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待ちに待った二人だけの空間
気が付けば目に付く
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▼カーテンを半分閉じたリビング。ソファの上には、レンタルしてきた旧作シリーズのDVDパッケージがいくつも並んでいた。
TVディスプレイには旧作の映画が映し出される。
照明を落としたリビングは、映画館とは違う小さな明かりだけ。
二人の距離はソファのクッションひとつ分。近いけど、まだ安心できる距離。
映画が始まって間もなく、浅見は思わず前のめりになった。
「……懐かしい」と小さく声を漏らし、目が一気に輝く。先程までの淡い緊張感はどこへやら。そのまま流れてくる映像を、浅見は身を乗り出して画面に集中している。
けれど城崎の視線は、ディスプレイよりもその横顔へと何度も吸い寄せられた。
ディスプレイに釘付けで、照らされる横顔。
「(映画館で見た時も思ったけど…)」
派手に笑ったり驚いたりするわけじゃない。けれど瞳の輝きが、子供のように無垢に映る。
それが、不意に胸の奥をざわつかせた。
「(……ほんとガキみてぇだな。でも、可愛い)」
▼浅見は夢中になっていた。シーンが進むたびに目を輝かせ、懐かしい音楽が流れると小さく体を揺らす。ときどき口元がほころび、気付けば手のひらで膝をトントン叩いていた。
画面に映るのは少し古い映像。アクションシーンも今と比べると簡素なのに、浅見は頬を上気させて夢中になっている。
「うわぁ…このBGM、まだ同じだ」
「そんな前からあったのか」
「はい!小さいころから何回も聞いたんですけど、ちゃんと見たのは今日が初めてなんです」
声を抑えているつもりなのに、楽しさが隠しきれない。
手のひらで膝をトントン叩く癖まで出てしまい、彼女自身も気づいていない。
城崎は腕を組んでディスプレイに視線を向けたまま、目だけで彼女を盗み見る。アクションシーンの迫力ではなく、横で笑う浅見の反応に胸の奥がざわめく。
城崎は唇の端を少しだけ持ち上げ、ディスプレイに戻るふりをして視線を逸らした。
▼「このシーンが伝説って言われてたやつですよ!当時、映画館は拍手が起こったって…!」
目を輝かせながら身を乗り出す彼女。その姿を横で見て、城崎は缶コーヒーを片手に小さく鼻を鳴らした。
「そんな詳しく知ってんなら、もう見なくていいんじゃねぇか?」
「ち、違います! やっぱり本編見るのが一番ですから!」
そう言ってソファに正座する浅見。その真剣な顔に、城崎は思わず口元を緩めた。
ディスプレイに映る迫力あるシーン。浅見はポップコーンをつまみながら時折「おおー」と小さな声を漏らす。
アクションの見せ場では思わず両手で口を押さえ、感動シーンではじんわりと目頭を押さえていた。
やがてエンドロール。部屋に流れる音楽に身を預けながら、浅見は大きく息を吐いた。
「……すごい。やっぱり旧作も最高ですね!」
「そうか」
「だって、今のシリーズに繋がる伏線もあったし……あ、あの冒頭の車! 新作でちょっと出てきましたよね?」
「おう。……よく見てんな」
嬉しそうに両手を動かして語る浅見。その隣で城崎は腕を組み、視線を彼女から外せずにいた。
「(……何でだろ。俺、映画の内容より浅見さんの反応ばっか覚えてやがる)」
▼浅見はお菓子の袋を開けて、ポテチを一枚摘まんで口に放り込んだ。
「ん~~やっぱり映画のお供はこれですね!」
ぽりぽりと音を立てながら笑うその顔に、城崎は腕を組んだまま「子どもかよ」と小さく呟く。
でも、その声音は呆れよりも、むしろ愛しさに近かった。
