婚約者から婚約破棄されたら、王弟殿下に捕まった件

みおな

文字の大きさ
10 / 88

元婚約者が襲来した件

しおりを挟む
 男爵令嬢・・・

 いえ、下位の貴族でも優秀な人はいるし、努力してマナーや教養を身につけている令嬢や令息はいると思う。

 でも、王妃様の言い方だと・・・

 きっと、王太子殿下の好みの容姿をしてるんだろうけど。

 容姿で王太子妃を選んだら駄目でしょ。

 その日、帰りに何とか王太子殿下に会わずに帰ったのだけど・・・

 こともあろうに、クォーツ公爵家に突撃して来た!

「・・・私は居留守だから、帰っていただいて」

「それが、どうやら窓からお嬢様がご在宅なのを見たらしくて」

「まぁ!なんて品のない行動を、王太子殿下ともあろう方が。というか、留守と言われたなら、例えいるのを見たとしても会いたくないという隠語なのだから、引き下がりなさいよね。本当あの方、あんなに駄目駄目だったかしら」

 婚約者だった頃はもっとマトモだったと思ったけど、本当あり得ないわね。

「仕方ないわ。うちの大切な使用人たちを罰せられたらたまらないもの。王宮に出向いているお母様に早馬を出して。それから、応接室の準備を。茶菓子はいらないわ。殿下にだけ紅茶を淹れて差し上げて」

「あの・・・お連れ様がいらっしゃるようで」

「は?え、ちょっと待って。それってご令嬢?」

「はい」

 チッ。あのお馬鹿王太子、なに真実の愛の相手連れて来てるのよ。

 先触れも寄越してないし、勝手にやって来た上に女連れとかありえないんだけど!

「・・・仕方ないわ。王太子殿下の連れだもの。そのご令嬢にも紅茶を出してちょうだい」

「かしこまりました」

「着替えるわ。さすがに相手が王太子殿下では、部屋着では会えないもの」

 今までは婚約者だったから王太子殿下の瞳の色の青いドレスばかり着てたけど、婚約が白紙撤回になって、青いドレスは全て孤児院に寄付した。

 公爵家や王家で作ったドレスだから、布に戻してもいいし、売ってもいい値が付く。

 私は淡いパープルのドレスに着替えると、王太子殿下とご令嬢が待つ応接室に向かった。

 こんなのなら、お母様と一緒に王宮に行けばよかったわ。

「ごきげんよう、王太子殿下。先触れもいただいておりませんが、何か急を要する案件でもありましたか?」

 とりあえず、嫌味を言っておく。

 そもそも、婚約破棄を宣言した元婚約者の家に能天気に女連れで来るんじゃないわよ。

 だけど残念ながら、残念な思考の王太子殿下には通じなかった。

「急用というか、こないだルチルとゆっくり話せなかったし、チェリーのことも紹介したくてさ」

「私と話すような用件は無いと思いますけど」

 というか、名前で呼ぶなって何度言えば分かるの?
しおりを挟む
感想 38

あなたにおすすめの小説

奪われる人生とはお別れします 婚約破棄の後は幸せな日々が待っていました

水空 葵
恋愛
婚約者だった王太子殿下は、最近聖女様にかかりっきりで私には見向きもしない。 それなのに妃教育と称して仕事を押し付けてくる。 しまいには建国パーティーの時に婚約解消を突き付けられてしまった。 王太子殿下、それから私の両親。今まで尽くしてきたのに、裏切るなんて許せません。 でも、これ以上奪われるのは嫌なので、さっさとお別れしましょう。 ◇2024/2/5 HOTランキング1位に掲載されました。 ◇第17回 恋愛小説大賞で6位&奨励賞を頂きました。 ◇レジーナブックスより書籍発売中です! 本当にありがとうございます!

