喰いばばあ

「私」は、忙しい両親のもとで裕福だが満たされない、どこか鬱屈した生活を送っていた。
 父や母の帰りはいつも遅く、食事は一人が当たり前。毎日の塾。良い子を演じれば問題なく過ごせる日々を「私」は簡単で、けれど退屈な日々だと思っていた。そんな人生に、生きる意味はあるのかと。
そんな「私」に、恒例の家族行事がやってくる。それは、毎年家族で行く旅行。
そんなものに興味のない「私」は、行先も知らぬままイヤイヤその旅行に連れられていく。
 しかしその旅へ向かう途中、夜も更けた頃。「私」は眠っているところを両親の喧嘩の声で起こされるのだった。なんと、道に迷ってしまったのだという。しかもそこは山奥の人も通らないようなところ。
 まず父が近くの民家を見つけて道をききにおりるが、戻ってこなくなってしまう。母もようすを見に行き、車で一人待たされることになった「私」。
 そのとき、突然車が動き出してしまう。
「私」はなすすべもなく、車ごと崖下へ落ちてしまうのだった。
そこで目を覚ました「私」は、滝の裏側に住む「喰いばばあ」という奇妙なおばあさんに出会う。
「喰いばばあ」はそこをさいの河原だという。毎日一つずつ石を積まないと、そこを出られないのだと。
河原で生活を始めた「私」。「喰いばばあ」はものさしをいつも持ち歩いていて「私」を叩く。はじめ「喰いばばあ」に怯えていた「私」だが、次第にその優しさに気づく。
 喰いばばあに「私」に色んなことを教えてくれ、「私」は今までの生活がどれだけ贅沢だったかということを思い知らされるのだった。
 そんな生活が二十日ほど続いた頃、「私」は積み上げた石を崩してしまう。
 泣く「私」に喰いばばあは元の世界へ帰れという。さもないと喰ってしまうと脅され、「私」は逃げ帰って家族の下へ戻る。
 だが喰いばばあを忘れられないでいる「私」。数日がすぎたころ、「私」は「喰いばばあ」に会うきっかけとなった場所を訪れる。その集落にある家から、「私」は喰いばばあの写真と形見を見つける。
 その後の調べで、喰いばばあは既に亡くなっていた人だったとわかるのだった。
 だが「喰いばばあ」は本当に居て、「私」のことを助けてくれたのだと信じている「私」。「私」は喰いばばあに教わったことを糧に、強く生きられるようになっていたのだった。
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