「……にしても、旧作も熱かったな」
「ですよね!伏線が繋がる瞬間、ゾクゾクしました!」
「アンタ、さっきから興奮しっぱなしだな」
「っえ、あはは…つい」
TVディスプレイには旧作の映画が映し出される。
照明を落としたリビングは、映画館とは違う小さな明かりだけ。
二人の距離はソファのクッションひとつ分。近いけど、まだ安心できる距離。
映画が始まって間もなく、浅見は思わず前のめりになった。
「……懐かしい」と小さく声を漏らし、目が一気に輝く。先程までの淡い緊張感はどこへやら。そのまま流れてくる映像を、浅見は身を乗り出して画面に集中している。
けれど城崎の視線は、ディスプレイよりもその横顔へと何度も吸い寄せられた。
ディスプレイに釘付けで、照らされる横顔。
「(映画館で見た時も思ったけど…)」
派手に笑ったり驚いたりするわけじゃない。けれど瞳の輝きが、子供のように無垢に映る。
それが、不意に胸の奥をざわつかせた。
「(……ほんとガキみてぇだな。でも、可愛い)」
▼浅見は夢中になっていた。シーンが進むたびに目を輝かせ、懐かしい音楽が流れると小さく体を揺らす。ときどき口元がほころび、気付けば手のひらで膝をトントン叩いていた。
画面に映るのは少し古い映像。アクションシーンも今と比べると簡素なのに、浅見は頬を上気させて夢中になっている。
「うわぁ…このBGM、まだ同じだ」
「そんな前からあったのか」
「はい!小さいころから何回も聞いたんですけど、ちゃんと見たのは今日が初めてなんです」
声を抑えているつもりなのに、楽しさが隠しきれない。
手のひらで膝をトントン叩く癖まで出てしまい、彼女自身も気づいていない。
城崎は腕を組んでディスプレイに視線を向けたまま、目だけで彼女を盗み見る。アクションシーンの迫力ではなく、横で笑う浅見の反応に胸の奥がざわめく。
城崎は唇の端を少しだけ持ち上げ、ディスプレイに戻るふりをして視線を逸らした。
▼「このシーンが伝説って言われてたやつですよ!当時、映画館は拍手が起こったって…!」
目を輝かせながら身を乗り出す彼女。その姿を横で見て、城崎は缶コーヒーを片手に小さく鼻を鳴らした。
「そんな詳しく知ってんなら、もう見なくていいんじゃねぇか?」
「ち、違います! やっぱり本編見るのが一番ですから!」
そう言ってソファに正座する浅見。その真剣な顔に、城崎は思わず口元を緩めた。
ディスプレイに映る迫力あるシーン。浅見はポップコーンをつまみながら時折「おおー」と小さな声を漏らす。
アクションの見せ場では思わず両手で口を押さえ、感動シーンではじんわりと目頭を押さえていた。
やがてエンドロール。部屋に流れる音楽に身を預けながら、浅見は大きく息を吐いた。
「……すごい。やっぱり旧作も最高ですね!」
「そうか」
「だって、今のシリーズに繋がる伏線もあったし……あ、あの冒頭の車! 新作でちょっと出てきましたよね?」
「おう。……よく見てんな」
嬉しそうに両手を動かして語る浅見。その隣で城崎は腕を組み、視線を彼女から外せずにいた。
「(……何でだろ。俺、映画の内容より浅見さんの反応ばっか覚えてやがる)」
▼浅見はお菓子の袋を開けて、ポテチを一枚摘まんで口に放り込んだ。
「ん~~やっぱり映画のお供はこれですね!」
ぽりぽりと音を立てながら笑うその顔に、城崎は腕を組んだまま「子どもかよ」と小さく呟く。
でも、その声音は呆れよりも、むしろ愛しさに近かった。
「……にしても、旧作も熱かったな」
「ですよね!伏線が繋がる瞬間、ゾクゾクしました!」
「アンタ、さっきから興奮しっぱなしだな」
「っえ、あはは…つい」
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