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第4章
105. 念願
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僕はこの15年間の不満を次々に述べていく。1つ伝えると派生していくように不満を思い出し、それも全て神様に伝えた。しかし、段々と神様の不満からモリオン、ネフライト、更には魔王様への不満までぶちまけてしまう。
「ああ!そういえば僕の目が治ってます!」
今更ながらに気付いた自分の変化についても告げると神様はプッと「今気付いたのー?」と笑っている。
「佐藤君、満足した?いっぱい不満があったんだねぇ。それなら我慢しないで全部言ったら良かったのに。」
「そんなこと言えませんよ!」
「日本人の性かなぁ?」
神様は変わらずフフッと笑いながら僕を見つめている。
「あっ!魔王様の寿命は⁉︎確かモリオンが成人するまで保たないって…。」
確かそれが理由で僕が教育係になったはず。
「ああ、それね。想定外だったよ~佐藤君が魔王に角膜あげるなんてね。そのせいで佐藤君の魔力が魔王に移って予定以上に延命しちゃってるんだもん。」
そうか…僕は神様にチートで膨大な魔力量を貰ったから…。
「そうですか…すみません。余計なことをしました。」
「いやいや、魔王も嬉しかったと思うよ?こんなに自分を想ってくれる人が現れたんだって。それに魔王や次期魔王が暴動を起こさない限り干渉しないつもりだったから予想外ではあったけど、良しとしたんだ。…まぁ君の変化は魔界から消えた存在になったから始めの状態に戻ったってだけなんだけどね。」
そっか、良かった…。僕のした事は無駄じゃなかったんだね。
「…それで僕は人間界に行くんですよね?」
このことが決定事項なら僕はそれに従おう。もし僕が魔界に戻れなくてもいつかはきっとモリオンやネフライトが迎えに来てくれると信じてるから。
僕が覚悟の上で告げると神様は気まずそうに「ああ、それね~…。やっぱりやめた!」とあっさりと答える。
「えっ!!!」
えっえっ⁉︎いいの?
「だってさ~…行きたくないって言ってる人を無理矢理行かせるのも神様としては気が引けるんだよねー。始めは本当に次期魔王の教育が終わったら人間界に行ってもらうつもりだったよ?だって、そうしないと世界の均衡が保てないし。でも、このまま君を人間界に連れて行く方が均衡が崩れそうなんだよね…。次期魔王や宰相が予想外に君に執着してるし、そこに現魔王が出てきたら余計ややこしくなりそうなんだしね。佐藤君が人間界に行って次期魔王とかが捜しに行くだけでも人間はパニックだよ、また魔族に襲われる~ってさ。そこで戦争が起きたらせっかく人口バランス取ってたのにそれさえ崩れそうで、僕としては君一人を魔界に残すことでそれが防げるならその道を選ぶよ。」
神様はハァ~と溜息を吐くと頭を抱える。
「本当はこんなシナリオじゃなかったんだけどなー。さすがは佐藤君、予想の遥か斜めを行く結果をもたらしたね。」
「えー…?えっと…じゃあ僕は戻れるのですか?」
早くモリオンに会いたい、会って伝えなきゃならないことがある!
「うん、今まで頑張ったご褒美ね!元々、君が人間界に戻ったときに何不自由なく暮らしていける様に用意したものだからその場所が魔界になったってことにしておくよ。」
神様は困ったように笑うと「佐藤君、頑張ったね。今までありがとう、君は好きな人の側で幸せになりな。」と僕の肩をポンポンと叩く。
その笑顔は全く似てないはずの親友の顔にそっくりだった。
「ああ!そういえば僕の目が治ってます!」
今更ながらに気付いた自分の変化についても告げると神様はプッと「今気付いたのー?」と笑っている。
「佐藤君、満足した?いっぱい不満があったんだねぇ。それなら我慢しないで全部言ったら良かったのに。」
「そんなこと言えませんよ!」
「日本人の性かなぁ?」
神様は変わらずフフッと笑いながら僕を見つめている。
「あっ!魔王様の寿命は⁉︎確かモリオンが成人するまで保たないって…。」
確かそれが理由で僕が教育係になったはず。
「ああ、それね。想定外だったよ~佐藤君が魔王に角膜あげるなんてね。そのせいで佐藤君の魔力が魔王に移って予定以上に延命しちゃってるんだもん。」
そうか…僕は神様にチートで膨大な魔力量を貰ったから…。
「そうですか…すみません。余計なことをしました。」
「いやいや、魔王も嬉しかったと思うよ?こんなに自分を想ってくれる人が現れたんだって。それに魔王や次期魔王が暴動を起こさない限り干渉しないつもりだったから予想外ではあったけど、良しとしたんだ。…まぁ君の変化は魔界から消えた存在になったから始めの状態に戻ったってだけなんだけどね。」
そっか、良かった…。僕のした事は無駄じゃなかったんだね。
「…それで僕は人間界に行くんですよね?」
このことが決定事項なら僕はそれに従おう。もし僕が魔界に戻れなくてもいつかはきっとモリオンやネフライトが迎えに来てくれると信じてるから。
僕が覚悟の上で告げると神様は気まずそうに「ああ、それね~…。やっぱりやめた!」とあっさりと答える。
「えっ!!!」
えっえっ⁉︎いいの?
「だってさ~…行きたくないって言ってる人を無理矢理行かせるのも神様としては気が引けるんだよねー。始めは本当に次期魔王の教育が終わったら人間界に行ってもらうつもりだったよ?だって、そうしないと世界の均衡が保てないし。でも、このまま君を人間界に連れて行く方が均衡が崩れそうなんだよね…。次期魔王や宰相が予想外に君に執着してるし、そこに現魔王が出てきたら余計ややこしくなりそうなんだしね。佐藤君が人間界に行って次期魔王とかが捜しに行くだけでも人間はパニックだよ、また魔族に襲われる~ってさ。そこで戦争が起きたらせっかく人口バランス取ってたのにそれさえ崩れそうで、僕としては君一人を魔界に残すことでそれが防げるならその道を選ぶよ。」
神様はハァ~と溜息を吐くと頭を抱える。
「本当はこんなシナリオじゃなかったんだけどなー。さすがは佐藤君、予想の遥か斜めを行く結果をもたらしたね。」
「えー…?えっと…じゃあ僕は戻れるのですか?」
早くモリオンに会いたい、会って伝えなきゃならないことがある!
「うん、今まで頑張ったご褒美ね!元々、君が人間界に戻ったときに何不自由なく暮らしていける様に用意したものだからその場所が魔界になったってことにしておくよ。」
神様は困ったように笑うと「佐藤君、頑張ったね。今までありがとう、君は好きな人の側で幸せになりな。」と僕の肩をポンポンと叩く。
その笑顔は全く似てないはずの親友の顔にそっくりだった。
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