815号艦改め防空軽巡   「黒瀬」推して参る!

みにみ

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南太平洋の狼

か号作戦

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軽巡洋艦「黒瀬」は、呉近海での慣熟訓練を終え
戦闘準備を完了していた。高角砲は唸りを上げ、機関は滑らかに回転し
そして何よりも、乗組員たちは一つのチームとしてまとまりつつあった。
彼らは、真新しい艦に魂を吹き込み、来るべき戦いへの覚悟を決めていた。

しかし、訓練で培った自信と裏腹に、彼らの胸には不安も宿っていた。
1943年2月という時期に竣工した艦が、
これからどのような戦場へ送られるのか。
厳しい戦況については、新聞や噂話で断片的に耳にしていた。
ソロモン方面での激戦、航空機の猛威、そして増え続ける友軍の損耗。
華々しい緒戦の勝利は既に遠い過去となり、
戦局は徐々に、しかし確実に帝国海軍にとって不利な方向へと傾き始めていた。

ある日、「黒瀬」に連合艦隊への編入命令が下った。
そして間もなく、具体的な出撃命令が発せられる。
目的地の秘匿が徹底されていたため、乗組員たちは漠然と
南方へ向かうことしか知らされなかったが、
その命令が通常のものではないことは、艦全体に張り詰めた緊張感から容易に察することができた。

「いよいよだな…」
甲板に立った兵士が、遠ざかる日本の山並みを見つめながら呟いた。
故郷が、愛する人々が、急速に視界から消えていく。
訓練で培った自信も、現実の戦場への不安の前では、まだ揺らぐことがあった。

「黒瀬」は、駆逐艦数隻と共に、一路南へと針路を取った。
穏やかだった瀬戸内海の波は、外洋に出るにつれて次第に高くなり、
艦は大きく揺れ始めた。熱帯へと向かうにつれて、
気候は劇的に変化していった。内地の冬の寒さは過去のものとなり、
湿度を多く含んだ、肌にまとわりつくような暑さが艦全体を包み込んだ。
艦内は風通しが悪く、常に汗と油の匂いが充満していた。

航海中は、訓練の時とは異なる緊張感が漂っていた。
対潜、対空警戒は厳重に行われ、見張り員は双眼鏡で水平線を睨み続けた。
いつ、どこから敵の潜水艦が雷撃を仕掛けてくるか、
あるいは敵の哨戒機が現れるか分からない。
訓練で身につけた知識と技術が、今まさに試されようとしていた。

「右舷! 潜望鏡らしきもの!」
見張り員からの報告に、艦橋は一瞬にして緊迫する。
すぐに探信儀が作動し、周辺海域を捜索する。
幸いにも鯨の誤認であったが、このような緊張の連続が
乗組員たちの心を疲弊させていった。

艦内生活も過酷さを増した。配給される食料は質、量ともに十分とは言えず
常に空腹感を抱えていた。飲料水の制限もあり、
喉の渇きを潤すことさえままならない時もあった。
狭い居住区での共同生活は、プライバシーの欠如と相まって
ストレスの原因となった。しかし、そのような困難な状況下でも
乗組員たちは互いに助け合い、励まし合った。共に汗を流し
共に不安を分かち合う中で、彼らの絆はさらに深まっていった。

数日間の航海の末、「黒瀬」はパラオ泊地に入港した
赤道直下に位置するこの島々は、広大な環礁に囲まれた天然の良港であり
連合艦隊の重要な中継基地となっていた。
泊地には巡洋艦、駆逐艦、
そして無数の輸送船や補助艦艇がひしめき合っており
その威容は見る者に日本の海軍力の健在を示しているかのようだった。

しかし、よく見ると、その中には戦闘で損傷し、
応急修理を受けている艦艇も少なくなかった。
艦橋の一部が吹き飛んでいたり
喫水線付近に痛々しい魚雷命中痕があったりする姿は
南方の戦いの厳しさを物語っていた。

「あれが、トラックから帰ってきた『妙高』か…ずいぶんやられてるな」
隣の艦に停泊している重巡洋艦の痛々しい姿を見て、乗組員の一人が呟いた。
パラオの岸壁には、真新しい装備や資材と共に
南方特有の、錆や塩害でくたびれた設備が混在していた。
強い日差しと高い湿度が、あらゆるものを急速に劣化させていく。