とある令嬢の優雅な別れ方 〜婚約破棄されたので、笑顔で地獄へお送りいたします〜

入多麗夜
恋愛
【完結まで執筆済!】 社交界を賑わせた婚約披露の茶会。 令嬢セリーヌ・リュミエールは、婚約者から突きつけられる。 「真実の愛を見つけたんだ」 それは、信じた誠実も、築いてきた未来も踏みにじる裏切りだった。だが、彼女は微笑んだ。 愛よりも冷たく、そして美しく。 笑顔で地獄へお送りいたします――

婚約者様への逆襲です。

有栖川灯里
恋愛
王太子との婚約を、一方的な断罪と共に破棄された令嬢・アンネリーゼ=フォン=アイゼナッハ。 理由は“聖女を妬んだ悪役”という、ありふれた台本。 だが彼女は涙ひとつ見せずに微笑み、ただ静かに言い残した。 ――「さようなら、婚約者様。二度と戻りませんわ」 すべてを捨て、王宮を去った“悪役令嬢”が辿り着いたのは、沈黙と再生の修道院。 そこで出会ったのは、聖女の奇跡に疑問を抱く神官、情報を操る傭兵、そしてかつて見逃された“真実”。 これは、少女が嘘を暴き、誇りを取り戻し、自らの手で未来を選び取る物語。 断罪は終わりではなく、始まりだった。 “信仰”に支配された王国を、静かに揺るがす――悪役令嬢の逆襲。

【完結】「俺は2番目に好きな女と結婚するんだ」と言っていた婚約者と婚約破棄したいだけだったのに、なぜか聖女になってしまいました

As-me.com
恋愛
完結しました。 番外編(編集済み)と、外伝(新作)アップしました。  とある日、偶然にも婚約者が「俺は2番目に好きな女と結婚するんだ」とお友達に楽しそうに宣言するのを聞いてしまいました。  例え2番目でもちゃんと愛しているから結婚にはなんの問題も無いとおっしゃっていますが……そんな婚約者様がとんでもない問題児だと発覚します。  なんてことでしょう。愛も無い、信頼も無い、領地にメリットも無い。そんな無い無い尽くしの婚約者様と結婚しても幸せになれる気がしません。  ねぇ、婚約者様。私はあなたと結婚なんてしたくありませんわ。絶対婚約破棄しますから!  あなたはあなたで、1番好きな人と結婚してくださいな。 ※この作品は『「俺は2番目に好きな女と結婚するんだ」と婚約者が言っていたので、1番好きな女性と結婚させてあげることにしました。 』を書き直しています。内容はほぼ一緒ですが、細かい設定や登場人物の性格などを書き直す予定です。

婚約破棄、承りました!悪役令嬢は面倒なので認めます。

パリパリかぷちーの
恋愛
「ミイーシヤ! 貴様との婚約を破棄する!」 王城の夜会で、バカ王子アレクセイから婚約破棄を突きつけられた公爵令嬢ミイーシヤ。 周囲は彼女が泣き崩れると思ったが――彼女は「承知いたしました(ガッツポーズ)」と即答!

筆頭婚約者候補は「一抜け」を叫んでさっさと逃げ出した

基本二度寝
恋愛
王太子には婚約者候補が二十名ほどいた。 その中でも筆頭にいたのは、顔よし頭良し、すべての条件を持っていた公爵家の令嬢。 王太子を立てることも忘れない彼女に、ひとつだけ不満があった。

見捨てられた逆行令嬢は幸せを掴みたい

水空 葵
恋愛
 一生大切にすると、次期伯爵のオズワルド様に誓われたはずだった。  それなのに、私が懐妊してからの彼は愛人のリリア様だけを守っている。  リリア様にプレゼントをする余裕はあっても、私は食事さえ満足に食べられない。  そんな状況で弱っていた私は、出産に耐えられなくて死んだ……みたい。  でも、次に目を覚ました時。  どういうわけか結婚する前に巻き戻っていた。    二度目の人生。  今度は苦しんで死にたくないから、オズワルド様との婚約は解消することに決めた。それと、彼には私の苦しみをプレゼントすることにしました。  一度婚約破棄したら良縁なんて望めないから、一人で生きていくことに決めているから、醜聞なんて気にしない。  そう決めて行動したせいで良くない噂が流れたのに、どうして次期侯爵様からの縁談が届いたのでしょうか? ※カクヨム様と小説家になろう様でも連載中・連載予定です。  7/23 女性向けHOTランキング1位になりました。ありがとうございますm(__)m

[完結]婚約破棄してください。そして私にもう関わらないで

みちこ
恋愛
妹ばかり溺愛する両親、妹は思い通りにならないと泣いて私の事を責める 婚約者も妹の味方、そんな私の味方になってくれる人はお兄様と伯父さんと伯母さんとお祖父様とお祖母様 私を愛してくれる人の為にももう自由になります

処理中です...