俺様王子から逃げられない

ダヨ

文字の大きさ
12 / 21

11謝れたんだ

しおりを挟む
「だから、すまなかったと言っている」

え?


小さく囁かれた謝罪は2回目にしてようやく俺の耳に届いた。












まさかあの性悪王子が謝るとは思わなかった。
驚いて顔を見上げたが王子の美しい瞳は彷徨ったままだ。


え、どうやって返事すればいいの


視界の隅に見える黒髪イケメンに助けを求めようと視線を送ったが、だめだ。黒髪イケメンも黒髪イケメンで王子に驚いてる。

気にしないでください?大丈夫です?
いや、どっちも上から目線なんだよな。でも、はい。もなんだか失礼なような気がする。
普通は考えないだろう王族に対する謝罪の仕方なんて考えてみるが思いつくはずがない、、、

それよりも王子、謝れたんだ。今までの言動からお礼とか謝罪とか知らなそうに見えた。今までって言っても今日出会って数時間だからなぁ....意外な一面性もあるもんだ。

でも、きっと黒髪イケメンが王子に驚いてるのも普段から謝るなんてしないんだと思う。だって、めっちゃ驚いてるもん。

そんな失礼すぎることを思っていたら、返事を待っていた王子は痺れを切らしたのか手首を少し強く握り返事を促した。


えぇ、せっかく謝ってくれたのになんでまた痛いことするの?
返事を急いだ俺は思い思わず

「えっと、はい」

なんて言ってしまった。


さすがに王子の「すまなかった」にたいして「はい」はなかったのかもしれない。しかも、普段謝らない立場だろう王子がせっかく言ってくれたのに対しにだ。すごく返事の仕方を間違えた雰囲気が漂う。
王子は何も言わずにこちらを凝視し次の言葉を待っているようだった。だが、続きの言葉を放とうとしたが何も思いつかず口をパクパクさせただけになってしまった。

謝っていただき光栄です、くらい言えばよかったかもしれない。











ーーー















帰ってきちゃった。
まぁ別に逃げたわけじゃない。ただ、ちょっと居た堪れなくなっちゃってさ。その後というと微妙な雰囲気の中、放つ言葉も見つからず、では、と言ってそそくさと帰った。帰り際なんか聞こえたような気がしたけど多分気のせいだ。
王族なんてこれから先きっと関わることもない。本当にたまたま偶然会っただけでなんともない。そう自分に言い聞かせながら帰路に着いた。




けど、帰ったら帰ったでとんでもなく大変だった。
家に着くと待っていたのは鬼の形相をしたフランだった。


しまった、と思った頃にはもう遅い。


「レイ」


「ひゃい」


背筋が凍るような低い声で名前を呼ばれ変な声が出てしまった。店に入り無理矢理椅子に座らせられる。怒るとフランはとんでもなく怖い。


「何かいうことは?」


「ごめんなさい」


「今までどこ居た?」


「も、森です。」


「なんですぐ帰って来なかった?」


そう言いながら、フランは座ってる俺にジリジリと詰め寄ってくる。


「ごめんなさい」


「どれだけ心配したかと思ってる。」


「はい、、、」



「森でなにしてた」


詰め寄られ、近すぎる距離に思わず立ちあがる。
けど肩をガシッと捕まれすぐに座らせられた。


「えっと。・・・ねっちゃった」


「仕事を放り出して?」


「はい、、」


「ほんとうに?」




俺にもう逃げ場はない。真実かを確かめるためにじっと見つめてくる圧がすごい。寝ちゃったなんて嘘に決まってる。本当の事言ったらもっととんでもないことになりそうだ。、
コクコクと頷きとりあえずその場は解放された。
だが、過保護なフランはどれだけ心配したと思ってるなど、俺に言い聞かせるよう説教は日付が変わるまで続いた。
確かに少し休憩しに行っただけなのに夜まで帰って来なかったのは流石にどうかと思う。お母さんはというと端っこでニヤニヤしながら俺が詰め寄られているのをみていた。少しくらい助け舟を出してくれてもよかったのに。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる

結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。 冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。 憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。 誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。 鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。

【完結】愛されたかった僕の人生

Kanade
BL
✯オメガバース 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。 今日も《夫》は帰らない。 《夫》には僕以外の『番』がいる。 ねぇ、どうしてなの? 一目惚れだって言ったじゃない。 愛してるって言ってくれたじゃないか。 ねぇ、僕はもう要らないの…? 独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。

希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう

水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」 辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。 ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。 「お前のその特異な力を、帝国のために使え」 強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。 しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。 運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。 偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!

【BL】捨てられたSubが甘やかされる話

橘スミレ
BL
 渚は最低最悪なパートナーに追い出され行く宛もなく彷徨っていた。  もうダメだと倒れ込んだ時、オーナーと呼ばれる男に拾われた。  オーナーさんは理玖さんという名前で、優しくて暖かいDomだ。  ただ執着心がすごく強い。渚の全てを知って管理したがる。  特に食へのこだわりが強く、渚が食べるもの全てを知ろうとする。  でもその執着が捨てられた渚にとっては心地よく、気味が悪いほどの執着が欲しくなってしまう。  理玖さんの執着は日に日に重みを増していくが、渚はどこまでも幸福として受け入れてゆく。  そんな風な激重DomによってドロドロにされちゃうSubのお話です!  アルファポリス限定で連載中  二日に一度を目安に更新しております

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

お兄ちゃんができた!!

くものらくえん
BL
ある日お兄ちゃんができた悠は、そのかっこよさに胸を撃ち抜かれた。 お兄ちゃんは律といい、悠を過剰にかわいがる。 「悠くんはえらい子だね。」 「よしよ〜し。悠くん、いい子いい子♡」 「ふふ、かわいいね。」 律のお兄ちゃんな甘さに逃げたり、逃げられなかったりするあまあま義兄弟ラブコメ♡ 「お兄ちゃん以外、見ないでね…♡」 ヤンデレ一途兄 律×人見知り純粋弟 悠の純愛ヤンデレラブ。

【完結済】あの日、王子の隣を去った俺は、いまもあなたを想っている

キノア9g
BL
かつて、誰よりも大切だった人と別れた――それが、すべての始まりだった。 今はただ、冒険者として任務をこなす日々。けれどある日、思いがけず「彼」と再び顔を合わせることになる。 魔法と剣が支配するリオセルト大陸。 平和を取り戻しつつあるこの世界で、心に火種を抱えたふたりが、交差する。 過去を捨てたはずの男と、捨てきれなかった男。 すれ違った時間の中に、まだ消えていない想いがある。 ――これは、「終わったはずの恋」に、もう一度立ち向かう物語。 切なくも温かい、“再会”から始まるファンタジーBL。 全8話 お題『復縁/元恋人と3年後に再会/主人公は冒険者/身を引いた形』設定担当AI /c

言い逃げしたら5年後捕まった件について。

なるせ
BL
 「ずっと、好きだよ。」 …長年ずっと一緒にいた幼馴染に告白をした。 もちろん、アイツがオレをそういう目で見てないのは百も承知だし、返事なんて求めてない。 ただ、これからはもう一緒にいないから…想いを伝えるぐらい、許してくれ。  そう思って告白したのが高校三年生の最後の登校日。……あれから5年経ったんだけど…  なんでアイツに馬乗りにされてるわけ!? ーーーーー 美形×平凡っていいですよね、、、、

処理中です...