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廃村の亡霊編
慟哭と憎悪の囚われビト 3
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痛い……痛い、痛い、痛い……
痛い痛い痛い痛いイタいイタいイタいイタいイタい……
――イタイ!!!!!
天馬の視界が真っ赤に染まり、肩から駆け抜ける信号は、強烈なまでの熱さを脳に伝達する。
腕から発生した激痛は熱へと変換され、火箸でも傷口に突っ込まれているかのようだ。
「っ……」
歯を食い縛り、何とか立ち続ける。
脂汗を額に浮かべ、涙が溢れても、天馬は倒れることだけは必死に堪えた。
「お、お姉さま……腕、お姉さまの、腕が……」
声を震わせて、落ちた左腕と天馬へ交互に視線を向けるアリーチェ。
ダクダクと流れ出る血が床を汚し、赤い水溜りが出来上がっていく。
「はぁ、はぁ、はぁ……ア、アリーチェ、さん……無事、ですね……?」
「え、あ、私、私は……」
「あと、で、『お尻ペンペン』、1000回、ですからね……覚悟、しておいて、ください……ねっ!」
「っ?!」
アリーチェは、思いがけず大声で叱責してきた天馬に、体をビクリと反応させた。
「もう、二度と自分を犠牲にしようなんて、思わないで……ください……次にやったら、はぁ、はぁ……本気で、怒りますから……!」
「あ、あう……でも、でも……腕が、お姉さまの、腕……」
そろりと、恐る恐るいった様子で、転がり落ちてしまった天馬の腕を拾い上げるアリーチェ。
「これ、これ……」
「は、はは……取れちゃい、ましたね……アリーチェさん、少し、その腕、持っててくれますか? 後で、『くっ付けないと』いけません、から……」
「あ、あぁ、お姉さま、私……私は……」
「怯えないで……大丈夫。……わたしは、大丈夫、ですから……」
「あ、ああ、あああ~……」
アリーチェは、天馬の腕を抱いたまま、腰を抜かして、その場にへたり込んでしまった。
「私のせいで……私の……せいで……お姉さまの、腕……うで、が………………」
「っ?! アリーチェさん!」
その場に崩れ落ちるように倒れたアリーチェ。
天馬は己の体を蝕む激痛を無視して、倒れたアリーチェの様子を窺う。
「はぁ~……気絶しただけ、ですか……」
どうやら、ショックで気を失っただけのようである。
胸がゆっくり上下に動いているのを確認した天馬は、ほぅと安堵のため息を漏らした。
しかし、
「あぐ~! ~~~~~~~~っつ!」
肩からの激痛を再度意識してしまい、そのまま床に膝を着いてしまう。
「さすがに、しんどい……でも……」
それは、天馬『だけ』ではないはずだ。
その証拠に先程から、背後の存在は天馬たちに干渉してくる気配がない。
その代わり……
「グ、グギ、アアア、アガッ、アァァ……」
苦しみ悶えるような呻き声が聞こえてくる。
天馬は、声の主に振り替えり、その姿を視界に納める。
「はぁ、はぁ……お互い、ひどい有り様ですね……アリアさん……」
見れば、アリアの左腕も、肩から先が消滅して、どす黒い魔力を血のように流していた。
「ゴノ、コムスメ、ガ……! 私ノ魂ヲ、掠メ取ッタナ!!」
「……お互い様でしょ。こっちだって、この有り様です」
「グゥ~~ッ!」
獣のように唸り声を上げるアリアは、暗い瞳を逆立てて、天馬を睨み付けてきた。
天馬と同様に、肩から先の左腕が失われたアリア。
片や赤、片や黒。
流すのは命と憎悪。
お互い顔に苦悶の表情が浮かぶ中、天馬は足を引き摺るようにアリアへと近付いていく。
「マサカ、自分ノ腕ヲ犠牲ニシテ、私ノ動キヲ止メテクルナンテ……」
「……」
魂とは、魔力の塊であり、そうして形作られている今のアリアも、髪の毛から足の爪先。果ては衣服に至るまで、全てが魔力で出来ているのだ。
そんな彼女の魔力を、天馬は伸びてきた触手に触れられた瞬間に、奪い取ったのだ。
そんなことをすれば、肉体を失った魂だけの存在は、文字通り体の一部を欠損するのと同義である。
