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ぱーてぃ、に
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パンッ! という破裂音に驚き、両腕で頭と顔を庇った。その腕に紙紐がヘロヘロと落ちてくる。
「退院おめでとう!」
「退院おめでとー!」
目を開ければ紙吹雪が舞っている。クラッカー、か? クラッカーだ、目の前に立つ二人がカラフルな円錐を持っている。
「……真尋?」
「……ポチ?」
愛しい二人が揃って首を傾げる。照明を反射して輝く白髪を白いヘッドドレスが飾っていた。
「おいやっぱりクラッカーはダメだったんじゃないか? めっちゃビクッてしてたし」
「四十のおっさんがスカート履いてるからドン引きしてるんじゃないの」
「俺まだ三十代なんだけど!? つーかよぉ、皮脂マシマシの吹き出物だらけの中学生男子がミニスカ履いてる方が悲惨だからな!」
「はぁあ!? 僕は日頃のお手入れで生まれ持った美貌を保ってるもん! ニキビなんか一つもない!」
二人は共に俗に言うアキバ系の改造が成されたメイド服を着ている。見た目重視のふりふりエプロン、太腿が半分以上露出するミニスカート、靴下を吊り下げるガーターベルトも見えている。
「ゆ、ゆき……」
「何だ!」
「何!」
「めちゃくちゃ可愛い」
「だろー?」
「だよねー?」
言い争っていた二人は共に笑顔になったが、また睨み合った。
「真尋は俺に言ったんだけど!?」
「はぁ!? 僕に言ったに決まってるでしょ!」
赤い瞳が、赤紫の瞳が、俺を睨む。どっちだと聞いているのは声に出されなくとも分かる。
「二人とも、とっても可愛い」
「……だろー? そりゃそうだよな、ユキは俺に生き写しの自慢の息子だ、同じカッコしてんだから両方可愛いよな。俺が可愛いならユキも可愛い、ユキが可愛いなら俺も可愛いんだ」
白い手袋に包まれた手が俺の手を握る。絹の滑らかさが指の間に教えられる。
「ちょっと抜け駆けやめてよ! ポチ、雪風も可愛いかもしれないけど、僕の方が可愛いよね? 僕の方が若いんだから!」
ぽこぽこと腹を叩く雪兎の腰を左腕で掬い上げると、雪兎の手は俺の顔に届く。
「わっ……か、片手で持ち上げられるんだね、僕のこと…………えへへ、かっこいいね、ポチ」
「俺もユキなら片手で抱ける! さぁ、ユキ、お父さんの胸においで!」
「……メイド服来てる父親とか嫌すぎる」
気持ちは分かるがお前もメイド服着てるだろ、なんてご主人様には言えない。
「どうしてお二人共そんなお可愛らしいお召し物を?」
「ポチの退院祝いだよ。ポチが一番喜ぶの何かなって考えて……注文してたメイド服も届いたし、やっぱりこれかなーって……」
「真尋コスプレ好きだもんな。いや……演技しろとかめんどくさいこと言うしどっちかって言うとイメプか」
俺のことをよく分かってくれている。流石、ご主人様と恋人だ。
「ご馳走も用意したし」
「軽いゲームも用意したし」
「プレゼントもあるんだ」
「ほら、早く座れよ」
雪兎を抱えたまま雪風に腕を引かれた先には豪華な料理が並んだ机があった。しかもその料理は俺の好みに合ったものばかりだ。
「ありがとうございますユキ様、ありがとうな雪風、本っ当に嬉しい! 生きててよかった!」
四角い机の三方に椅子が置かれていて、俺は真ん中だと決まっているようだ。雪兎を下ろして椅子を引く──
「…………え?」
椅子の座面の真ん中にはディルドがあった、吸盤で固定されているのだろう。俺が椅子を引いたことによる揺れでぷるぷるしている。
「……あ、の、ユキ様? 雪風?」
「どうしたの? 早く座ってよ」
「無茶言うなよユキ、これじゃ座れないよな」
雪風はそう言って裁ち鋏を持った。雪兎は悪戯っ子な笑みを浮かべて俺のスラックスを引っ張り、雪風は縫い目に沿ってスラックスを切り、その切れ目から下着を引っ張り出して同じように切り、尻の割れ目を露出させた。
「これで座れるよね、ポチ」
「ローションなんか要らねぇよな?」
「え、いや……あの、普通に……食事を楽しむという選択肢は」
雪兎は右手の、雪風は左手の手袋を外し、スラックスと下着の切れ目から俺の素肌に直接触れた。きゅっと締めていたはずの割れ目を開かれ、穴の中に二本の中指が入り、それぞれ好き勝手に俺の中を掻き回した。
「ぁ、あぁあっ……! ぁ、ひっ……ぁんっ、んんっ……! ユキ、様っ……雪風っ! 俺は、普通にっ……」
「僕達、何したらポチ喜ぶかなってポチが入院した次の日から退院パーティの企画考えてたんだよ?」
「結果、媚薬漬けにして焦らして、パーティでぐっちょぐちょにしてやるのが一番だよなって」
事実、俺は下着を絞れるくらいに濡らしていた。腸液も先走りの汁も垂れ流し、雪風か雪兎かどちらに先に会えるかは分からないがどちらに会ってもすぐに発散させてくれると思っていた。
だから二本の指をすんなりと受け入れてぐちゅぐちゅと水音を鳴らさせ、蕩けた笑顔を浮かべているのだ。
「ポチ、嬉しそうだね」
「あぁ、企画第一、まずは成功だな」
