俺の名前は今日からポチです

ムーン

文字の大きさ
11 / 667

おきがえ

しおりを挟む
雪兎は風呂から上がった俺を脱衣所の椅子に座らせ、バスタオルで体を拭いた。

「あっ……ゆ、ゆきぃ…………んっ……ふ、ぁ」

「変な声出さないの、体拭いてるだけだよ?」

「ゆき、ゆきさまが、じらすからぁ……こんな」

満遍なくタオルで体を撫でられただけでは、決定打にならない。手錠をかけられた俺は自分ですることも出来ない。

「じゃ、着替えね」

雪兎はそう言って俺に新しい服を渡す、先程見せられた下着もある。

「足上げてー」

当然一人では着替えられないから、雪兎に着替えさせられる。
こんな屈辱、初めてだ。

「あ……シャツは着れないね。仕方ないね、一回外すけどあんまり動いちゃダメだよ」

雪兎は手錠から左手を解放し、素早く頭を通す。腕も通すとまた素早く手錠をかけた。
逃げる隙も、一人で済ませてしまう隙もなかった。

「よしよし、いい子にしてたね。じゃあご褒美」

雪兎は脱衣所の棚から小さな機械を取り出した。
それにはボタンが幾つかあった。

「じゃ、スイッチオン!」

雪兎がボタンを押すと、予想通りと言うべきか下着に取り付けられた機械が震えだした。

「やっ、ぁ、ああぁっ!  とめっ、とめて!  むり、これむりぃ!」

「……こっちが小かな」

雪兎が別のボタンを押すと、振動が激しくなる。
俺は体を仰け反らせて、押し寄せる快楽の波に身を任せた。

「あ、間違えた。こっちだこっち」

雪兎がまた別のボタンを連打すると、振動は次第に小さくなっていく。あのままあと数秒でも放っておいてくれたら射精出来たのに。

「いい加減に、しろよっ……」

「これなら大丈夫だね。じゃあ僕お風呂入ってくるよ、いい子で待っててね」

雪兎は僕の顔にタオルを被せる。風呂の中で言ったように裸を見られたくないからなのだろう。
僕は微弱な振動のもどかしさに耐えかねて、太腿や脛を擦り合わせた。けれども何も変わらなくて、体を捩っても何も解決しなくて、もどかしさは少しずつ苛立ちに変わった。どんなに声を上げても何も起こらなくて、苛立ちは懇願に変わる。

「ゆき、ゆきさま、ゆきさまぁぁ!  お願い、イカせて、ねぇお願い!  もうムリ、もうやだ、早く出てきてよ!  ゆきぃ!」

どんなに叫んでも雪兎は出てこない。当然だ、さっき入ったばかりなのだから。

「ゆき、ゆき……ゆきとぉ……お願い、きて、ゆきと……」

体をくねらせ過ぎたせいか、俺は椅子から転げ落ちた。肩への痛みも欲求にかき消され、俺はずっと雪兎の名を叫んでいた。

「はっ……ぁ、むり、むりだって、これ、イケないよ……弱い、こんなのじゃダメ、ゆき、ゆきさま……」

うわ言のように喘いで、雪兎の名を呼んで、どれだけ待ったかはもう分からなくなったが、顔に被せられたタオルが剥ぎ取られた。

「お待たせ」

そこにはもう着替えを終えた雪兎が立っていた。
俺にはもう雪兎の笑顔が天使ではなく悪魔のものに見えていた。
しおりを挟む
感想 27

あなたにおすすめの小説

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

完成した犬は新たな地獄が待つ飼育部屋へと連れ戻される

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

魔王に飼われる勇者

たみしげ
BL
BLすけべ小説です。 敵の屋敷に攻め込んだ勇者が逆に捕まって淫紋を刻まれて飼われる話です。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

後輩が二人がかりで、俺をどんどん責めてくるー快楽地獄だー

天知 カナイ
BL
イケメン後輩二人があやしく先輩に迫って、おいしくいただいちゃう話です。

一人の騎士に群がる飢えた(性的)エルフ達

ミクリ21
BL
エルフ達が一人の騎士に群がってえちえちする話。

鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる

結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。 冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。 憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。 誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。 鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。

寝てる間に××されてる!?

しづ未
BL
どこでも寝てしまう男子高校生が寝てる間に色々な被害に遭う話です。

処理中です...