こちらも小さくない被害を受けたが、アリアの方は天馬以上に芳しくない状態であろう。
何せ自分を形作る魂が傷付いたのだ。
ただ肉体を壊された天馬とでは、その受けた傷の深さが違う。
「正気ジャナイワ……ソコマデシテ、何故他人ヲ助ケラレルノ?!」
アリアは顔を歪めて、天馬をまるで理解できないものでも見るような視線を向けてくる。
そんな彼女に対して、天馬は自嘲気味な笑顔を浮かべた。
「わたしは、とてもずるいひとです。わたしは、この世界で一人になりたくないから、特別な力を使って、皆を惹き付けた……」
あまりの激痛からか、肩から送られてくる痛みが鈍くなってくる。
それと平行して、失われた血液が多すぎて、目が霞んできた。
「もう、一人ぼっちは嫌なんです。孤独を味わいたくはないんです。だからわたしは、この身にいかなる災厄を受けても、皆を助けるんです。だってそうすれば、皆はわたしと一緒にいてくれるから……傍にいることを、許してくれる気がするから……特別な力で皆を縛っている罪悪感から逃げたいから、わたしは……助けるんです」
そうだ。それが本音だ。
天馬は、前世で一人だった。顔が怖いというだけで、彼はずっと一人であることを強いられてきた。
だから、この世界でひとから好かれるようになり、歓喜した。それが例え、女神としての力によるものあってもでも。
ひとの心に干渉する、忌まわしい力による好意であっても、縋り付きたかった。
「わたしがみんなを助けるのは当然なんです。それが、彼等がわたしから受け取るべき見返りなんですから…………」
だって、心を操られてまで天馬と共にいてくれるのに、それで天馬が何も返さねば、それは一方的な搾取と同じではないか。
「全てはわたしの為です。どこまでいってもわたしは自己中心的で、醜い。でも、それでも……皆と一緒にいたんです」
ああ、この告白はなんなんだろう?
相手は亡者を縛り付ける悪霊だ。
そんな彼女に、天馬は全てを吐露している。
己の弱さを吐き出している。
もうすぐ、意識が消えて、自分は死ぬ。
そうしたら、また生き返るのだろう。
でも、その前に、天馬にはやるべきことがある。
「だからわたしは……あなたに縛られている悲しい大勢の魂を、天に還します……そして、憎しみだけに囚われたあなたの心を、わたしが浄化します! 強引にでも、あなたを……救ってみせます!」
「……フザケルナ」
天馬の言葉に、彼女の体が震えて、内側からどす黒い魔力が迸る。
腕から流れ出る黒い魔力も、粘度を増したように床に零れていく。
幸い、天馬がシャーロットの周りを【聖域】で守護しているため、彼女に魔力が掛かることはない。
しかし、泥のような魔力は、天馬の足元にまで伸びてきて、その体を蝕もうと這いずってくる。
「コノ偽善者……私ヲ救ウ? オ前ノヨウナ女ニ、私ノ何ガ救エル?! コノ体ニ刻マレタ苦痛ト絶望ト屈辱ヲ、オ前如キガ理解デキルノカ?! 家族ニ裏切ラレテタ私ノ痛ミヲ、本気デ救エルナドト思ッテルイノカ?! 自惚レルナ小娘!!!」
そして遂に、彼女の憎悪を孕んだ黒い魔力が、天馬の足元から体に向かって昇り始める。
「っ、あぐ……」
まるで皮膚を焼かれるような激痛が、魔力に触れた箇所から全身へと広がっていく。
どす黒い魔力は、徐々に天馬の脚、腰、腹、胸、顔にまで這い上がってきた。
「…………あ」
全身を苛む激痛に、天馬の意識が闇の中に落ちようとしている。
しかし、それと同時に、アリアの魔力を、天馬は体に吸収してしまう。
もしこのまま天馬が魔力を吸収し続ければ、アリアの魂は消滅してしまうだろう。
だがアリアは、そんなことはお構いなしと言わんばかりに、魔力を放出し、天馬の体を絡め取っていく。
暗い感情のみに突き動かされる衝動的な行動。
魂を直接流し込まれるに等しいことをされている天馬は、彼女の『全て』を受けれている状態だった。
感情も、記憶も、何もかも……
そうして、天馬は黒い魔力に全身を覆われてしまう。
体に感じていた激痛は既になく、あるのは押しつぶされそうなほどの憎悪に満ちた彼女からの圧力のみ。
視界が闇に閉ざされ、天馬は深い奈落の底へと落ちていった。
……ここは?
