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すーつ、なな
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雪風の中に三回目の射精を終えて、俺は雑に陰茎を引き抜く。べっとりと引っ付いた精液を指で拭うも、特に意味は無い。
ベッドに腰掛けぼうっとして、しばらくしてから雪風の存在を思い出した。
「……ゆ、雪風様? 大丈夫ですか?」
きょろんと赤い瞳がこちらを向く。雪風はゆっくりと体を横にし、抱き枕にそうするように俺の足に右手と右足を乗せた。
「真尋……」
「…………なんですか?」
ポチだ、と訂正するのは面倒だ。今の雪風に言っても無駄な気もする。
「真尋、ぶって」
「は?」
「……嫌いだって言って、殴って」
「いや、いやいやいや、それは流石に」
たった今抱いたばかりの想い人そっくりな男を殴れだなんて、無茶を言う。いや、その前に雪風は義父なのだ、殴れるような立場ではない。
「……愛してる、真尋」
「…………どーも」
その想いに返す気はないけれど。
「…………そこの奥、シャワールームがある。俺サイズだが着替えもある。好きに出てけ」
力なく扉を指差す。俺はその手を取って、手の甲に唇を触れさせた。
「雪風様、俺、あなたを抱くの気に入りました。そんなに俺が好きなら俺に抱かれに来てください。俺はあなたが大っ嫌いで、あなたを愛することはありませんけど、都合のいい穴扱いでいいならいくらでもヤってあげますよ?」
最低な発言だ。もちろん本心ではない、完全にとは言えないけれど。
雪風に呼び出されるのはもう懲り懲りだ、関わるのもそうだ。この発言で嫌ってくれるのなら御の字、嫌わなくても今回のように呼び出されることが減れば悪くない。
だが、俺の目論見は外れて雪風はさらに顔を蕩けさせて笑っている。
「あ、あの、雪風様?」
しっかり聞こえなかったのか? ぼうっとしていて理解出来なかったのか?
「……分かってます? 今俺、めちゃくちゃな事言いましたよ?」
あの発言を肯定されては、俺がただのクズになってしまう。嫌だ、俺は策士になりたい。
「嫌いだって言ってくれるんだろ?」
「落とすのが好きなんじゃないんですか? 俺あなたを好きになりませんよ?」
雪風の瞳に少しずつ冷たさが戻り、表情も自信ありげな腹が立つ笑顔に戻る。
「ふんっ、そう言ってる奴こそ落ちやすい。中々落ちないなら落ちないで、落ちた時の楽しみが増えるだけだ」
「……いや、今のは、そんなレベルのクズ発言じゃなかったでしょ? どっちかって言うと雪風様が言いそうなこと言ったでしょ? それでその考えに至るのは流石に……おかしいでしょ」
「…………お前は知らなくていい。お前は俺が嫌いだと嘯きながら、俺に溺れていけばいい。好きなんだろ? 俺の事が。また呼んでやるよ、その時にまた好きなだけ抱くといい、嫌いだって嘘叫んで、俺に欲情してろ」
「……なんか、納得いきませんけど……俺は雪風様嫌いですよ?」
「ははっ、分かってる。好きなんだろ? 好きな子に意地悪したいお年頃だもんなぁ」
雪風はそう冗談めかして言いながら、ベッドの中心に移動して手足を伸ばし目を閉じる。
「俺は寝る。寝込みを襲うでも寝てる間に帰るでも好きにしろ」
「帰りますよ。じゃあ、さよなら。あの……訂正しておきますけど、俺は雪風様が嫌いですけど、都合のいい奴扱いは流石にしませんからね? そこんとこお願いしますよ。あと呼び出すのはマジでやめてください」
雪風からの返事はなく、俺はため息を吐いてからシャワールームに向かった。
鏡を見て痣を付けさせたことを思い出す。なんだかんだ言いながら楽しんでしまった、これを見せれば雪兎は俺に何をしてくれるだろうかと思えば、また楽しみが増える。