「黒瀬」はパラオで燃料、弾薬、食料の補給を受けた。
南方の戦場で使用される特有の装備や物資も積み込まれる。
補給作業の合間に、他の艦の乗組員と交流する機会もあった。
彼らが語るソロモンの戦いの生々しい話は、初めて戦場へ向かう
「黒瀬」の乗組員たちに、改めて現実の厳しさを突きつけた。

「ラバウルじゃ、毎日空襲だぞ。昼間は敵の天下だ」
「十八番の夜戦だって敵の電探で先回りされるし」
「ガダルカナルも、最後は地獄絵図だった…」

彼らの話を聞くにつれて、乗組員たちの顔から
パラオ到着時の安堵の色が消え、再び緊張が走った
自分たちが向かうのは、噂に聞く「緑の地獄」、ラバウルであることは明白だった。

パラオでの数日間の滞在を終え、「黒瀬」は再び針路を北東にとった。
目指すは、中部太平洋に浮かぶ巨大な泊地、トラックであった。
トラック泊地は、連合艦隊の司令部が置かれ
南太平洋、中部太平洋の作戦拠点となる、まさに帝国海軍の中枢であった。

パラオからトラックへの航海は、より一層厳重な警戒態勢で行われた
既にこの海域にも敵の潜水艦や哨戒機の活動が活発化しており
いつ接触してもおかしくない状況だった。乗組員たちは交代で見張りに立ち
電探員は絶えず周囲を監視する。艦橋の空気は張り詰め
微かな物音にも反応してしまうほどだった。

数日後、「黒瀬」は広大なトラック泊地に入港した
環礁の内海には、戦艦、空母、巡洋艦、そして無数の駆逐艦や補助艦艇が停泊しており
その数はパラオを遥かに凌駕していた
帝国海軍の主力部隊が一堂に会したその光景は、圧巻であった。

しかし、その威容にもかかわらず、泊地全体に漂うのは
どこか重苦しい雰囲気だった。戦闘による損耗は隠しようもなく
修理中の艦艇や、乗組員が少なく活気を失っている艦も散見された
司令部からの命令を待つ間、乗組員たちは艦内で待機し
外出は厳しく制限された。外からは、訓練や補給作業の喧騒が聞こえてくるが
それはどこか虚しい響きに聞こえた。

トラックでの滞在は短かった。「黒瀬」に新たな命令が下った。
それは、激戦地の最前線、ラバウルへの移動命令であった。

「ラバウルか…やはりな」
艦長は静かに呟いた。噂で聞いていた「緑の地獄」。ついにその地へ足を踏み入れることになる。

トラックからラバウルへの航海は、これまでの比ではなかった。
敵の航空機や潜水艦がいつ襲ってくるか分からない、
まさに敵の勢力圏内を進む航海だった。
対空、対潜警戒は最大厳戒態勢が敷かれ、全ての乗組員が緊張の糸を張り詰めた。

海の色は、南下するにつれて濃い藍色へと変わっていった。
空には積乱雲が湧き上がり、激しいスコールが時折艦を洗い流す。
熱帯特有の気候は、容赦なく乗組員たちの体力を奪っていった。

そして数日後、「黒瀬」はニューブリテン島のラバウルに到着した。
複雑に入り組んだ湾の奥深くに位置するこの港は、
三方を高い山に囲まれ、天然の要害となっていた。
しかし、その地理的な利便性とは裏腹に、
ラバウルは常に敵機の脅威に晒されている場所であった。

港に入港すると、まずその独特の空気に圧倒された。
高い湿度と熱気が肌にまとわりつき、そして常に、
上空からの脅威を感じさせる張り詰めた緊張感が漂っていた。
港内には、損傷した駆逐艦や輸送船が痛々しい姿で係留されており
陸上施設も爆撃の痕跡が生々しく残っていた。

「これが…ラバウルか…」
甲板に立った乗組員たちは、その光景を目の当たりにして言葉を失った。
これまで話で聞いていた「緑の地獄」は、想像以上に荒涼として
そして危険な場所であった。ジャングルに覆われた山々は
まるでこちらを監視しているかのように静かにそびえ立っていた。