辺りは真っ暗……いや、真っ黒だった。
……ああ、そうか。俺はアリアの闇に呑まれたのか。
だとすれば、ここは彼女の心の中といことになるのだろうか。
……何も見えない。
一寸先も見通すことができない深い、深い闇。
……これが、彼女の心。
天馬は、先程流れてきた彼女の過去を思い出し、胸が締め付けられた。
……マルティナの記憶と似てる。けど、アリアは近しい者達から、勝手に生贄として捧げられ、心が壊れた。
あげく、苦痛や恥辱のはてに、彼女は死んだ。
むごたらしく、みじめな最後だった。
体中を魔物に穢され、恥辱を味わい、最後は生餌となって終わったのだ。
……ああ、彼女の憎しみは当然だ。
報復することが正当だと思えるほどに、彼女の受けた仕打ちはあまりにも凄惨に過ぎた。
……
すると、闇の中に一人、ぽつんと膝を抱えるアリアの姿を見つけた。
その姿は、彼女が生贄にされた時と同様に、衣服を一切身に付けていない、全裸の状態であった。
「……ねぇ、見えているのでしょう?」
しかも彼女の首には、太く忌まわしい色彩を放つ鎖が巻かれ、その先は闇の地面に深くめり込み、とても抜けそうにない。
「惨めでしょ、これ……」
アリアが語り掛けてくる。
鎖に繋がれたアリアは、先程までの異形の姿ではなく、飴色の瞳を悲しげに細めて、闇の奥を見つめていた。
それを追い掛けるように、天馬も彼女と同じ方向に視線を向ける。
「そろそろ、来るわよ……」
え?
と、天馬が首を傾げると、
「ほら、来た……」
なっ?! あれは……
彼女の見つめる先、そこから、彼女の記憶で見た魔物の群れが、忽然と出現した。
大きな鷲鼻に、子供のような体躯。緑色の皮膚を持った醜悪な子鬼……【ゴブリン】。
その後ろに、身の丈2メートルはあろうかという巨躯を持つ、大きな牙が生えた厳つい形相の亜人……【オーク】
そして、黒に近い灰色の毛並みに、赤い瞳を爛々と輝かせる魔狼。
狼はともかく、ゴブリンとオークは、アリアの姿を捉えるなり、その醜悪な顔で口角を上げ、下卑た笑みを浮かべたのだ。
「……」
アリアは無言で魔物の群れを眺める。
達観し、諦観し、虚無に彩られた瞳は、これから起こる全ての出来事を、受け入れているかのようだった。
すると、
ゲギャギャアアアアア――ッッ!
おおおおおおおお――っっ!
ぐるるるるるる……!
魔物達が、一斉に動き出した。
進む先にいるのは、もちろん、アリアだ。
っ! アリアさん!!
アリアは瞬く間に魔物の群れに取り囲まれ、そして……
ああ、ああ……そんな……
天馬の目の前で、アリアは犯され、全身に穢れを受ける。
そのはてに、
ぐしゃ!
魔物たちの餌として、喰われた。
…………!!!
天馬はその光景を、ただ見ていることしかできなかった。
ア、アリア、さん……
天馬には力がある。
しかし、この空間では、天馬はいかなる魔法も使うことができなかった。
ただただアリアが陵辱され、食い殺される様を、呆然と見ていることしかできなかった。
そして、意識が再び闇の中に沈んでいく。
次に目覚めると、また、そこには鎖に繋がれたアリアの姿が。
えっ?!
どういうことか分からず、天馬は立ち尽くす。
だが、その間にまたしても、
ゲギャギャギャギャ!
ぐおおおおおおお――っ!
うおおおおお――ん!
魔物の群れが現れ、アリアを囲み、蹂躙を開始する。
待て! やめろ!
しかし、天馬の制止は虚しく闇に溶けていき、アリアは再び魔物に喰い殺された。
そしてまた、意識が飛ぶ。
目覚める。
魔物がアリアを陵辱し、喰い殺す。
陵辱、殺害、陵辱、殺害……
陵辱殺害陵辱殺害陵辱殺害陵辱殺害陵辱殺害……!!
やめろ、やめろ、やめろ――っっ!!!
