俺様王子から逃げられない

ダヨ

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12.今日は平和なはず

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今日一日のことに疲れすぎた俺はベットに入るとすぐに瞼が落ちてきた。
ふかふかとはいえないが俺にとっては充分すぎるくらい気持ちのいいこのベッドに身を任せたまま深い眠りについた。



むにゃむにゃ、
ぅーん、もう食べられないって、もう!

俺は今日も森に行きいつもの池でリスとともに穏やかで楽しい時間を送っていた。
「お前は、ほんとにかわいいな」
パンをやると膨らむほっぺにフワフワもちもちスタイルはとんでもなく可愛い。
「うまいか?、そうかそうかよかった」
今日も今日とて幸せだ。

だがあたりが不穏な空気に包まれる。なんだなんだと思ってるうちに後ろからジャリっという足音が聞こえた。振り返るとそこに立っていたのはあろうことか王子だった。

「っひぃ!!」

「みつけた」

王子の冷徹な瞳でみられてしまっては思わず座ったまま後ずさる。あぁ、きっと怒っているのだろう。鋭い目つきはそう思わざるえなかった。でも理由がわからずオロオロしているうちに池の淵まで追い詰められてしまう。や、やめてくれ、なにをするんだ!!

迫って来る手に思わず目をぎゅーっときつく締めた。
だが迫ってきた手に何かされることはなく追い詰められたのは口だった。

ぎゅむ

そう。口にパンをつめられたのだった。

えっえぇぇ、、、
なんだこれは。
どこからともなく出てきたパンは王子の手によって口の中にぱんぱんにつめられた。

「フッ、仕返しだ。」

王子は嘲笑うように、いや、面白がるように俺のことをパンによっていじめてきた。おいしいけど。

「んン~!!」

こんなの子供がやることじゃないか!何が仕返しだ!
まぁ、俺もおんなじことしたんだけど。、、
喋れないおれは必死に口を動かし飲み込んだ。だが言葉を発しようと開いた口にまっていたのはまたしてもパンだった。またもぐもぐと飲み込んだが、またパンを突っ込まれた。
なんなんだよ!
そんなことを何度も繰り返し、俺の腹に限界がきた。

「んん~!!んン!!」

もうやめてくれ!たべれないんだ!

俺は意識下のなか必死に訴えた。
するとどこからともなくレイと呼ぶ声が聞こえた。なんだ?救世主か?
レイ、レイと聞こえる。

だんだん意識が浮上してきた俺はうっすらと目を開けた。

そこにいたのは覗き込んだフランだった。



「レイ?大丈夫か?魘されていた。」


ブワッと起き上がり、状況を理解する。

あぁ、夢をみていたのか。

「あぁ、大丈夫。」

ひどく魘されていたらしい俺はフランに頭を撫でられながら水を受け取った。乾ききったからだによく冷えた水はとても染みる。

「ありがとう、フラン。」

あぁ。といいながら飲み終わったコップを受け取ったフランは、夢でもみたのか?と聞いてきた。そうだ。悪夢をみた。あの王子にパンによって仕返しされるとういう悪魔を。だが本当に起きたことじゃなくてよかったと一安心する。
コクッとおれが頷くと、フランはまた頭を撫でてきた。フランはよく頭を撫でて来るが、俺は結構すきだ。いつまでも子供扱いしてくるのは癪に障るが撫でられるのは悪い気持ちじゃない。
ん?というかなんでフランまだ家に帰ってないんだ?

「フラン。今日は泊まるのか?」

フランはハハっとわらうと、そうだ。といいその後に、だが泊まった、というのが正解だなと付け足した。
ん?ということはもう朝だということか?てっきり夜中に目覚めたのかと思った。寝足りないよ!

「朝なのに珍しく起きてこないから起こしに来たんだ。そしたらひどくうなされてたから心配したよ。」

あー。ほんとすみません。原因は王子です。

1日の始まりは悪夢と共に始まった。
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