裕也の冒険 ~~不思議な旅~~

ひろの助

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第4章。「東の地球の誕生」

13、魔族の王(014)~(019)

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--魔族の王(014)--

そして、夜になった。
裕也は、かくまわれていた家を出、商店街の路地にでた。
果物屋やクリーニング屋や洋服屋の看板が出てる。
シャッタは、路地に入った時と同じで降ろされたままである。
(人はいない)
アーケードの切れ間から以前に魔族の国へ来た時と同じ場所。
遠く城がそびっていた。
(よし、私は行くとしよう)
裕也は、心を決め、迷いを払った。
少し歩くと、今度は、コンビニがある。
コンビニには電気がいていた。
看板が煌々こうこうと光っている。
(入ってみるか。何か買って行こう)
裕也がコンビニの扉の前に立つと、自動ドアが開いた。
中に入る。
棚には、お菓子が並んでいる。
ポテトチップスの袋がある。
地球と同じ袋のようだ。

奥には、弁当。
アイスお入れた冷蔵ボックスがある。
色々な飲み物や酒類も置かれている。

(自分が住んでる街のコンビニと同じ)
(何が良いかな?)
(そうだ、ワインにしよう。
 お祝い気分?
 そんな場合じゃないけど、まあいいや)

裕也は、赤ワインのびんを3本抱えてレジに向かった。
誰もいない。
「すいません すいません 店員さんはいますか」
返事はなかった。
どこへ行っても『王のルール』がある。
人に見本を見せなければならない。
(お金を払わなくてはいけない)
裕也は、お金を2千円置いてコンビニを出ることにした。

--魔族の王(015)--

裕也は、城への道を急いだ。
(城は、小高い丘の上にある。
 正面は、だめだ。
 西側へ。まず坂を登ろう)
裕也は、西に進んで、それから坂を登った。
登り切り、城の西側の門に続く道に出た。
まずい。数人の人影が見える。
(来ることが、誰かにれたのか?)
その影は、急にこちらに走り出した。
(ワインが重い。じゃまだ)
ワインの瓶を2つ捨て、
1本だけ持って路地へと走った。
しばらく走ると公園があった。
公園は、木々でおおわれていた。
(ここで暫く隠れよう。
 でも、もし俺がとらえられたら?)
裕也は、手に持ったワインの瓶をさくにぶつけた。
それは、破片はへんを飛び散らせわれた。

--魔族の王(016)--

裕也は、手に持っているワインの瓶を割った。
瓶は、口から3分の1を残して鋭く切り立っている。
(武器になるかな)
彼は少し思考が止まった。
(俺は、何をしようとしているのだ。
 こんな凶器を使っては、
 相手を傷つけてしまう。
 どんな相手でも、そんな行動を犯してはならない。
 それは、罪の行動だ)
裕也は、ぎりぎりのとっころでその行動を思いとどめた。


--魔族の王(017)--

裕也は、手に持っている瓶の欠片かけらを捨てた。

「裕也。見つけたぞ」
ふと気づくと魔族の警備隊が公園を囲んでいた。

「私は、アイリア王女に会いに来ただけだ」
裕也は、警備隊に言った。

だが、そんなことが通じる相手と裕也も思っていない。

「あなた達の女王は仏法を行ずると誓った。
 あなた達は、その女王からよみがえった。
 その事を知らねばならない。
 あなた方は、仏法者なのです。
 過ちを犯せば罪は大きい。
 あなたがたは、仏国土を築かねばならない」
裕也は、言い放った。

「俺たちは、悪魔だ。
 そんなこと知るか」警備隊は、叫ぶ。

「蘇らせられた時、仏法を信じると誓ったはずだ。
 忘れたか!」裕也は、激怒した。

「う。分からん」
警備隊は、少し裕也が毅然きぜんとしているので驚き、どうするか迷った。

「四の五の言うな。やれぇー」
警備隊の一人が言う。
悪魔は女王の命令に従うことに決めたのである。

魔族の警備隊は、裕也に襲い掛かる。
一人、二人、三人、四人、五人と裕也は、払いのけた。
「なんて力だ。普通の人間か」
倒された警備隊の一人が裕也の足をおさえた。
次々と数の力で圧し掛かる。
とうとう裕也は、警備隊に抑え込まれた。
裕也の体の上には、50人ともあろう警備隊がし掛かっていた。
(動けない。これまでか)
裕也が観念しかけた。
その時。

--魔族の王(018)--

裕也の体の上に多くの魔族の警備隊が押し掛かっていた。
裕也は、彼らの下敷きに成っている。
裕也は、圧迫される中、意識が薄れていった。
その時、地面がゆっくり回りだす。
そこだけ時空が違うかのようにである。
だんだん早くなり、
空気が渦を巻き、
竜巻のような風の嵐が起こった。
嵐は、裕也が捨てたワインの瓶の欠片かけらを巻き上げていく。
(裕也、良く頑張りました。安心しなさい。
 後は、私に任せてください)
裕也の心に声が響いた。
そして、天からの声は、その世界に響き渡る。
『魔族の者たちよ。仏法者に生まれ変われば、
 今までの悪の罪をつぐなわなければならない。
 生まれ変われば罪が消える、それは誤りです。
 仏法は、そんなに甘いものではない。
 あなた方は罪の罰をうける時が来たのです』

嵐は、魔族の警備隊に向かってだんだん近づいてくる。
魔族は、異様な雰囲気を感じた。
(罪を償うとき?)
(今の声は、誰の声だ)
(何が起こるんだ?)
「ギャー ガァー ウォー」
ガラスの破片は、魔族たち襲い掛かった。

--魔族の王(019)--

地面は激しく回り、ガラスの嵐は、一段と大きくなり、
日本をした魔族の国全土におよんでいった。
嵐は、容赦なく家を街を破壊する。
罪を背負っている魔族たちは、ガラスの破片が刺さり、次々死んでいった。


そして、魔族の城でも、この異変に気づき始めていた。

(この大地の揺れは、何だ)
魔族の女王メディは、思いあせった。

そして、窓から外を見た。
外は、嵐が吹き叫んでいた。
「バリン!!!」
窓ガラスが割れ、風が吹き込んでくる。

「アアアー。ギャァーー」
メディの額には、ガラスの破片が刺さっていた。
メディは、静かに死んで行く。
その中で思った。
(蘇ったのに。なぜ。なぜ。
 あー。そうだ。
 仏法を信じたのに、私は、何をしていたのだろう。
 裕也)
メディは、また死んだ。

罪を背負いし魔族は、全て死んだ。
大地は、2つに折れ。
そして、時間は止まった。

魔族の王(完)

つづく。 次回(東の地球(001))
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