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11謝れたんだ
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「だから、すまなかったと言っている」
え?
小さく囁かれた謝罪は2回目にしてようやく俺の耳に届いた。
まさかあの性悪王子が謝るとは思わなかった。
驚いて顔を見上げたが王子の美しい瞳は彷徨ったままだ。
え、どうやって返事すればいいの
視界の隅に見える黒髪イケメンに助けを求めようと視線を送ったが、だめだ。黒髪イケメンも黒髪イケメンで王子に驚いてる。
気にしないでください?大丈夫です?
いや、どっちも上から目線なんだよな。でも、はい。もなんだか失礼なような気がする。
普通は考えないだろう王族に対する謝罪の仕方なんて考えてみるが思いつくはずがない、、、
それよりも王子、謝れたんだ。今までの言動からお礼とか謝罪とか知らなそうに見えた。今までって言っても今日出会って数時間だからなぁ....意外な一面性もあるもんだ。
でも、きっと黒髪イケメンが王子に驚いてるのも普段から謝るなんてしないんだと思う。だって、めっちゃ驚いてるもん。
そんな失礼すぎることを思っていたら、返事を待っていた王子は痺れを切らしたのか手首を少し強く握り返事を促した。
えぇ、せっかく謝ってくれたのになんでまた痛いことするの?
返事を急いだ俺は思い思わず
「えっと、はい」
なんて言ってしまった。
さすがに王子の「すまなかった」にたいして「はい」はなかったのかもしれない。しかも、普段謝らない立場だろう王子がせっかく言ってくれたのに対しにだ。すごく返事の仕方を間違えた雰囲気が漂う。
王子は何も言わずにこちらを凝視し次の言葉を待っているようだった。だが、続きの言葉を放とうとしたが何も思いつかず口をパクパクさせただけになってしまった。
謝っていただき光栄です、くらい言えばよかったかもしれない。
ーーー
帰ってきちゃった。
まぁ別に逃げたわけじゃない。ただ、ちょっと居た堪れなくなっちゃってさ。その後というと微妙な雰囲気の中、放つ言葉も見つからず、では、と言ってそそくさと帰った。帰り際なんか聞こえたような気がしたけど多分気のせいだ。
王族なんてこれから先きっと関わることもない。本当にたまたま偶然会っただけでなんともない。そう自分に言い聞かせながら帰路に着いた。
けど、帰ったら帰ったでとんでもなく大変だった。
家に着くと待っていたのは鬼の形相をしたフランだった。
しまった、と思った頃にはもう遅い。
「レイ」
「ひゃい」
背筋が凍るような低い声で名前を呼ばれ変な声が出てしまった。店に入り無理矢理椅子に座らせられる。怒るとフランはとんでもなく怖い。
「何かいうことは?」
「ごめんなさい」
「今までどこ居た?」
「も、森です。」
「なんですぐ帰って来なかった?」
そう言いながら、フランは座ってる俺にジリジリと詰め寄ってくる。
「ごめんなさい」
「どれだけ心配したかと思ってる。」
「はい、、、」
「森でなにしてた」
詰め寄られ、近すぎる距離に思わず立ちあがる。
けど肩をガシッと捕まれすぐに座らせられた。
「えっと。・・・ねっちゃった」
「仕事を放り出して?」
「はい、、」
「ほんとうに?」
俺にもう逃げ場はない。真実かを確かめるためにじっと見つめてくる圧がすごい。寝ちゃったなんて嘘に決まってる。本当の事言ったらもっととんでもないことになりそうだ。、
コクコクと頷きとりあえずその場は解放された。
だが、過保護なフランはどれだけ心配したと思ってるなど、俺に言い聞かせるよう説教は日付が変わるまで続いた。
確かに少し休憩しに行っただけなのに夜まで帰って来なかったのは流石にどうかと思う。お母さんはというと端っこでニヤニヤしながら俺が詰め寄られているのをみていた。少しくらい助け舟を出してくれてもよかったのに。
え?
