』


本当にもしかして友達いない疑惑があるくらい一人時間の多い希那。
私が友達と会うことがあっても、逆はない。
あるとしても仕事仲間のあの二人くらい。


「ねえ、もしかしてうちのお母さんに会いたい?」





『誰が?』


「もちろん、希那。」



全く会いたいわけじゃないと分かった。
冗談冗談、そう言おうとしたのに。



『会いたいかも。』



不安定で不確定な希望を口にされた。


「たまには一緒にご飯を食べない?ってお母さんが冗談で言っただけだけど。希那緊張するでしょう?もちろんお父さんもいると思うし。」





『うん。』





「だから冗談だってば。」


よく考えたら逆の事をされたら今度は私が緊張する。
美人のお姉さんには興味があるけどお母さまには興味はない、そこははっきりない。
そんな飛びぬけた個性を教えられてもいないから断言できる。



その話は終わりにした。


「それと休憩してたら三木君が来たから、謝ったの。誤解は解く方向で努力するつもりだって言ったから。希那がかまわなければしばらくはいいって言われたけどさすがにね。」




『いいんじゃないかな。』


やはりそう言われた。
でも噂にはなりたくないし、本当の事がバレた時に・・・乗り換えたなんて変な噂もついてくるじゃない。



「週末どこに行く?」


そんな会話で予定を立てた。
別に大したことじゃない。
映画を見に行くことにしただけだった。


土曜日泊まりに行くと許可をもらった、お母さんと希那に。



そんな夜。

『ねえ、やっぱりお母さんと父さんに会って挨拶をした方がいいのかも。』


なんで?

『お付き合いをさせていただいてますって報告だけでもしなさいって。』



誰かに言われたらしい。
お母さん?お姉さん?


「希那がそうしたいなら、お母さんに聞いてみるけど。」


『よろしくお願いします。』


既に緊張してる気がするし、顔が嫌がってないだろうかと心配になる。

「あとで聞いてみる。」


そう言ったのに話を終わりにしてお母さんのところに行った。
お父さんが遅いご飯を食べていた。

「お父さん、お帰り。」

「ただいま、里穂。」



「ねえ、お母さん、希那が挨拶はした方がいいって言われたみたいで、本当に行こうかなあって言ってるんだけど。」

そう言ったらお父さんの手が止まった。


「いいじゃない。いつでもどうぞ。」

お母さんがそう返事したらお父さんがまた動き出した。


「緊張するだろうなあ。」

逆の立場の事を考えてそう思った。だってその後に私もって言われて逆に家族に引き合わされたら・・・・。



その後いつでもどうぞというお母さんのお気楽な返事は伝えた。
それでもじゃあ今週末にってはならなかった。



映画を見て、ふらふらとして希那の部屋に来た。
すっかりくつろいでるから、さっさとソファに座る・・・沈む。


「いつ挨拶に伺えばいいの?」

立ったまま聞いてくる。もう緊張してない?


「いつでも、希那の気の向いた時に。」

「それは都合を聞いてよ。僕もいつでもいい・・・。」


ゴクリと喉を鳴らしてる。
声が低いし、やっぱり無理してるんじゃない?


「別にすぐじゃなくてもいいし、軽くおやつを食べるくらいの時間でいいし。別にちょっとでも嫌だなあって思うならそのうちにってことでもいいし、お母さんも気にしないと思うよ。」

楽しみにはしてると思うけど。


「じゃあ・・・・来週・・・は?」


大丈夫?
逆に私でもそんなに緊張しないと思うくらいだけど。
本当に大丈夫?


「いいと思うけど。明日お母さんに聞いてみる。今決めた方がいい?」



「あ、明日でいい。」


そう言ってソファに座り込んできた。


「お父さんはどんな人?」


「別に普通。怖くはないしお母さんにも私にも優しい。普通のお父さん。」


「今まで誰かを紹介した?」

「してないよ。」


そんなこと考えもしなかったし。
言われもしなかった。
今回はお母さんの興味を引いてしまったんだ。
誰にも言えない代わりにお母さんにいろいろ言ってたから。



半分予定を決めたところで希那の中では落ち着いたみたい。


仲良く週末を過ごし、週が明けてもいつものように過ごしていた。


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