幾多の陵辱と殺害の瞬間を永遠と見せ付けられた天馬は、頭が壊れてしまいそうだった。
そして、またしても光景はループする。
鎖に繋がれたアリア。その瞳には何も映さず、ただ闇を覗いている。
「これが、今の私……記憶に焼き付いた自分の最後を、私はここで何度も繰り返してるの……何度も、何度も……もう、私の体は痛みも苦しみも忘れてしまったわ……」
……っ。
「この光景を見ても、まだあなたは、わたしを救うなんて戯言をほざける? 仮にここで悪夢が終わっても、私はもう死んでいるの……あとはもう、無に還るだけ」
それは……
「私の心は、もう助からない。植え込まれた絶望は決して抜けない……この鎖が、その証拠」
くっ……
アリアが鎖を持ち上げると、重たいジャラ、という不快な音が鼓膜に響く。
「全部、もう終わっているの……だから、救いなんていらない……私はずっとここで、憎しみを振りまいて、私をこんな目に合わせた皆を、呪ったまま存在し続けるの……」
そんなこと……
「……さぁ、また始まるわ。あなたの心は、あと何回で壊れるかしらね?」
…………
「あなたに私は救えない。そこでただ黙って、私の記憶を見ているだけのあなたには、何もできやしないわ」
……
打ちのめされた気分だった。
今までは、多少なりとも力を使って現状を打開してきた。
しかし、今は何もできず、たた案山子のように立っているだけ。
何もできず、何もせず、ただただ立ち尽くすのみ。
実は何でもできるんじゃないかと、自惚れていた。
だが現実は、この有様だ。
だったらもう、全て諦めてしまえばいい。
魔法は使えないが、『女神としてのスキル』なら、この空間でも使うことができるようだ。
それなら、アリアのことなど何も考えず、ただスキルを使って、彼女を昇天させればいい。
それで、全てうまくいく。
それで、全てが終わる……
――本当に、そうだろうか?
ただの力技でこの事態を解決することが、本当に正しいのだろうか?
……違う。
己の無力を言い訳に、彼女を救わないことが、許されていいのか?
違う。
なら、どうするか。
決まっている。
助けるのだ、彼女を!
天馬は決意を心に宿すと、体を戒めていた見えない拘束は消えた。
弱気な心を追い出し、天馬は駆ける。
「アリアさん!」
「っ?! 何故……?!」
「わたしは……『俺』は、なんと言われようとも、あなたを救います!」
天馬は地面にめり込んだ鎖を掴み上げ、力の限り引っ張った。
「(ここで彼女一人を救えなくて、世界の管理なんてできるわけがないだろ!)」
天馬は、あらん限りの力を込めて、鎖を引っ張った。
「無駄よ。私だって、何度もこの鎖をどうにかしようと思った。でも、できなかった。力じゃ、この鎖を壊すことはもとより、引き抜くことだってできやしないわ」
「そんものは、俺がどうにかしますよ! いや、できなくちゃダメなんだ!」
天馬は残った右手で、鎖を引っ張る。
強く握られたその手からは血が流れ、関節や筋肉が悲鳴を上げる。
「…………」
アリアは、目を丸くした。
なぜ、赤の他人である自分を、彼女はここまで救おうとするのだろうか?
まだ、親しい者のために、自分が傷ついても守ろうとする行動は理解ができる。
だが、アリアは天馬との関係は皆無、
いや、むしろ積極的に存在を忌避されてもおかしくないほど、自分は彼女たちを苦しめたはずだ。
だというのに、
「ぐううううううう……!」
彼女のこの真剣な瞳は、何なのだろう?
しかし、天馬が鎖と格闘している最中でも、暴虐の徒は、その姿を現した。
「もういいわ、このままだと、あなたも私の記憶の巻き添えを喰うわよ?」
アリアの言葉に、天馬は背後を振り替える。
そこには、何度も目にした魔物たちの姿が。
しかし天馬は、それに臆することなく、いやむしろ、
「邪魔です!」
それだけ口にすると、天馬は彼らの周囲を【聖域】の結界で囲み、閉じ込めてしまった。
「えっ?!」
さしものアリアも、その光景には目を見張った。
【聖域】は、邪悪なものから身を守ることができる力ではあるが、こうして相手を閉じ込めることもできるのだ。
その間も、天馬は鎖を引き続ける。
「ぐ、むう、あああああああ――――っ!!」
雄叫びを上げて、天馬は腕が血塗れになろうとも、鎖を引き続けた、
「もういいわ、ありがとう。ここまでしてくれて……私を本気で救おうとしてくれて、嬉しかった。でも、もういいの……あなたは、この闇から出してあげる。そしたら、外にいるお友達と一緒に、村から離れなさい」
「いいえ、絶対に諦めません! あなたを助けるまで、俺は絶対に、諦めない!」
そうだ。諦めてなるものか。
この忌々しい鎖の呪縛から彼女を解き放ち、その魂を解放する。
その為には、
「(この鎖を、空間ごと【浄化】する!!)」
天馬は、手に力を込めて、スキルを発動させるイメージを描く。
「砕けろおおおおおおおおっっ――――!!」
「っ?!」
瞬間、天馬の体から迸った光の奔流は、アリアと、空間の闇全てを照らし出す。
そして、今まで、何十年もアリアも拘束していた鎖にヒビが入るや……
――バキーン!!