小さく囁かれた謝罪は2回目にしてようやく俺の耳に届いた。
まさかあの性悪王子が謝るとは思わなかった。
驚いて顔を見上げたが王子の美しい瞳は彷徨ったままだ。
え、どうやって返事すればいいの
視界の隅に見える黒髪イケメンに助けを求めようと視線を送ったが、だめだ。黒髪イケメンも黒髪イケメンで王子に驚いてる。
気にしないでください?大丈夫です?
いや、どっちも上から目線なんだよな。でも、はい。もなんだか失礼なような気がする。
普通は考えないだろう王族に対する謝罪の仕方なんて考えてみるが思いつくはずがない、、、
それよりも王子、謝れたんだ。今までの言動からお礼とか謝罪とか知らなそうに見えた。今までって言っても今日出会って数時間だからなぁ....意外な一面性もあるもんだ。
でも、きっと黒髪イケメンが王子に驚いてるのも普段から謝るなんてしないんだと思う。だって、めっちゃ驚いてるもん。
そんな失礼すぎることを思っていたら、返事を待っていた王子は痺れを切らしたのか手首を少し強く握り返事を促した。
えぇ、せっかく謝ってくれたのになんでまた痛いことするの?
返事を急いだ俺は思い思わず
「えっと、はい」
なんて言ってしまった。
さすがに王子の「すまなかった」にたいして「はい」はなかったのかもしれない。しかも、普段謝らない立場だろう王子がせっかく言ってくれたのに対しにだ。すごく返事の仕方を間違えた雰囲気が漂う。
王子は何も言わずにこちらを凝視し次の言葉を待っているようだった。だが、続きの言葉を放とうとしたが何も思いつかず口をパクパクさせただけになってしまった。
謝っていただき光栄です、くらい言えばよかったかもしれない。
ーーー
帰ってきちゃった。
まぁ別に逃げたわけじゃない。ただ、ちょっと居た堪れなくなっちゃってさ。その後というと微妙な雰囲気の中、放つ言葉も見つからず、では、と言ってそそくさと帰った。帰り際なんか聞こえたような気がしたけど多分気のせいだ。
王族なんてこれから先きっと関わることもない。本当にたまたま偶然会っただけでなんともない。そう自分に言い聞かせながら帰路に着いた。
けど、帰ったら帰ったでとんでもなく大変だった。
家に着くと待っていたのは鬼の形相をしたフランだった。
しまった、と思った頃にはもう遅い。
「レイ」
「ひゃい」
背筋が凍るような低い声で名前を呼ばれ変な声が出てしまった。店に入り無理矢理椅子に座らせられる。怒るとフランはとんでもなく怖い。
「何かいうことは?」
「ごめんなさい」
「今までどこ居た?」
「も、森です。」
「なんですぐ帰って来なかった?」
そう言いながら、フランは座ってる俺にジリジリと詰め寄ってくる。
「ごめんなさい」
「どれだけ心配したかと思ってる。」
「はい、、、」
「森でなにしてた」
詰め寄られ、近すぎる距離に思わず立ちあがる。
けど肩をガシッと捕まれすぐに座らせられた。
「えっと。・・・ねっちゃった」
「仕事を放り出して?」
「はい、、」
「ほんとうに?」
俺にもう逃げ場はない。真実かを確かめるためにじっと見つめてくる圧がすごい。寝ちゃったなんて嘘に決まってる。本当の事言ったらもっととんでもないことになりそうだ。、
コクコクと頷きとりあえずその場は解放された。
だが、過保護なフランはどれだけ心配したと思ってるなど、俺に言い聞かせるよう説教は日付が変わるまで続いた。
確かに少し休憩しに行っただけなのに夜まで帰って来なかったのは流石にどうかと思う。お母さんはというと端っこでニヤニヤしながら俺が詰め寄られているのをみていた。少しくらい助け舟を出してくれてもよかったのに。
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