きっと私は悪役令嬢

麻生空

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エリスに有能と言われた執事視点です。

先日、婚約者と初顔合わせなさったお嬢様は、何故かその後旦那様と奥様とエドワード様を外交へ出したと思ったら男装してエドワード様に成り済まして婚約者に会うと言う奇行に走る始末。

もしや、それほどまでにこのご婚約がお嫌なのかと思ってもみましたが、お部屋の机の引き出しに直筆のルドルフ様の似顔絵を隠されており、最近はお嬢様が何をお考えか分からないのでございます。

年頃の乙女故にと、今は生暖かく見守る所存です。


さてさて話は戻りますが、旦那様とエドワード様が外交へ出られた事により、領地の経営等の最終決定権は自動的にお嬢様に委任される形となってしまいました。

本日もお嬢様はそつなく政務をこなされております。

正直、閣下よりもエドワード様よりも的確に書類を裁いております。

「セバス。この箱に入っている書類は不整備の為に発信元に戻して。この箱に入っている物は直ぐに着工して頂戴。この箱に入っている物は月別にしてあるから、その月が来たら着工するように。全て決裁は付いていますので後は宜しく」

ズラリと並べられたのは、ここ数ヶ月溜まっていた案件の物ばかり。

まさか、領地経営をした事もないお嬢様がここまで采配を振るわれるとは驚き以外の何物でもございません。

もうこの際、エドワード様をオムコに出して、エリス様が婿取りをして我がリトラー家を継いで頂ければ良いとどれ程思う事か。

「お嬢様。ルドルフ様が……」

「えっ?またぁ~?」

はぁ~。
何の因果かお嬢様がエドワード様に成り済ましてから婚約者であられるルドルフ様がやたらと訪問される事態になっております。

エリス様をないがしろにする最低な婚約者など、早く白紙に、もしくは破棄してしまえばよろしいのです。

挙げ句、エリス様の男装したエドワード様にやたらと接触してくる始末。

男同士だからとお嬢様は言われますが、適度な距離と言うものがございます。

それを、あの男はベタベタとお嬢様に……💢💢💨

そして、階下では本日も……

「エド。今日も来たぞ。いつ見ても素敵だ」
「ぎゃ~」

思わずナイフを持ってしまった。
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