11 / 21
10 目から水が...
しおりを挟む
なんで。なんで。叩かれたのは俺じゃない。なのに涙が止まらない。とまれ。とまれ、こんな王族の前で泣いていいはずがない。
「すまない。配慮が足りなかった。」
きっと、服をめくったことに対してだろう。
悪いのはあたなじゃない。と言いたかったがポロポロと溢れる涙と嗚咽に遮られ言うことができなかった。
怖かったんだ。襲われたことが、押し倒されたことが。なんとかさっきまでは平気だったが、もう一度服を捲られそうになったことと、頬を叩いたことによる罪悪感。一気に感情の波が押し寄せてきて涙となってながれた。
重い空気に包まれた空間で2人は押し黙り1人はヒクヒクと泣いていた。きっと、王子も泣かせるつもりはなかったんだ、冗談でやっただけだきっと。だからわざわざ泣く必要ない。そう自分に言い聞かせ泣くのを必死に堪えた。
う、うぅ気まずい、、
大人気なく泣いてしまった俺に、心配そうにチラチラ見る黒髪イケメン。そして、おそらく気まずすぎてこちらを見れない王子。
しばらく沈黙の後に俺は口を開いた。
「あの、、その、そろそろ家族が心配するんで、、
帰らせてほしいです、、。」
「あ、ぁあ」
突然喋った俺に驚いた黒髪イケメンは頷きながら肯定してくれた。王子はというと少し下を向いて考え事をしているようだ。どこまでも自由な人なんだなと思いながらもベットから立ち上がる俺。それに手を出しエスコートしようとする黒髪イケメンだったが、そんな貴族でもない平民にエスコートするなんてと丁寧にお断りした。
今日は色々ありすぎた。王子にぶつかって怪我させて引き摺って看病したかと思えば襲われて、黒髪イケメンに助けられて、、、
しかも相手はただのイケメンじゃなくて王族だ。本来なら話しかけることすら罪に問われてしまう人たちだ。
そう思い返すと俺の数々の罪はもういいのだろうか、
ちらっと黒髪イケメンを含んだ目で見てみた。察しのいい黒髪イケメンは俺の目を見てすぐに言いたいことに気づいたようだ。
「今日のことは本当に忘れてくれ。何も問題ないし、君に何か被ることはない」
「でも、足に怪我させちゃって、」
「そんなの勝手に怪我させておけばいい、唾をつけてれば治る。」
あぁそんなことか、というように言う黒髪イケメンは随分と王子を雑な扱いするようだ。多分唾じゃなおんない。
「悪いのは全部王子だ、日頃の罰が当たったんだろう。君が気にすることはない」
怪我させたのは俺が100%悪いんだけどね、でも黒髪イケメンは俺がこれ以上気にしないよう気を遣った言葉をくれた。
「じゃあ、罪とか、奴隷とか妾とか、そういうのはいいんですね?」
「あたりまえだ、むしろこっちが謝らないといけない。」
すまなかった。という黒髪イケメンにいえ、と返した。もう今日のことは忘れてしまおう。襲われたのもちょっとした冗談だ、少し森に休憩しようときただけだけなのに外はもう暗い。きっとフランも心配してる。
「それでは」
「暗いから送ってく。また王子みたいなのに襲われたら嫌だろう。」
お別れの挨拶をしたら送ってやる発言をされてしまった。もう子供じゃないし、それに王子みたいなのがたくさんいたらたまったもんじゃない。すぐそこだし
「いえ、近いんで」
「そうか」
黒髪イケメンは頷き、俺は古屋の出口に足を向けた。王子に一言何か言おうと思ったがまだ考え事をしているようだった。まぁ、いいかと思い古屋の出口でぺこっとお辞儀をして森へ足を踏み出した瞬間
パシッと腕を掴まれた。
振り返えってみると腕を掴んでたのは王子だった。
「なんでしょうか、」
まだ何かあるのか、と問いかけたが返事はこない。
黒髪イケメンが「王子もうあきらめてくださ」と言いかけたところで王子が言葉を被せた。
「すまなかった。」
「え?」
え?目線を合わさずに囁かれた言葉は小さすぎて聞こえなかった。
「だから、すまなかったと言っている」
「すまない。配慮が足りなかった。」
きっと、服をめくったことに対してだろう。
悪いのはあたなじゃない。と言いたかったがポロポロと溢れる涙と嗚咽に遮られ言うことができなかった。
怖かったんだ。襲われたことが、押し倒されたことが。なんとかさっきまでは平気だったが、もう一度服を捲られそうになったことと、頬を叩いたことによる罪悪感。一気に感情の波が押し寄せてきて涙となってながれた。
重い空気に包まれた空間で2人は押し黙り1人はヒクヒクと泣いていた。きっと、王子も泣かせるつもりはなかったんだ、冗談でやっただけだきっと。だからわざわざ泣く必要ない。そう自分に言い聞かせ泣くのを必死に堪えた。
う、うぅ気まずい、、
大人気なく泣いてしまった俺に、心配そうにチラチラ見る黒髪イケメン。そして、おそらく気まずすぎてこちらを見れない王子。
しばらく沈黙の後に俺は口を開いた。
「あの、、その、そろそろ家族が心配するんで、、
帰らせてほしいです、、。」
「あ、ぁあ」
突然喋った俺に驚いた黒髪イケメンは頷きながら肯定してくれた。王子はというと少し下を向いて考え事をしているようだ。どこまでも自由な人なんだなと思いながらもベットから立ち上がる俺。それに手を出しエスコートしようとする黒髪イケメンだったが、そんな貴族でもない平民にエスコートするなんてと丁寧にお断りした。
今日は色々ありすぎた。王子にぶつかって怪我させて引き摺って看病したかと思えば襲われて、黒髪イケメンに助けられて、、、
しかも相手はただのイケメンじゃなくて王族だ。本来なら話しかけることすら罪に問われてしまう人たちだ。
そう思い返すと俺の数々の罪はもういいのだろうか、
ちらっと黒髪イケメンを含んだ目で見てみた。察しのいい黒髪イケメンは俺の目を見てすぐに言いたいことに気づいたようだ。
「今日のことは本当に忘れてくれ。何も問題ないし、君に何か被ることはない」
