裕也の冒険 ~~不思議な旅~~

ひろの助

文字の大きさ
9 / 58
第1章。「満月の夜」

9、満月の夜⑩

しおりを挟む
--満月の夜⑩--

アクドナェは何やら唱え始めた。
「アグ ロード ダアラガラ シュ イン ウガオウ …」
聖書の言葉のような、違うような言葉を唱えている。
黒ずんだ少女の手に握られた短剣がメンディアの心臓に伸びる。
少女の天空に黒ずんだ渦がまき起こり始める。
渦は大きくなっていく。
(次元の扉!どこにつながってるんだ!)
裕也は不安と共に誰かに呼ばれている気がした。
渦は見る見る広がっていく。
そして、声が
「ぎゅぅぅぅ。がぁがぁ。あははは」
「誰かいる。魔界と繋がっているのか?そんなものがあるのか?」
裕也は意を決めた。
アクドナェは、娘に指示する。
「今、ここに魔神を解き放たん。エジェ。次元を確定しろ」
少女の手が振り下ろされる。
「裕也ぁぁあ」メンディアは叫んだ。


「あ。あぁ。誰!誰の手」エジェの手を誰かが掴んで短剣を止めた。
裕也の手である。手だけ次元を移動させたのである。
そして、エジェの手をつかみ自分の元に引き寄せた。
エジェは裕也に向かって剣を振り下ろす。
「やぁ!」
裕也は左手でガシットと受け止めた。
剣は彼の左手を傷つけた。その手から血がしたたる。
それを見て渦の中にいる闇の目が二つ光る。
天空の黒ずんだ闇が閉じ始める。
闇から声がする。
「裕也。解放の時は、まだらしい。
 今度は、お前が来るのだ!
 あははは」
少女は剣を離した。
裕也は、やさしく、それを取って遠くに放り投げた。
そして、裕也は少女の口元に血がしたたる左手をかざした。
そして、彼女の頭を右手でぜる。
少女は口開け、一滴それを飲む。
「俺の血だ。闇と光の種族の血だ」裕也は心の奥から言った。
なぜ、そんなことをしたか分からない。
ただ、そうすれば何かが変わると思った。
(血の縁?)
裕也言った。「血の縁を結ばん。我が肉に少女を迎え入れん」
少女の体の黒ずんだ皮膚を覆うように肌色の肉が現れる。
そして、少女に笑顔が現れた。
「ニコッ」
儀式は終わった。
裕也は、ハンカチで左手の傷をおおった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

断る――――前にもそう言ったはずだ

鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」  結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。  周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。  けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。  他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。 (わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)  そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。  ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。  そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

処理中です...