甲高い音を立てて、盛大に砕け散った。
痛い痛い痛い痛いイタいイタいイタいイタいイタい……
――イタイ!!!!!
天馬の視界が真っ赤に染まり、肩から駆け抜ける信号は、強烈なまでの熱さを脳に伝達する。
腕から発生した激痛は熱へと変換され、火箸でも傷口に突っ込まれているかのようだ。
「っ……」
歯を食い縛り、何とか立ち続ける。
脂汗を額に浮かべ、涙が溢れても、天馬は倒れることだけは必死に堪えた。
「お、お姉さま……腕、お姉さまの、腕が……」
声を震わせて、落ちた左腕と天馬へ交互に視線を向けるアリーチェ。
ダクダクと流れ出る血が床を汚し、赤い水溜りが出来上がっていく。
「はぁ、はぁ、はぁ……ア、アリーチェ、さん……無事、ですね……?」
「え、あ、私、私は……」
「あと、で、『お尻ペンペン』、1000回、ですからね……覚悟、しておいて、ください……ねっ!」
「っ?!」
アリーチェは、思いがけず大声で叱責してきた天馬に、体をビクリと反応させた。
「もう、二度と自分を犠牲にしようなんて、思わないで……ください……次にやったら、はぁ、はぁ……本気で、怒りますから……!」
「あ、あう……でも、でも……腕が、お姉さまの、腕……」
そろりと、恐る恐るいった様子で、転がり落ちてしまった天馬の腕を拾い上げるアリーチェ。
「これ、これ……」
「は、はは……取れちゃい、ましたね……アリーチェさん、少し、その腕、持っててくれますか? 後で、『くっ付けないと』いけません、から……」
「あ、あぁ、お姉さま、私……私は……」
「怯えないで……大丈夫。……わたしは、大丈夫、ですから……」
「あ、ああ、あああ~……」
アリーチェは、天馬の腕を抱いたまま、腰を抜かして、その場にへたり込んでしまった。
「私のせいで……私の……せいで……お姉さまの、腕……うで、が………………」
「っ?! アリーチェさん!」
その場に崩れ落ちるように倒れたアリーチェ。
天馬は己の体を蝕む激痛を無視して、倒れたアリーチェの様子を窺う。
「はぁ~……気絶しただけ、ですか……」
どうやら、ショックで気を失っただけのようである。
胸がゆっくり上下に動いているのを確認した天馬は、ほぅと安堵のため息を漏らした。
しかし、
「あぐ~! ~~~~~~~~っつ!」
肩からの激痛を再度意識してしまい、そのまま床に膝を着いてしまう。
「さすがに、しんどい……でも……」
それは、天馬『だけ』ではないはずだ。
その証拠に先程から、背後の存在は天馬たちに干渉してくる気配がない。
その代わり……
「グ、グギ、アアア、アガッ、アァァ……」
苦しみ悶えるような呻き声が聞こえてくる。
天馬は、声の主に振り替えり、その姿を視界に納める。
「はぁ、はぁ……お互い、ひどい有り様ですね……アリアさん……」
見れば、アリアの左腕も、肩から先が消滅して、どす黒い魔力を血のように流していた。
「ゴノ、コムスメ、ガ……! 私ノ魂ヲ、掠メ取ッタナ!!」
「……お互い様でしょ。こっちだって、この有り様です」
「グゥ~~ッ!」
獣のように唸り声を上げるアリアは、暗い瞳を逆立てて、天馬を睨み付けてきた。
天馬と同様に、肩から先の左腕が失われたアリア。
片や赤、片や黒。
流すのは命と憎悪。
お互い顔に苦悶の表情が浮かぶ中、天馬は足を引き摺るようにアリアへと近付いていく。
「マサカ、自分ノ腕ヲ犠牲ニシテ、私ノ動キヲ止メテクルナンテ……」
「……」
魂とは、魔力の塊であり、そうして形作られている今のアリアも、髪の毛から足の爪先。果ては衣服に至るまで、全てが魔力で出来ているのだ。
そんな彼女の魔力を、天馬は伸びてきた触手に触れられた瞬間に、奪い取ったのだ。
そんなことをすれば、肉体を失った魂だけの存在は、文字通り体の一部を欠損するのと同義である。
こちらも小さくない被害を受けたが、アリアの方は天馬以上に芳しくない状態であろう。
何せ自分を形作る魂が傷付いたのだ。
ただ肉体を壊された天馬とでは、その受けた傷の深さが違う。