「でも、足に怪我させちゃって、」
「そんなの勝手に怪我させておけばいい、唾をつけてれば治る。」
あぁそんなことか、というように言う黒髪イケメンは随分と王子を雑な扱いするようだ。多分唾じゃなおんない。
「悪いのは全部王子だ、日頃の罰が当たったんだろう。君が気にすることはない」
怪我させたのは俺が100%悪いんだけどね、でも黒髪イケメンは俺がこれ以上気にしないよう気を遣った言葉をくれた。
「じゃあ、罪とか、奴隷とか妾とか、そういうのはいいんですね?」
「あたりまえだ、むしろこっちが謝らないといけない。」
すまなかった。という黒髪イケメンにいえ、と返した。もう今日のことは忘れてしまおう。襲われたのもちょっとした冗談だ、少し森に休憩しようときただけだけなのに外はもう暗い。きっとフランも心配してる。
「それでは」
「暗いから送ってく。また王子みたいなのに襲われたら嫌だろう。」
お別れの挨拶をしたら送ってやる発言をされてしまった。もう子供じゃないし、それに王子みたいなのがたくさんいたらたまったもんじゃない。すぐそこだし
「いえ、近いんで」
「そうか」
黒髪イケメンは頷き、俺は古屋の出口に足を向けた。王子に一言何か言おうと思ったがまだ考え事をしているようだった。まぁ、いいかと思い古屋の出口でぺこっとお辞儀をして森へ足を踏み出した瞬間
パシッと腕を掴まれた。
振り返えってみると腕を掴んでたのは王子だった。
「なんでしょうか、」
まだ何かあるのか、と問いかけたが返事はこない。
黒髪イケメンが「王子もうあきらめてくださ」と言いかけたところで王子が言葉を被せた。
「すまなかった。」
「え?」
え?目線を合わさずに囁かれた言葉は小さすぎて聞こえなかった。
「だから、すまなかったと言っている」
63
あなたにおすすめの小説
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう
水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」
辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。
ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。
「お前のその特異な力を、帝国のために使え」
強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。
しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。
運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。
偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!
【BL】捨てられたSubが甘やかされる話
橘スミレ
BL
渚は最低最悪なパートナーに追い出され行く宛もなく彷徨っていた。
もうダメだと倒れ込んだ時、オーナーと呼ばれる男に拾われた。
オーナーさんは理玖さんという名前で、優しくて暖かいDomだ。
ただ執着心がすごく強い。渚の全てを知って管理したがる。
特に食へのこだわりが強く、渚が食べるもの全てを知ろうとする。
でもその執着が捨てられた渚にとっては心地よく、気味が悪いほどの執着が欲しくなってしまう。
理玖さんの執着は日に日に重みを増していくが、渚はどこまでも幸福として受け入れてゆく。
そんな風な激重DomによってドロドロにされちゃうSubのお話です!
アルファポリス限定で連載中
二日に一度を目安に更新しております
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
お兄ちゃんができた!!
くものらくえん
BL
ある日お兄ちゃんができた悠は、そのかっこよさに胸を撃ち抜かれた。
お兄ちゃんは律といい、悠を過剰にかわいがる。
「悠くんはえらい子だね。」
「よしよ〜し。悠くん、いい子いい子♡」
「ふふ、かわいいね。」
律のお兄ちゃんな甘さに逃げたり、逃げられなかったりするあまあま義兄弟ラブコメ♡
「お兄ちゃん以外、見ないでね…♡」
ヤンデレ一途兄 律×人見知り純粋弟 悠の純愛ヤンデレラブ。
【完結済】あの日、王子の隣を去った俺は、いまもあなたを想っている
キノア9g
BL
かつて、誰よりも大切だった人と別れた――それが、すべての始まりだった。
今はただ、冒険者として任務をこなす日々。けれどある日、思いがけず「彼」と再び顔を合わせることになる。
魔法と剣が支配するリオセルト大陸。
平和を取り戻しつつあるこの世界で、心に火種を抱えたふたりが、交差する。
過去を捨てたはずの男と、捨てきれなかった男。
すれ違った時間の中に、まだ消えていない想いがある。
――これは、「終わったはずの恋」に、もう一度立ち向かう物語。
切なくも温かい、“再会”から始まるファンタジーBL。
全8話
お題『復縁/元恋人と3年後に再会/主人公は冒険者/身を引いた形』設定担当AI /c
言い逃げしたら5年後捕まった件について。
なるせ
BL
「ずっと、好きだよ。」
…長年ずっと一緒にいた幼馴染に告白をした。
もちろん、アイツがオレをそういう目で見てないのは百も承知だし、返事なんて求めてない。
ただ、これからはもう一緒にいないから…想いを伝えるぐらい、許してくれ。
そう思って告白したのが高校三年生の最後の登校日。……あれから5年経ったんだけど…
なんでアイツに馬乗りにされてるわけ!?
ーーーーー
美形×平凡っていいですよね、、、、
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる