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ふるこーすのひみつ
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ズボンはちゃんと履いていたのに、ベルトを抜かれて身体が勝手に跳ねて、痛いくらいに勃起した性器が露出してしまった。
雪兎にはまだ気付かれていない、そのはずだ、けれどいつ気付かれるか分からない。
「ポチ、何かして欲しいことあるでしょ? 言ってよ、正直に言えたらしてあげるから」
勘づかれてはいるのだろうか。だが、ここまではしたない奴だなんて思われたくない。外食中に発情するような淫乱だとバレたら信用が下がる。
「キス……して、ください」
「……それでいいの?」
「はいっ……長いの、してください」
これくらいなら体調不良が原因で不安になっているだけだと思われるだろう。本当に風邪ならキスなんてしてはいけない、だが──病気ではない確信はある。
しかし雪兎は病人だと思っているだろう。深い接触は避けるだろうし、体力を消耗するようなキスはしないはずだ。
俺は雪兎の頭に右腕を回し、左手でズボンを引き上げてしまおうと決めた。
「……んっ!? んっ……んん、はぁっ、ゆき、待っ……んんーっ!」
俺の予想に反し、雪兎からのキスは激しい。上顎や頬の内側を舐め回され、舌を吸われる。完全に雪兎のタイミングで行われる息継ぎでは上手く息を吸えないこともあって、更に顔が熱くなる。
左手に上手く力が入らない、ズボンを掴めない。早く隠さなければならないのに。
頭が真っ白になっていく。腰が勝手に揺れ、足が震えた。
「ふぅ……どう? 満足?」
雪兎の口が離れる。呼吸が整うと頭の中も明瞭になってきて、腰の辺りにふらふらと漂わせていた左手に生温い液体を感じ、もはや嗅ぎ慣れた不快な匂いが鼻に届く。
「…………満足したみたいだね?」
白濁液にまみれた左手が雪兎に捕まって、顔の前に持ってこられた。
「キスだけでイっちゃうなんて、ポチってばホント変態」
「ちが……違うっ、違います! ユキ様、これは……違うんです」
「何が違うの? 僕は好きだよ、食事中に勃たせちゃう淫乱なわんちゃん。可愛いと思うな」
雪兎は俺の左手を離し、服の上から腹を優しく撫でる。
「ぁ……ぁっ、ユキ様ぁっ……」
「…………すごい効き目。別荘帰れるかなぁ。ポチ、歩ける?」
効き目? 何の効き目?
「ユキ様っ……まさか、もしかしてっ……何か、飲ませて……」
食事を始めてから突然身体が熱くなった。少し撫でられただけで感じて、キスで絶頂するほど敏感になった。
そんな俺の異常に雪兎は動じることなく、全て察していたと言わんばかりに笑っている。
「いっぱい食べてくれて嬉しいよ。全部にちょっとずつ強力な媚薬混ぜてもらってたんだ、どんな人でも丸一日は自分でやり続けちゃうようなの……」
「なんでそんなっ……他の人も居たのに、向こうで何かやってたらどうする気なんですか!」
「あの人達はみーんな社員だから問題ないよ。観光地やそこの職員まではカバー出来ないけど、街ですれ違う人達や入る店の客はみーんな雪風の命令で来てる。変なとこ親バカなんだよね、そんなのするくらいなら普段もっと構ってくれた方が嬉しいのになぁ」
「全員……? じゃあ、この部屋……」
「あんまり汚すなって言ってたねー。やだねぇ本社から遠い連中は忠誠心が薄くって」
食事に薬を混ぜて、部屋を用意して──大勢に俺がどんな人間なのか分かっていたなんて、そんな……そんな辱めがあるか。
料理人も給仕も客も全員がこの部屋で俺がどうなっているか分かっている。雪兎に弄ばれていると分かっている。心中嘲っている奴も居るだろう。
「酷いですよっ……ユキ様ぁ……」
全て理解しても身体の火照りは引かない。それに何よりの屈辱を感じた。
雪兎にはまだ気付かれていない、そのはずだ、けれどいつ気付かれるか分からない。
「ポチ、何かして欲しいことあるでしょ? 言ってよ、正直に言えたらしてあげるから」
勘づかれてはいるのだろうか。だが、ここまではしたない奴だなんて思われたくない。外食中に発情するような淫乱だとバレたら信用が下がる。
「キス……して、ください」
「……それでいいの?」
「はいっ……長いの、してください」
これくらいなら体調不良が原因で不安になっているだけだと思われるだろう。本当に風邪ならキスなんてしてはいけない、だが──病気ではない確信はある。
しかし雪兎は病人だと思っているだろう。深い接触は避けるだろうし、体力を消耗するようなキスはしないはずだ。
俺は雪兎の頭に右腕を回し、左手でズボンを引き上げてしまおうと決めた。
「……んっ!? んっ……んん、はぁっ、ゆき、待っ……んんーっ!」
俺の予想に反し、雪兎からのキスは激しい。上顎や頬の内側を舐め回され、舌を吸われる。完全に雪兎のタイミングで行われる息継ぎでは上手く息を吸えないこともあって、更に顔が熱くなる。
左手に上手く力が入らない、ズボンを掴めない。早く隠さなければならないのに。
頭が真っ白になっていく。腰が勝手に揺れ、足が震えた。
「ふぅ……どう? 満足?」
雪兎の口が離れる。呼吸が整うと頭の中も明瞭になってきて、腰の辺りにふらふらと漂わせていた左手に生温い液体を感じ、もはや嗅ぎ慣れた不快な匂いが鼻に届く。
「…………満足したみたいだね?」
白濁液にまみれた左手が雪兎に捕まって、顔の前に持ってこられた。
「キスだけでイっちゃうなんて、ポチってばホント変態」
「ちが……違うっ、違います! ユキ様、これは……違うんです」
「何が違うの? 僕は好きだよ、食事中に勃たせちゃう淫乱なわんちゃん。可愛いと思うな」
雪兎は俺の左手を離し、服の上から腹を優しく撫でる。
「ぁ……ぁっ、ユキ様ぁっ……」
「…………すごい効き目。別荘帰れるかなぁ。ポチ、歩ける?」
効き目? 何の効き目?
「ユキ様っ……まさか、もしかしてっ……何か、飲ませて……」
食事を始めてから突然身体が熱くなった。少し撫でられただけで感じて、キスで絶頂するほど敏感になった。
そんな俺の異常に雪兎は動じることなく、全て察していたと言わんばかりに笑っている。
「いっぱい食べてくれて嬉しいよ。全部にちょっとずつ強力な媚薬混ぜてもらってたんだ、どんな人でも丸一日は自分でやり続けちゃうようなの……」
「なんでそんなっ……他の人も居たのに、向こうで何かやってたらどうする気なんですか!」
「あの人達はみーんな社員だから問題ないよ。観光地やそこの職員まではカバー出来ないけど、街ですれ違う人達や入る店の客はみーんな雪風の命令で来てる。変なとこ親バカなんだよね、そんなのするくらいなら普段もっと構ってくれた方が嬉しいのになぁ」
「全員……? じゃあ、この部屋……」
「あんまり汚すなって言ってたねー。やだねぇ本社から遠い連中は忠誠心が薄くって」
食事に薬を混ぜて、部屋を用意して──大勢に俺がどんな人間なのか分かっていたなんて、そんな……そんな辱めがあるか。
料理人も給仕も客も全員がこの部屋で俺がどうなっているか分かっている。雪兎に弄ばれていると分かっている。心中嘲っている奴も居るだろう。
「酷いですよっ……ユキ様ぁ……」
全て理解しても身体の火照りは引かない。それに何よりの屈辱を感じた。
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