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アレンデル殿下とダンスを踊っていて思った。
殿下とは体格も似ているが、躍りの癖も似ていてルドルフ様とは違う意味で踊りやすいという事だ。
曲が終わってしまうのが惜しい位には意気投合していたと思う。
「ありがとうございます。とても踊りやすかったですよエリー。まるで一心同体、昔から一緒に踊っていたみたいでした」
ダンスが終わるとアレンデル殿下はそう言って腰を落とすと握った右手をそのまま自身の方へと引いて、私の手の甲にそっと口付けた。
すると、辺りからは黄色い悲鳴が沸き上がる。
えっと、これって社交辞令だよね。
でも、ダンスの後にそんなこともする人なんていなようなんだけど。
キョロキョロと辺りを見ると以外と数名のペアが手の甲にキスを落としていた。
あれ?
普通の事?
「そろそろ僕の婚約者を返して頂いても宜しいでしょうか?」
ツカツカと、一人でホールの中央まで歩いていらしたルドルフ様はそう言うと私の左手を取る。
「せっかちな男は嫌われるよルドルフ。まだダンスの最後の礼をしていた所なのに」
アレンデル殿下はそう言うと立ち上がり肩を竦めた。
「アレンデル殿下、あまり僕をからかって遊ばないで下さい。悪ふざけが過ぎます」
不機嫌な顔でそう言うルドルフ様。
「相手は15歳の子供なのに、大人気ないですよ」と言いたい。
だって、15歳と言ったらまだ中学生だよね。
それを、20歳になる大人が……。
「フフフ。ルドルフ。君の婚約者が君の事を大人気ないと思っているぞ」
アレンデル殿下のその言葉にドキリとする。
もしや、読心術とか使える人?
「さっきも言ったがエリーの顔は嘘が付けないよね。まぁ、ここで話をしていては邪魔以外の何者でもないけど。彼方で何か口にしながら続きのお話でもしようか」
さっと自然に手を出された為に思わずアレンデル殿下の手を取ってしまった。
何故かルドルフ様が手持ちぶさたに手をワシワシしているが知った事ではない。
「殿下」
慌てて追って来るルドルフ様にアレンデル殿下はニタリと笑う。
「紳士はスマートじゃなきゃね。ルドルフは少し硬いよ。ねぇエリー」
「はい。アレンデル殿下」
ルドルフ様には悪いけど、一応序列上位の者には尻尾を振っておくもの。
私は全面的にアレンデル殿下に同意した。
飲食コーナーに着くとアレンデル殿下が「このケーキは美味しいよ」と色々なデザートを勧めて来る。
「そうなんですね。では、ちょっと失礼してお皿を」
そう言ってテーブルの中央に置かれたお皿に手を伸ばすと「はい、どうぞ」とルドルフ様が取ってくれた。
「ありがとうございます。ルドルフ様」
婚約者に優しいルドルフ様、なんか調子が狂うな。
もしかして、アレンデル殿下の前でも仲良しの婚約者の振りを?
けど、それよりも目の前のデザートだ。
色気よりも食い気って昔から言うからね。
「これもなかなか美味しいんだよね」
と、アレンデル殿下に勧められるデザートを7個程取った所で実食。
「美味しい」
どれも絶品な味だった。
流石に王宮の料理だ。
使っている料理人も去ることながら、素材が素晴らしい。
特に果物が甘くて瑞々《みずみず》しくって美味し過ぎる。
もう果物単品でも贅沢な位に美味しいんだよ。
「何ですかこの美味しさ。幸せ過ぎます」
「エリー、こちらのも美味しいから食べてごらんよ」
きゃっきゃっとアレンデル殿下とデザートの話をしていると、ふとルドルフ様の顔が視界を横切りました。
ダンスの時よりも顔色が優れないご様子。
「ルドルフ様?お顔の色が優れないようです。もう、お約束のファーストダンスも終わりましたので、少しお休みになられた方が……」
あれれ?
