次期魔王の教育係に任命された

第1章

17. 襲撃１

僕達が担がれて連れて来られた場所は生命の樹木がある最上階の部屋だった。

「俺はこれ以上中には入れない。お前はモリオン様を命に代えても守れ！」

そう言ってインペリアルさんは背を向ける。

「インペリアルさんは何処へ⁉︎」

「俺は皆と共に戦う！さぁ中に入れ！」

彼の鬼気迫る様子に僕はそれ以上何も言えず、大人しく中に入ると生命の樹木に腰を下ろす。

そして少し落ち着いた頃、モリオンを芝生の上に下ろし、ネフライト達を案じた。一方モリオンは状況が分かっていないだけにハイハイしながら芝生を触ったり草木を撫でたりと黙々と遊んでいる。

「モリオン…僕、ここに居てもいいのかな…？何も役に立って…あっ！魔王様⁉︎魔王様は大丈夫かな⁉︎」

僕は寝たきりの魔王様のことを思い出す。思うように動けない魔王様を誰が守るのか…。魔王様のことだから生半可なことでは心配いらないが彼の安否が気になった僕は彼らの言い付けを破って魔王様の部屋へ急いで駆け付ける。






「魔王様！！！」

慌てて中に入ると魔王様はベッドに腰掛け待機している様子だった。

「大丈夫ですか⁉︎」

「大丈夫だ、まだ敵もここまでは来ていない。しかし、サトー…そなたは生命の樹木に避難させたと聞いたが…。」

「あっすみません！魔王様のことが心配で…！ネフライト達は前線に出ているので魔王様を誰が守るのかと心配になってしまって…！」

僕がそう言うと彼はハハッと笑った。

「これでも我は魔王様だぞ？誰に守られることもなく自分のことは自分で守れる、いらぬ心配だ。」

よく考えればそうだ、誰よりも強いからこそ魔王なのだ、僕は居たたまれなくなり顔を赤くする。

「…すみません。」

「まぁ良い。これから移動となっても危ないだろう、このままこの部屋にいるがいい。」

そう許可され、近くの椅子に腰掛けた。モリオンは魔王様のベッドでコロコロと転がっている。

暫くそのまま待機しているとドォーンッと城が破壊され、その振動が伝わってきた。

「近いな。」

魔王様は冷静だ。

「大丈夫なんでしょうか…？」

こんなことに慣れていない僕は騒音だけでも恐ろしい。

「…どうだろうな。最近は襲撃されることが激化してきた…我のこの状態が知られたことに起因しているだろう。」

「この部屋まで襲われたことはあるんですか？」

「…ああ、ある。」

ドキリとした。今回もこの部屋まで敵が現れたらどうしよう…。