婚約者から婚約破棄されたら、王弟殿下に捕まった件

みおな

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新たな婚約者(犠牲者)を探す件

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 王太子殿下のおバカ具合には拍車がかかり、男爵令嬢の指導は進まない。

 これ、本気でキッド様が王太子になる可能性大なんだけど。

 残念なことに、私は国王陛下にも王妃殿下にも好かれている。

 身分も問題なく、王太子妃教育も王家の秘匿事項直前まで終わっている。

 これ、ほぼ廃嫡案件じゃない?

 幸いなのは、キッド様が立太子することを望まれていないことだ。

 キッド様は、国王陛下と王妃殿下の唯一のお子様であるランスロット様に、王太子としてちゃんと立って欲しいと願われている。

 ということは、やっぱり優秀な婚約者が必要よね。

 あの男爵令嬢を王太子妃にって言ってるらしいけど、寝言は寝て言えだわ。

 マナーも教養もない男爵令嬢なんて、害にしかならないじゃない。

 好きな人と一緒になりたい気持ちは分からないわけじゃないけど、それならその身分を捨てなさいよ。

 大体、婚約破棄・・・白紙撤回されたけど、その私が何で王太子殿下の想い人を支えなきゃならないのよ。

 ぜぇーーーーーーーったい、嫌よ。

「というわけで、どなたか心当たりはありませんか?」

 私は今日、ヘリオドール公爵家を訪れている。

 オブディシアン王国にある公爵家のひとつで、私と同い年のご令嬢と二つ年上のご令息がいる。

 カーネリアン公爵家には、私の一つ年上のご令息とひとつ年下のご令嬢、妹と同い年のご令息が。

 サードニクス公爵家には、私と同い年のご令息とひとつ年下のご令嬢がいる。

 ヘリオドール公爵家のご令嬢は、ミモザ様。

 向日葵のような瞳と緩やかにウェーブした髪の、とても可愛らしい方。

 カーネリアン公爵家のご令息、クロード様と婚約している。

 私の言葉に、ミモザ様はコテンと小首を傾げた。

「王妃殿下やクォーツ公爵夫人に見つけられないことを、何故わたくしに?」

「だって、ミモザ様のお兄様は他国を旅してらっしゃいますわよね?ヘリオドール公爵家にはその他国の情報が集まっているのでは?」

 ヘリオドール公爵家は、その情報を元に商会を運営していて、その規模はオブディシアン王国イチ。

 ほんの小さな情報でも、ヘリオドール公爵家なら手に入れているはず。

 そして、この可愛らしい容姿のミモザ様は、とても頭のキレる方。

 お兄様が手に入れた情報を、全て精査しているのがミモザ様なのよね。

「ふふっ。ルチル様にはバレてますものね。ええ。いくつか情報は入っていますわ。お聞きになりたい?」

「はい。蝶の入った赤いアンバーと交換でいかがでしょうか」

「えっ?お、お持ちなのですか?」

 赤や青、緑色の琥珀アンバーは希少性が高い。

 その上、完全な形で昆虫や植物が内包されているものも。

 ミモザ様が、婚約者の色のアンバーを探されていることを知って、王妃殿下に譲っていただいたのよ。



 
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