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おきがえ
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雪兎は風呂から上がった俺を脱衣所の椅子に座らせ、バスタオルで体を拭いた。
「あっ……ゆ、ゆきぃ…………んっ……ふ、ぁ」
「変な声出さないの、体拭いてるだけだよ?」
「ゆき、ゆきさまが、じらすからぁ……こんな」
満遍なくタオルで体を撫でられただけでは、決定打にならない。手錠をかけられた俺は自分ですることも出来ない。
「じゃ、着替えね」
雪兎はそう言って俺に新しい服を渡す、先程見せられた下着もある。
「足上げてー」
当然一人では着替えられないから、雪兎に着替えさせられる。
こんな屈辱、初めてだ。
「あ……シャツは着れないね。仕方ないね、一回外すけどあんまり動いちゃダメだよ」
雪兎は手錠から左手を解放し、素早く頭を通す。腕も通すとまた素早く手錠をかけた。
逃げる隙も、一人で済ませてしまう隙もなかった。
「よしよし、いい子にしてたね。じゃあご褒美」
雪兎は脱衣所の棚から小さな機械を取り出した。
それにはボタンが幾つかあった。
「じゃ、スイッチオン!」
雪兎がボタンを押すと、予想通りと言うべきか下着に取り付けられた機械が震えだした。
「やっ、ぁ、ああぁっ! とめっ、とめて! むり、これむりぃ!」
「……こっちが小かな」
雪兎が別のボタンを押すと、振動が激しくなる。
俺は体を仰け反らせて、押し寄せる快楽の波に身を任せた。
「あ、間違えた。こっちだこっち」
雪兎がまた別のボタンを連打すると、振動は次第に小さくなっていく。あのままあと数秒でも放っておいてくれたら射精出来たのに。
「いい加減に、しろよっ……」
「これなら大丈夫だね。じゃあ僕お風呂入ってくるよ、いい子で待っててね」
雪兎は僕の顔にタオルを被せる。風呂の中で言ったように裸を見られたくないからなのだろう。
僕は微弱な振動のもどかしさに耐えかねて、太腿や脛を擦り合わせた。けれども何も変わらなくて、体を捩っても何も解決しなくて、もどかしさは少しずつ苛立ちに変わった。どんなに声を上げても何も起こらなくて、苛立ちは懇願に変わる。
「ゆき、ゆきさま、ゆきさまぁぁ! お願い、イカせて、ねぇお願い! もうムリ、もうやだ、早く出てきてよ! ゆきぃ!」
どんなに叫んでも雪兎は出てこない。当然だ、さっき入ったばかりなのだから。
「ゆき、ゆき……ゆきとぉ……お願い、きて、ゆきと……」
体をくねらせ過ぎたせいか、俺は椅子から転げ落ちた。肩への痛みも欲求にかき消され、俺はずっと雪兎の名を叫んでいた。
「はっ……ぁ、むり、むりだって、これ、イケないよ……弱い、こんなのじゃダメ、ゆき、ゆきさま……」
うわ言のように喘いで、雪兎の名を呼んで、どれだけ待ったかはもう分からなくなったが、顔に被せられたタオルが剥ぎ取られた。
「お待たせ」
そこにはもう着替えを終えた雪兎が立っていた。
俺にはもう雪兎の笑顔が天使ではなく悪魔のものに見えていた。
「あっ……ゆ、ゆきぃ…………んっ……ふ、ぁ」
「変な声出さないの、体拭いてるだけだよ?」
「ゆき、ゆきさまが、じらすからぁ……こんな」
満遍なくタオルで体を撫でられただけでは、決定打にならない。手錠をかけられた俺は自分ですることも出来ない。
「じゃ、着替えね」
雪兎はそう言って俺に新しい服を渡す、先程見せられた下着もある。
「足上げてー」
当然一人では着替えられないから、雪兎に着替えさせられる。
こんな屈辱、初めてだ。
「あ……シャツは着れないね。仕方ないね、一回外すけどあんまり動いちゃダメだよ」
雪兎は手錠から左手を解放し、素早く頭を通す。腕も通すとまた素早く手錠をかけた。
逃げる隙も、一人で済ませてしまう隙もなかった。
「よしよし、いい子にしてたね。じゃあご褒美」
雪兎は脱衣所の棚から小さな機械を取り出した。
それにはボタンが幾つかあった。
「じゃ、スイッチオン!」
雪兎がボタンを押すと、予想通りと言うべきか下着に取り付けられた機械が震えだした。
「やっ、ぁ、ああぁっ! とめっ、とめて! むり、これむりぃ!」
「……こっちが小かな」
雪兎が別のボタンを押すと、振動が激しくなる。
俺は体を仰け反らせて、押し寄せる快楽の波に身を任せた。
「あ、間違えた。こっちだこっち」
雪兎がまた別のボタンを連打すると、振動は次第に小さくなっていく。あのままあと数秒でも放っておいてくれたら射精出来たのに。
「いい加減に、しろよっ……」
「これなら大丈夫だね。じゃあ僕お風呂入ってくるよ、いい子で待っててね」
雪兎は僕の顔にタオルを被せる。風呂の中で言ったように裸を見られたくないからなのだろう。
僕は微弱な振動のもどかしさに耐えかねて、太腿や脛を擦り合わせた。けれども何も変わらなくて、体を捩っても何も解決しなくて、もどかしさは少しずつ苛立ちに変わった。どんなに声を上げても何も起こらなくて、苛立ちは懇願に変わる。
「ゆき、ゆきさま、ゆきさまぁぁ! お願い、イカせて、ねぇお願い! もうムリ、もうやだ、早く出てきてよ! ゆきぃ!」
どんなに叫んでも雪兎は出てこない。当然だ、さっき入ったばかりなのだから。
「ゆき、ゆき……ゆきとぉ……お願い、きて、ゆきと……」
体をくねらせ過ぎたせいか、俺は椅子から転げ落ちた。肩への痛みも欲求にかき消され、俺はずっと雪兎の名を叫んでいた。
「はっ……ぁ、むり、むりだって、これ、イケないよ……弱い、こんなのじゃダメ、ゆき、ゆきさま……」
うわ言のように喘いで、雪兎の名を呼んで、どれだけ待ったかはもう分からなくなったが、顔に被せられたタオルが剥ぎ取られた。
「お待たせ」
そこにはもう着替えを終えた雪兎が立っていた。
俺にはもう雪兎の笑顔が天使ではなく悪魔のものに見えていた。
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