妖しの城

第2回 ポプラズッコケ新人賞、二次選考に残った作品です。

https://www.poplar.co.jp/award/award2/2.html


小説倶楽部時代物担当作品。


新潟県長岡市、三島市の三島町史に記載されていた史実を元に書いたフィクション作品です。



 半助は人の好い男であった。
 越後の検断職に任じられている安田家家臣の須賀与惣左ヱ門の家に世話となり、その息子であるやんちゃな炊之助と、安田家嫡男の臆病な百丸の御守を任され平穏で楽しい日々を送っていた。
 けれど、ある日半助は屋敷の前にさりげなく置かれた小石を見つける。
 それは、半助に伊賀の忍であることを思い出させる暗示であった。蟄虫として、安田家の動きをうかがうために半助はこの安田家に潜入していたのだ。忘れかけていたその事実を思いだし、半助は家族のように思っていた百丸をその手にかけねばならぬことへの葛藤に苦しむようになる。
 そんなある日、百丸は父に伺候していたところを敵に襲われる。半助はその急襲の手引きをしたのだ。だが、敵に斬られようとしている炊之助と百丸の姿をみとめて、咄嗟に二人を助けてしまう。
 それを見ていた中忍の朔は、半助を追いつめ、だがその腕に惚れて失敗を取り戻す機会を与えてくれる。残された時間は明朝まで。そのわずかな時間に半助は百丸を斬り、伊賀者としての誇りを取り戻さねばならない。
 一方、百丸も炊之助も、半助が実は敵だったのだと知っても、毫も半助を怨んだり怖がったりしない。いつもの調子に、半助もつい課せられた使命のことを忘れがちになる。そして、とうとう炊之助の提案によって共に吉崎城へ行くことになってしまった。
 吉崎城には、古狐がいて、その古狐の持つ宝生の玉の力があれば何でも願いごとが敵うのだという。
 半助はその城で、思わぬ人物に会う。自分の敵であり、恩人でもある金定という男だ。
 そして、妖城のあやかしの中で、半助は過去の闇と向き合い、徐々に自分らしさを取り戻していく。
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