婚約者から婚約破棄されたら、王弟殿下に捕まった件

みおな

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一番怖い人は誰な件

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「兄上、遅くなりました」

「国王陛下、お呼びと伺い参上いたしました」

 謁見の間に入り、国王陛下と王妃殿下に礼を取る。

 といっても、入って来たのが王族の入り口からだし、広間には両親にシトリン伯爵の当主夫妻、例の二人の両親と本人が頭を下げたまま控えているのだけど。

 ちなみにチェリー様は、ランスロット殿下の隣に立っているわ。

 きっと殿下がそうするように言ったのね。

 ものすごく不安そうだった表情が、私の姿を見てホッとしたのが理解るもの。

「さて、先ほどだが学園で第一王子の婚約者のことを『疫病神』などと呼んだらしいが、その真意を聞かせてもらおうか」

 すでに諜報から内容の報告を受けている国王陛下は、それを真実かどうかなんて尋ねる無駄を省き、どういうつもりで発言したのか尋ねられた。

 その発言が、家人の総意なのか、それとも本人だけの意思なのか、そしてもしそうならそれは突発的に言ってしまったものなのか、それとも常からそう思っていたのか。

「「それ、は・・・」」

 陛下の問いにモゴモゴと言いにくそうな二人に、お父様が冷たい声で問いただす。

「さっさと答えろ。陛下、大体なぜ我々が同席せねばならないのですか?」

「クォーツ公爵令嬢に対しても失礼な発言を彼女らがしたからだ。説明しただろうが」

「その程度のこと、本人に・・・「旦那様?お静かになさってくださいませ」」

 お母様の声に、お父様がピタリと口を噤む。

 陛下たちやシトリン伯爵夫妻はお父様とお母様の力関係を理解されているから、苦笑されているだけだけど、侯爵夫妻と伯爵夫妻は目を丸くしている。

 まぁ、ムスッとしていて人付き合いが悪くて氷対応の公爵閣下で有名だからね、お父様は。

 そのお父様が、女神のように美しい社交界の華のお母様に嗜められてるのを見たらびっくりするわよね。

 ま、お母様限定だから。お父様のあの対応は。

 娘である私やローズだけでなく、陛下にすらあの態度だもの。

 お父様はほんっとに、お母様にしか興味がないのよね。

「リシア、閣下は相変わらずね」

「ごめんなさいね?ユーリカ。旦那様はわたくしと二人きりの時間を邪魔されたものだから不機嫌なのよ。大丈夫、お話はわたくしが伺うし、ルチルからも話を聞いているわ。キプロス侯爵、ザイール伯爵。わたくしの大切な大切な娘に、あなた方のご息女は『王太子殿下の婚約者がの報告をするなんて』と言ったらしいの。うちの可愛い娘がそんな権力を利用する真似をすると言いたいのかしら?」

 あーあ。
一番怖い人を怒らせたわね。
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