「正気ジャナイワ……ソコマデシテ、何故他人ヲ助ケラレルノ?!」
アリアは顔を歪めて、天馬をまるで理解できないものでも見るような視線を向けてくる。
そんな彼女に対して、天馬は自嘲気味な笑顔を浮かべた。
「わたしは、とてもずるいひとです。わたしは、この世界で一人になりたくないから、特別な力を使って、皆を惹き付けた……」
あまりの激痛からか、肩から送られてくる痛みが鈍くなってくる。
それと平行して、失われた血液が多すぎて、目が霞んできた。
「もう、一人ぼっちは嫌なんです。孤独を味わいたくはないんです。だからわたしは、この身にいかなる災厄を受けても、皆を助けるんです。だってそうすれば、皆はわたしと一緒にいてくれるから……傍にいることを、許してくれる気がするから……特別な力で皆を縛っている罪悪感から逃げたいから、わたしは……助けるんです」
そうだ。それが本音だ。
天馬は、前世で一人だった。顔が怖いというだけで、彼はずっと一人であることを強いられてきた。
だから、この世界でひとから好かれるようになり、歓喜した。それが例え、女神としての力によるものあってもでも。
ひとの心に干渉する、忌まわしい力による好意であっても、縋り付きたかった。
「わたしがみんなを助けるのは当然なんです。それが、彼等がわたしから受け取るべき見返りなんですから…………」
だって、心を操られてまで天馬と共にいてくれるのに、それで天馬が何も返さねば、それは一方的な搾取と同じではないか。
「全てはわたしの為です。どこまでいってもわたしは自己中心的で、醜い。でも、それでも……皆と一緒にいたんです」
ああ、この告白はなんなんだろう?
相手は亡者を縛り付ける悪霊だ。
そんな彼女に、天馬は全てを吐露している。
己の弱さを吐き出している。
もうすぐ、意識が消えて、自分は死ぬ。
そうしたら、また生き返るのだろう。
でも、その前に、天馬にはやるべきことがある。
「だからわたしは……あなたに縛られている悲しい大勢の魂を、天に還します……そして、憎しみだけに囚われたあなたの心を、わたしが浄化します! 強引にでも、あなたを……救ってみせます!」
「……フザケルナ」
天馬の言葉に、彼女の体が震えて、内側からどす黒い魔力が迸る。
腕から流れ出る黒い魔力も、粘度を増したように床に零れていく。
幸い、天馬がシャーロットの周りを【聖域】で守護しているため、彼女に魔力が掛かることはない。
しかし、泥のような魔力は、天馬の足元にまで伸びてきて、その体を蝕もうと這いずってくる。
「コノ偽善者……私ヲ救ウ? オ前ノヨウナ女ニ、私ノ何ガ救エル?! コノ体ニ刻マレタ苦痛ト絶望ト屈辱ヲ、オ前如キガ理解デキルノカ?! 家族ニ裏切ラレテタ私ノ痛ミヲ、本気デ救エルナドト思ッテルイノカ?! 自惚レルナ小娘!!!」
そして遂に、彼女の憎悪を孕んだ黒い魔力が、天馬の足元から体に向かって昇り始める。
「っ、あぐ……」
まるで皮膚を焼かれるような激痛が、魔力に触れた箇所から全身へと広がっていく。
どす黒い魔力は、徐々に天馬の脚、腰、腹、胸、顔にまで這い上がってきた。
「…………あ」
全身を苛む激痛に、天馬の意識が闇の中に落ちようとしている。
しかし、それと同時に、アリアの魔力を、天馬は体に吸収してしまう。
もしこのまま天馬が魔力を吸収し続ければ、アリアの魂は消滅してしまうだろう。
だがアリアは、そんなことはお構いなしと言わんばかりに、魔力を放出し、天馬の体を絡め取っていく。
暗い感情のみに突き動かされる衝動的な行動。
魂を直接流し込まれるに等しいことをされている天馬は、彼女の『全て』を受けれている状態だった。
感情も、記憶も、何もかも……
そうして、天馬は黒い魔力に全身を覆われてしまう。
体に感じていた激痛は既になく、あるのは押しつぶされそうなほどの憎悪に満ちた彼女からの圧力のみ。
視界が闇に閉ざされ、天馬は深い奈落の底へと落ちていった。
……ここは?
