運で世界を統べる!?〜不運な私がゲームの世界で〜

六道奏

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第26話 痛いのは嫌い

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「・・・・・・はっ!?」

 トウカは呆然としていたが、ジークが怪我をしていた事を思い出す。

「そうだ!ジークの腕が!!」

「あっ、ちょっ!トウカちゃん!?」

 そのままランスロットを置いてジークの方へと駆け出す。

「ジークぅぅぅーーー!!!!」

 少し距離があったが、既に敵はいない為すぐにたどり着くことが出来た。

「ジーク!!」

「おっ?トウカか!無事だったか?ガハハハハハ!」

 片腕が折れているはずなのに、いつも変わらない様子で少し安心する。

「って、無事だったか?じゃないでしょ!?これどう見ても腕が折れてるよね!?」

「ガハハハハハ!こんなもん唾つけとけば治るわ!」

「いや治んないでしょ!?」

「ガハハハハハ!」

 ジークはいつも通り豪快に笑っている。
 その2人の様子に見兼ねたアーサーが口を挟む。

「2人とも。痴話喧嘩はその辺にしといて、ジャンヌ。いけるか?」

「えっ?痴話喧嘩?誰と誰が?」

 何の事かと思い、不思議そうにジャンヌを見るが無視された。

「ぶー。」

「ごめんなさい。さっきの戦いでMPを大量に使っちゃって回復するまでに少し時間がかかるわ。」

 トウカは無視されて少し拗ねるが、ジャンヌ達の話は進んでいく。

「そうか…。」

「ガハハハハハ!こんなもん唾つけとけば治るわ!」

 アーサーは心配そうにジークを見るがジークはいつも通り笑っているが何か違和感を感じる。

(なんだろう?)

 いつもと違う様子に少し不安になる。
 そのトウカの様子に気づいたランスロットがボソッと呟く。

「同じ言葉を繰り返すあれね、実は泣きたいのを我慢してるんだよぉ。」
師匠ジークってあの見た目で痛いの苦手なんだよぉ。面白いよねぇ」

(むかっ)

 人が心配してるのに、なんかとても嬉しそうに話しかけてくるから、ジャンヌを見習って少し殴っとく。

「がふっ…。」

 いい所に入ったのか、ランスロットは沈黙した。

(うん!いい感じ!)

 あんまりいい事じゃないだろうけど、気持ちよかったのは内緒だ。


「でもトウカも神聖魔法は使えるはずだし、トウカに任せてみたら?」

 ジャンヌとアーサーの話は続いていて、その内容はジークの腕を神聖魔法で治せるか?という話だったみたいだ。

 ジャンヌは先程の戦いで消耗し、現状治癒が難しいため、同じく神聖魔法を使えるトウカにジークの治癒をさせたらどうだ。という話になっている。

「そうだな…トウカ様が許可したら頼もう。」

「えぇ、そうね。」

 話は終わったみたいで2人はトウカの方を向く。


「ねぇトウカ。ジークを神聖魔法で治せる?」

 ジャンヌがそう申し訳なさそうに尋ねてくる。

「んー、多分できる?」

「多分?」

 自分以外の人に回復を掛けたことがなかったため、疑問口調になってしまう。

「そう多分!他の人に回復を掛けたことが無いんだよね。」

「そういう事ね。なら大丈夫よ。神聖魔法は人々を癒すための力だもの。貴方なら出来るわ。」

 ちゃんと治せるか不安だったがジャンヌに諭されてできそうな気がしてきた。

「わかった!神聖魔法はレベル上げてあるし、大丈夫だと思う!やってみるね!!」

「えぇ、お願いね。」

「トウカ様。我が友ジークの事をお願いします。」

 トウカがやると言うと2人は嬉しそうに頭を下げる。

「もう!2人とも!ジークは2人だけの友達じゃないんだから。私の友達でもあるんだよ!治せるなら治すのは当然でしょ!」

「そうね。ありがとうトウカ!」

「感謝します。」


 そうして、ジャンヌ、アーサーと共にジークの元へと行く。


 ちなみにランスロットは嬉しそうな表情で倒れている・・・





 


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