中指が二本引き抜かれ、指だけでは物足りなさを感じていた腸壁が更に切なくなって蠢く。ヒクヒクと震える穴を埋めたいと思考し、俺の目は椅子に固定されたディルドを見つけて歓びに歪んだ。
「退院おめでとう!」
「退院おめでとー!」
目を開ければ紙吹雪が舞っている。クラッカー、か? クラッカーだ、目の前に立つ二人がカラフルな円錐を持っている。
「……真尋?」
「……ポチ?」
愛しい二人が揃って首を傾げる。照明を反射して輝く白髪を白いヘッドドレスが飾っていた。
「おいやっぱりクラッカーはダメだったんじゃないか? めっちゃビクッてしてたし」
「四十のおっさんがスカート履いてるからドン引きしてるんじゃないの」
「俺まだ三十代なんだけど!? つーかよぉ、皮脂マシマシの吹き出物だらけの中学生男子がミニスカ履いてる方が悲惨だからな!」
「はぁあ!? 僕は日頃のお手入れで生まれ持った美貌を保ってるもん! ニキビなんか一つもない!」
二人は共に俗に言うアキバ系の改造が成されたメイド服を着ている。見た目重視のふりふりエプロン、太腿が半分以上露出するミニスカート、靴下を吊り下げるガーターベルトも見えている。
「ゆ、ゆき……」
「何だ!」
「何!」
「めちゃくちゃ可愛い」
「だろー?」
「だよねー?」
言い争っていた二人は共に笑顔になったが、また睨み合った。
「真尋は俺に言ったんだけど!?」
「はぁ!? 僕に言ったに決まってるでしょ!」
赤い瞳が、赤紫の瞳が、俺を睨む。どっちだと聞いているのは声に出されなくとも分かる。
「二人とも、とっても可愛い」
「……だろー? そりゃそうだよな、ユキは俺に生き写しの自慢の息子だ、同じカッコしてんだから両方可愛いよな。俺が可愛いならユキも可愛い、ユキが可愛いなら俺も可愛いんだ」
白い手袋に包まれた手が俺の手を握る。絹の滑らかさが指の間に教えられる。
「ちょっと抜け駆けやめてよ! ポチ、雪風も可愛いかもしれないけど、僕の方が可愛いよね? 僕の方が若いんだから!」
ぽこぽこと腹を叩く雪兎の腰を左腕で掬い上げると、雪兎の手は俺の顔に届く。
「わっ……か、片手で持ち上げられるんだね、僕のこと…………えへへ、かっこいいね、ポチ」
「俺もユキなら片手で抱ける! さぁ、ユキ、お父さんの胸においで!」
「……メイド服来てる父親とか嫌すぎる」
気持ちは分かるがお前もメイド服着てるだろ、なんてご主人様には言えない。
「どうしてお二人共そんなお可愛らしいお召し物を?」
「ポチの退院祝いだよ。ポチが一番喜ぶの何かなって考えて……注文してたメイド服も届いたし、やっぱりこれかなーって……」
「真尋コスプレ好きだもんな。いや……演技しろとかめんどくさいこと言うしどっちかって言うとイメプか」
俺のことをよく分かってくれている。流石、ご主人様と恋人だ。
「ご馳走も用意したし」
「軽いゲームも用意したし」
「プレゼントもあるんだ」
「ほら、早く座れよ」
雪兎を抱えたまま雪風に腕を引かれた先には豪華な料理が並んだ机があった。しかもその料理は俺の好みに合ったものばかりだ。
「ありがとうございますユキ様、ありがとうな雪風、本っ当に嬉しい! 生きててよかった!」
四角い机の三方に椅子が置かれていて、俺は真ん中だと決まっているようだ。雪兎を下ろして椅子を引く──
「…………え?」
椅子の座面の真ん中にはディルドがあった、吸盤で固定されているのだろう。俺が椅子を引いたことによる揺れでぷるぷるしている。
「……あ、の、ユキ様? 雪風?」
「どうしたの? 早く座ってよ」
「無茶言うなよユキ、これじゃ座れないよな」
雪風はそう言って裁ち鋏を持った。雪兎は悪戯っ子な笑みを浮かべて俺のスラックスを引っ張り、雪風は縫い目に沿ってスラックスを切り、その切れ目から下着を引っ張り出して同じように切り、尻の割れ目を露出させた。
「これで座れるよね、ポチ」
「ローションなんか要らねぇよな?」
「え、いや……あの、普通に……食事を楽しむという選択肢は」
雪兎は右手の、雪風は左手の手袋を外し、スラックスと下着の切れ目から俺の素肌に直接触れた。きゅっと締めていたはずの割れ目を開かれ、穴の中に二本の中指が入り、それぞれ好き勝手に俺の中を掻き回した。
「ぁ、あぁあっ……! ぁ、ひっ……ぁんっ、んんっ……! ユキ、様っ……雪風っ! 俺は、普通にっ……」
「僕達、何したらポチ喜ぶかなってポチが入院した次の日から退院パーティの企画考えてたんだよ?」
「結果、媚薬漬けにして焦らして、パーティでぐっちょぐちょにしてやるのが一番だよなって」
事実、俺は下着を絞れるくらいに濡らしていた。腸液も先走りの汁も垂れ流し、雪風か雪兎かどちらに先に会えるかは分からないがどちらに会ってもすぐに発散させてくれると思っていた。
だから二本の指をすんなりと受け入れてぐちゅぐちゅと水音を鳴らさせ、蕩けた笑顔を浮かべているのだ。
「ポチ、嬉しそうだね」
「あぁ、企画第一、まずは成功だな」
中指が二本引き抜かれ、指だけでは物足りなさを感じていた腸壁が更に切なくなって蠢く。ヒクヒクと震える穴を埋めたいと思考し、俺の目は椅子に固定されたディルドを見つけて歓びに歪んだ。
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