辺りは真っ暗……いや、真っ黒だった。
……ああ、そうか。俺はアリアの闇に呑まれたのか。
だとすれば、ここは彼女の心の中といことになるのだろうか。
……何も見えない。
一寸先も見通すことができない深い、深い闇。
……これが、彼女の心。
天馬は、先程流れてきた彼女の過去を思い出し、胸が締め付けられた。
……マルティナの記憶と似てる。けど、アリアは近しい者達から、勝手に生贄として捧げられ、心が壊れた。
あげく、苦痛や恥辱のはてに、彼女は死んだ。
むごたらしく、みじめな最後だった。
体中を魔物に穢され、恥辱を味わい、最後は生餌となって終わったのだ。
……ああ、彼女の憎しみは当然だ。
報復することが正当だと思えるほどに、彼女の受けた仕打ちはあまりにも凄惨に過ぎた。
……
すると、闇の中に一人、ぽつんと膝を抱えるアリアの姿を見つけた。
その姿は、彼女が生贄にされた時と同様に、衣服を一切身に付けていない、全裸の状態であった。
「……ねぇ、見えているのでしょう?」
しかも彼女の首には、太く忌まわしい色彩を放つ鎖が巻かれ、その先は闇の地面に深くめり込み、とても抜けそうにない。
「惨めでしょ、これ……」
アリアが語り掛けてくる。
鎖に繋がれたアリアは、先程までの異形の姿ではなく、飴色の瞳を悲しげに細めて、闇の奥を見つめていた。
それを追い掛けるように、天馬も彼女と同じ方向に視線を向ける。
「そろそろ、来るわよ……」
え?
と、天馬が首を傾げると、
「ほら、来た……」
なっ?! あれは……
彼女の見つめる先、そこから、彼女の記憶で見た魔物の群れが、忽然と出現した。
大きな鷲鼻に、子供のような体躯。緑色の皮膚を持った醜悪な子鬼……【ゴブリン】。
その後ろに、身の丈2メートルはあろうかという巨躯を持つ、大きな牙が生えた厳つい形相の亜人……【オーク】
そして、黒に近い灰色の毛並みに、赤い瞳を爛々と輝かせる魔狼。
狼はともかく、ゴブリンとオークは、アリアの姿を捉えるなり、その醜悪な顔で口角を上げ、下卑た笑みを浮かべたのだ。
「……」
アリアは無言で魔物の群れを眺める。
達観し、諦観し、虚無に彩られた瞳は、これから起こる全ての出来事を、受け入れているかのようだった。
すると、
ゲギャギャアアアアア――ッッ!
おおおおおおおお――っっ!
ぐるるるるるる……!
魔物達が、一斉に動き出した。
進む先にいるのは、もちろん、アリアだ。
っ! アリアさん!!
アリアは瞬く間に魔物の群れに取り囲まれ、そして……
ああ、ああ……そんな……
天馬の目の前で、アリアは犯され、全身に穢れを受ける。
そのはてに、
ぐしゃ!
魔物たちの餌として、喰われた。
…………!!!
天馬はその光景を、ただ見ていることしかできなかった。
ア、アリア、さん……
天馬には力がある。
しかし、この空間では、天馬はいかなる魔法も使うことができなかった。
ただただアリアが陵辱され、食い殺される様を、呆然と見ていることしかできなかった。
そして、意識が再び闇の中に沈んでいく。
次に目覚めると、また、そこには鎖に繋がれたアリアの姿が。
えっ?!
どういうことか分からず、天馬は立ち尽くす。
だが、その間にまたしても、
ゲギャギャギャギャ!
ぐおおおおおおお――っ!
うおおおおお――ん!
魔物の群れが現れ、アリアを囲み、蹂躙を開始する。
待て! やめろ!
しかし、天馬の制止は虚しく闇に溶けていき、アリアは再び魔物に喰い殺された。
そしてまた、意識が飛ぶ。
目覚める。
魔物がアリアを陵辱し、喰い殺す。
陵辱、殺害、陵辱、殺害……
陵辱殺害陵辱殺害陵辱殺害陵辱殺害陵辱殺害……!!
やめろ、やめろ、やめろ――っっ!!!
