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x-5・異変
しおりを挟む私がユリィ様の異変に気付いたのは、数年後。
私や彼ら、彼女らの尽力の甲斐あって、ユリィ様が何とか学園に入り、お過ごしになれることが、たとえ短時間でも出来るようになってからのこと。
私も陛下も、他のユリィ様の周囲にいる者達も、ユリィ様に出来るだけ多くの物を与えたいと思っていたのは皆同じで、ユリィ様を学園に通わせることとなったのも、ユリィ様にお部屋の中、寝台の上以外の世界を感じて頂きたかったからに他ならない。
私たちは誰一人、ユリィ様を閉じ込めたままでいたいだなんて全く思っていなかった。
いかにその方がユリィ様にとって安全なのだとしても。
いずれにしてもやがてユリィ様は国王になられる。
実際の公務や執務は私が代行することとなるのだとしても、その事実は変わらない。
そうしたら部屋の中、とは言わずとも、王宮から出ることさえままならなくなることだろう。
ならばせめてそれまでは。少しでも外の世界、自由というものをユリィ様に。
とは言え、元より闊達でなどなかったユリィ様なので、何処までその自由を謳歌していらっしゃったのかは私などでは判断できないのだが、そういった事情もありユリィ様の行動は、出来るだけ妨げないように周囲のもの皆が気を使っていた。
勿論、護衛などは万全の態勢を期していた。
私か、あるいは幼い頃からユリィ様のお側近くにいることが出来た彼ら彼女らのうち誰かはユリィ様から離れないようにしていたし、ユリィ様もユリィ様で勝手な行動をなさるような方ではない。
だが、学園というと、たくさんの同じ年頃の、言わば『子供』が過ごす場所だ。
ユリィ様はそれまでは考えられないほどたくさんの方と触れ合われ、私や彼ら彼女ら以外の『お友達』も増やしていかれたようだった。
その中の一人が、あの忌々しいミュリニエ・ミェシュアである。
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