俺はここに来る前の憂鬱な気分を忘れ、鼻歌を歌いながらシャワーを浴びた。
ベッドに腰掛けぼうっとして、しばらくしてから雪風の存在を思い出した。
「……ゆ、雪風様? 大丈夫ですか?」
きょろんと赤い瞳がこちらを向く。雪風はゆっくりと体を横にし、抱き枕にそうするように俺の足に右手と右足を乗せた。
「真尋……」
「…………なんですか?」
ポチだ、と訂正するのは面倒だ。今の雪風に言っても無駄な気もする。
「真尋、ぶって」
「は?」
「……嫌いだって言って、殴って」
「いや、いやいやいや、それは流石に」
たった今抱いたばかりの想い人そっくりな男を殴れだなんて、無茶を言う。いや、その前に雪風は義父なのだ、殴れるような立場ではない。
「……愛してる、真尋」
「…………どーも」
その想いに返す気はないけれど。
「…………そこの奥、シャワールームがある。俺サイズだが着替えもある。好きに出てけ」
力なく扉を指差す。俺はその手を取って、手の甲に唇を触れさせた。
「雪風様、俺、あなたを抱くの気に入りました。そんなに俺が好きなら俺に抱かれに来てください。俺はあなたが大っ嫌いで、あなたを愛することはありませんけど、都合のいい穴扱いでいいならいくらでもヤってあげますよ?」
最低な発言だ。もちろん本心ではない、完全にとは言えないけれど。
雪風に呼び出されるのはもう懲り懲りだ、関わるのもそうだ。この発言で嫌ってくれるのなら御の字、嫌わなくても今回のように呼び出されることが減れば悪くない。
だが、俺の目論見は外れて雪風はさらに顔を蕩けさせて笑っている。
「あ、あの、雪風様?」
しっかり聞こえなかったのか? ぼうっとしていて理解出来なかったのか?
「……分かってます? 今俺、めちゃくちゃな事言いましたよ?」
あの発言を肯定されては、俺がただのクズになってしまう。嫌だ、俺は策士になりたい。
「嫌いだって言ってくれるんだろ?」
「落とすのが好きなんじゃないんですか? 俺あなたを好きになりませんよ?」
雪風の瞳に少しずつ冷たさが戻り、表情も自信ありげな腹が立つ笑顔に戻る。
「ふんっ、そう言ってる奴こそ落ちやすい。中々落ちないなら落ちないで、落ちた時の楽しみが増えるだけだ」
「……いや、今のは、そんなレベルのクズ発言じゃなかったでしょ? どっちかって言うと雪風様が言いそうなこと言ったでしょ? それでその考えに至るのは流石に……おかしいでしょ」
「…………お前は知らなくていい。お前は俺が嫌いだと嘯きながら、俺に溺れていけばいい。好きなんだろ? 俺の事が。また呼んでやるよ、その時にまた好きなだけ抱くといい、嫌いだって嘘叫んで、俺に欲情してろ」
「……なんか、納得いきませんけど……俺は雪風様嫌いですよ?」
「ははっ、分かってる。好きなんだろ? 好きな子に意地悪したいお年頃だもんなぁ」
雪風はそう冗談めかして言いながら、ベッドの中心に移動して手足を伸ばし目を閉じる。
「俺は寝る。寝込みを襲うでも寝てる間に帰るでも好きにしろ」
「帰りますよ。じゃあ、さよなら。あの……訂正しておきますけど、俺は雪風様が嫌いですけど、都合のいい奴扱いは流石にしませんからね? そこんとこお願いしますよ。あと呼び出すのはマジでやめてください」
雪風からの返事はなく、俺はため息を吐いてからシャワールームに向かった。
鏡を見て痣を付けさせたことを思い出す。なんだかんだ言いながら楽しんでしまった、これを見せれば雪兎は俺に何をしてくれるだろうかと思えば、また楽しみが増える。
俺はここに来る前の憂鬱な気分を忘れ、鼻歌を歌いながらシャワーを浴びた。
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