幾多の陵辱と殺害の瞬間を永遠と見せ付けられた天馬は、頭が壊れてしまいそうだった。
そして、またしても光景はループする。
鎖に繋がれたアリア。その瞳には何も映さず、ただ闇を覗いている。
「これが、今の私……記憶に焼き付いた自分の最後を、私はここで何度も繰り返してるの……何度も、何度も……もう、私の体は痛みも苦しみも忘れてしまったわ……」
……っ。
「この光景を見ても、まだあなたは、わたしを救うなんて戯言をほざける? 仮にここで悪夢が終わっても、私はもう死んでいるの……あとはもう、無に還るだけ」
それは……
「私の心は、もう助からない。植え込まれた絶望は決して抜けない……この鎖が、その証拠」
くっ……
アリアが鎖を持ち上げると、重たいジャラ、という不快な音が鼓膜に響く。
「全部、もう終わっているの……だから、救いなんていらない……私はずっとここで、憎しみを振りまいて、私をこんな目に合わせた皆を、呪ったまま存在し続けるの……」
そんなこと……
「……さぁ、また始まるわ。あなたの心は、あと何回で壊れるかしらね?」
…………
「あなたに私は救えない。そこでただ黙って、私の記憶を見ているだけのあなたには、何もできやしないわ」
……
打ちのめされた気分だった。
今までは、多少なりとも力を使って現状を打開してきた。
しかし、今は何もできず、たた案山子のように立っているだけ。
何もできず、何もせず、ただただ立ち尽くすのみ。
実は何でもできるんじゃないかと、自惚れていた。
だが現実は、この有様だ。
だったらもう、全て諦めてしまえばいい。
魔法は使えないが、『女神としてのスキル』なら、この空間でも使うことができるようだ。
それなら、アリアのことなど何も考えず、ただスキルを使って、彼女を昇天させればいい。
それで、全てうまくいく。
それで、全てが終わる……
――本当に、そうだろうか?
ただの力技でこの事態を解決することが、本当に正しいのだろうか?
……違う。
己の無力を言い訳に、彼女を救わないことが、許されていいのか?
違う。
なら、どうするか。
決まっている。
助けるのだ、彼女を!
天馬は決意を心に宿すと、体を戒めていた見えない拘束は消えた。
弱気な心を追い出し、天馬は駆ける。
「アリアさん!」
「っ?! 何故……?!」
「わたしは……『俺』は、なんと言われようとも、あなたを救います!」
天馬は地面にめり込んだ鎖を掴み上げ、力の限り引っ張った。
「(ここで彼女一人を救えなくて、世界の管理なんてできるわけがないだろ!)」
天馬は、あらん限りの力を込めて、鎖を引っ張った。
「無駄よ。私だって、何度もこの鎖をどうにかしようと思った。でも、できなかった。力じゃ、この鎖を壊すことはもとより、引き抜くことだってできやしないわ」
「そんものは、俺がどうにかしますよ! いや、できなくちゃダメなんだ!」
天馬は残った右手で、鎖を引っ張る。
強く握られたその手からは血が流れ、関節や筋肉が悲鳴を上げる。
「…………」
アリアは、目を丸くした。
なぜ、赤の他人である自分を、彼女はここまで救おうとするのだろうか?
まだ、親しい者のために、自分が傷ついても守ろうとする行動は理解ができる。
だが、アリアは天馬との関係は皆無、
いや、むしろ積極的に存在を忌避されてもおかしくないほど、自分は彼女たちを苦しめたはずだ。
だというのに、
「ぐううううううう……!」
彼女のこの真剣な瞳は、何なのだろう?
しかし、天馬が鎖と格闘している最中でも、暴虐の徒は、その姿を現した。
「もういいわ、このままだと、あなたも私の記憶の巻き添えを喰うわよ?」
アリアの言葉に、天馬は背後を振り替える。
そこには、何度も目にした魔物たちの姿が。
しかし天馬は、それに臆することなく、いやむしろ、
「邪魔です!」
それだけ口にすると、天馬は彼らの周囲を【聖域】の結界で囲み、閉じ込めてしまった。
「えっ?!」
さしものアリアも、その光景には目を見張った。
【聖域】は、邪悪なものから身を守ることができる力ではあるが、こうして相手を閉じ込めることもできるのだ。
その間も、天馬は鎖を引き続ける。
「ぐ、むう、あああああああ――――っ!!」
雄叫びを上げて、天馬は腕が血塗れになろうとも、鎖を引き続けた、
「もういいわ、ありがとう。ここまでしてくれて……私を本気で救おうとしてくれて、嬉しかった。でも、もういいの……あなたは、この闇から出してあげる。そしたら、外にいるお友達と一緒に、村から離れなさい」
「いいえ、絶対に諦めません! あなたを助けるまで、俺は絶対に、諦めない!」
そうだ。諦めてなるものか。
この忌々しい鎖の呪縛から彼女を解き放ち、その魂を解放する。
その為には、
「(この鎖を、空間ごと【浄化】する!!)」
天馬は、手に力を込めて、スキルを発動させるイメージを描く。
「砕けろおおおおおおおおっっ――――!!」
「っ?!」
瞬間、天馬の体から迸った光の奔流は、アリアと、空間の闇全てを照らし出す。
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――バキーン!!
甲高い音を立てて、盛大に砕け散った。
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