ラバウル到着後、「黒瀬」にはすぐに司令部からの命令が下された
それは、極めて危険性の高い強行輸送任務であった。作戦名は「か号作戦」

艦長室に集められた士官たちは、司令部からの参謀の説明に真剣に聞き入った。
作戦内容は、次期決戦地と見られるラエ方面へ
陸軍部隊並びに食糧、弾薬といった物資を緊急輸送するというものであった
輸送には、速力18ノットの高速徴用輸送艦「鷹富士丸」と「荒川丸」の二隻が使用される
そして、その護衛を、軽巡洋艦「黒瀬」と
歴戦の駆逐艦である「雪風」、「浜風」、「磯風」の三隻が担当するという編成であった。

「ラエ方面は、現在敵の航空基地の脅威に晒されており
 また敵水上部隊の活動も活発化しております」
参謀は説明を続ける。
「この輸送作戦は、極めて危険性が高いと予想されます
 特に、昼間は敵航空機による激しい妨害が予想されます
 また、夜間においても、敵駆逐艦などの水上部隊との交戦の可能性も排除できません」

息を呑む士官たちを前に、参謀は最も重要な指示を伝えた。
「本任務において、最優先されるべきは、輸送艦二隻の生存です
 積載している陸軍部隊並びに物資は、ラエ方面の戦局を左右する
 極めて重要なものです。万が一、敵の攻撃を受けた場合、軍艦は盾となって
 輸送艦二隻を全力で護衛し、目的地へ到達させることを第一とされたし」

「軍艦は盾となれ」。その言葉は、参加する護衛艦艇
すなわち「黒瀬」と駆逐艦三隻が、文字通り身を挺して
輸送艦を守ることを意味していた。それは、沈没をも覚悟しなければならない
過酷な任務であることを示唆していた。

命令を聞いた加藤艦長の顔色は変わらなかったが
その目に宿る光は一層鋭くなった。
彼は、この艦に託された使命の重さを改めて痛感していた。
防空軽巡として建造された「黒瀬」の強力な対空能力こそが
この危険な輸送作戦において最も必要とされているのである。

野村砲術長の表情は引き締まっていた
彼の担当する高角砲群が、文字通り艦の命運を握ることになる。
沢村副長は、冷静に作戦内容を分析し、懸念点を整理していた
限られた護衛艦艇で、高速とは言え非武装の輸送艦を守りきる難しさ。

作戦会議を終え、各員は自艦に戻り
作戦内容を乗組員たちに伝達した。ラバウル到着後の緊張感に加えて
具体的な作戦内容の危険性が伝えられると
乗組員たちの間には動揺が走った。輸送艦を盾となって守るという言葉は
彼らに否応なく死を意識させた。

しかし、同時に、彼らは海軍軍人として与えられた任務を
完遂しなければならないという覚悟を新たにした。
訓練で培った技術と、共に過ごした仲間への信頼。
そして、「黒瀬」という艦への愛着が、彼らを支えた。

出撃に向けて、最後の準備が進められた。弾薬庫は満載され
燃料タンクは波一つ立てずに満たされた。食料や真水の補給も行われる
停泊している「鷹富士丸」と「荒川丸」
そして護衛の駆逐艦三隻との間で、最終的な打ち合わせが行われた
駆逐艦「雪風」の歴戦の武勲は有名であり、共に戦えることは心強い限りであった。

ラバウルの夜は、ジャングルから響く虫の声と
遠くで聞こえる微かな砲声、そして常に上空からの脅威を感じさせる
不気味な静けさに満ちていた。乗組員たちは、それぞれに故郷の家族を思い
来るべき戦いに思いを馳せながら、最後の休息を取った。

そして、夜が明け、東の空が白み始める頃
「黒瀬」は、「鷹富士丸」、「荒川丸」
そして護衛の駆逐艦三隻と共に、静かにラバウルを出港した
熱帯の朝靄の中を、船団はラエ方面へと針路を取る。

「か号作戦」。それは、「黒瀬」にとって初めての
そして最も危険な任務であった。緑の地獄、ラバウルを後にし
血塗られた南太平洋へと推して参る
その行く手に待ち受ける壮絶な戦いの序曲が、今、静かに奏でられようとしていた。
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