何かまた寒いんですけど。
殿下とは体格も似ているが、躍りの癖も似ていてルドルフ様とは違う意味で踊りやすいという事だ。
曲が終わってしまうのが惜しい位には意気投合していたと思う。
「ありがとうございます。とても踊りやすかったですよエリー。まるで一心同体、昔から一緒に踊っていたみたいでした」
ダンスが終わるとアレンデル殿下はそう言って腰を落とすと握った右手をそのまま自身の方へと引いて、私の手の甲にそっと口付けた。
すると、辺りからは黄色い悲鳴が沸き上がる。
えっと、これって社交辞令だよね。
でも、ダンスの後にそんなこともする人なんていなようなんだけど。
キョロキョロと辺りを見ると以外と数名のペアが手の甲にキスを落としていた。
あれ?
普通の事?
「そろそろ僕の婚約者を返して頂いても宜しいでしょうか?」
ツカツカと、一人でホールの中央まで歩いていらしたルドルフ様はそう言うと私の左手を取る。
「せっかちな男は嫌われるよルドルフ。まだダンスの最後の礼をしていた所なのに」
アレンデル殿下はそう言うと立ち上がり肩を竦めた。
「アレンデル殿下、あまり僕をからかって遊ばないで下さい。悪ふざけが過ぎます」
不機嫌な顔でそう言うルドルフ様。
「相手は15歳の子供なのに、大人気ないですよ」と言いたい。
だって、15歳と言ったらまだ中学生だよね。
それを、20歳になる大人が……。
「フフフ。ルドルフ。君の婚約者が君の事を大人気ないと思っているぞ」
アレンデル殿下のその言葉にドキリとする。
もしや、読心術とか使える人?
「さっきも言ったがエリーの顔は嘘が付けないよね。まぁ、ここで話をしていては邪魔以外の何者でもないけど。彼方で何か口にしながら続きのお話でもしようか」
さっと自然に手を出された為に思わずアレンデル殿下の手を取ってしまった。
何故かルドルフ様が手持ちぶさたに手をワシワシしているが知った事ではない。
「殿下」
慌てて追って来るルドルフ様にアレンデル殿下はニタリと笑う。
「紳士はスマートじゃなきゃね。ルドルフは少し硬いよ。ねぇエリー」
「はい。アレンデル殿下」
ルドルフ様には悪いけど、一応序列上位の者には尻尾を振っておくもの。
私は全面的にアレンデル殿下に同意した。
飲食コーナーに着くとアレンデル殿下が「このケーキは美味しいよ」と色々なデザートを勧めて来る。
「そうなんですね。では、ちょっと失礼してお皿を」
そう言ってテーブルの中央に置かれたお皿に手を伸ばすと「はい、どうぞ」とルドルフ様が取ってくれた。
「ありがとうございます。ルドルフ様」
婚約者に優しいルドルフ様、なんか調子が狂うな。
もしかして、アレンデル殿下の前でも仲良しの婚約者の振りを?
けど、それよりも目の前のデザートだ。
色気よりも食い気って昔から言うからね。
「これもなかなか美味しいんだよね」
と、アレンデル殿下に勧められるデザートを7個程取った所で実食。
「美味しい」
どれも絶品な味だった。
流石に王宮の料理だ。
使っている料理人も去ることながら、素材が素晴らしい。
特に果物が甘くて瑞々《みずみず》しくって美味し過ぎる。
もう果物単品でも贅沢な位に美味しいんだよ。
「何ですかこの美味しさ。幸せ過ぎます」
「エリー、こちらのも美味しいから食べてごらんよ」
きゃっきゃっとアレンデル殿下とデザートの話をしていると、ふとルドルフ様の顔が視界を横切りました。
ダンスの時よりも顔色が優れないご様子。
「ルドルフ様?お顔の色が優れないようです。もう、お約束のファーストダンスも終わりましたので、少しお休みになられた方が……」
あれれ?
何かまた寒いんですけど。
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