ただ愛されたかっただけなのに、許してと言うまで愛された

橘 葛葉

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7=救いの手=

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「相性良さそうだと思ったからだよ」
あの時の話でどうしてそう思うのか、美奈子には不思議で理解できない。
「あとは挑戦してみたいって思ったかな。五人の男と愛衣蘭を上書きしてやろう、って」
「そんな、会ってもいないのに」
「愛衣蘭がライブ中継してたから、美奈子ちゃんの事は見た事あったんだ」
「…………え!」
ライブ中継って、あの時の?どうやって?
「愛衣蘭のカバンのチャームにカメラ仕込んでたんだよ。だからごめん、美奈子ちゃんの裸も恥ずかしいところも、遠目に見てる」
あの時の行為を見られていたなんてと、美奈子は真っ赤になって俯いた。どんな顔をして優斗を見ればいいのか分からない。
みっともなく乱れていたのは間違いない。それなら、優斗もまた美奈子とやれそうだから言っているのだろう。
「あ、誤解しないでほしいんだけど」
俯いて泣きそうな美奈子に、信号待ちで車を停めた優斗が顔を向けて言った。
「やれそうだからちょっと言ってみようとか、そんな軽い気持ちで言ってないから」
「やりたいんじゃ、ない?」
信号が青に変わったので、優斗は顔を正面に戻しながら口を開く。
「そりゃ、好きな子とはやりたいから、手を繋ぐだけで一生過ごせと言われたら拗ねる」
口を尖らせて言う優斗は、店で見た時の大人びた感じがない。
「一発やって終わりじゃ無いってこと」
ちらりと目を向けて言った優斗に、美奈子は赤い顔のまま聞いた。
「一発やって嫌になる可能性もあるよね」
「そりゃお互い可能性は否定できない」
右にカーブしながら言った優斗に、体を倒さないように頑張りながら美奈子は言った。
「いいよ、一発やって捨ててくれても」
どうしてそんな事を言ってしまったのか分からない。しかし口から出た言葉はすでに相手が受け取っている。その証拠に優斗は車を止めてこちらをみていた。
「美奈子ちゃんを堪能するのに、一回で足りるの?」
「え?」
意外な言葉に顔を上げる美奈子。優斗を見ると真剣な眼差しとぶつかる。
静かな車内に、ウインカーの音だけがチカチカと聞こえていた。







「ねえ、キスしていい?」
車から降りて美奈子の自宅マンション前まで送ってくれた優斗。別れ際にそう言ってきた。
美奈子は振り返らずに小さく頷く。
すると背後からそっと抱き寄せられた。しばらくぎゅっと抱きしめられてから、優斗の手が美奈子の顎を持つ。顔を斜め上に上げられると、背後から前に向かってくる優斗の唇が重なる。
「ん……」
体勢が苦しくてキスなのに声がでた美奈子は、恥ずかしくなって顔を逸らした。すると優斗は美奈子を解放する。
少し残念に思っていると、正面に回ってきた優斗が素早く唇を攫う。
「あ……んん……」
優斗の舌が口腔内をくまなく泳ぎ、時々美奈子の舌に絡まり吸いつく。その動きに、下腹部がきゅんと締まった。
「かわいい。今度試してみる?体の相性。それで俺が嫌じゃなかったら付き合ってよ」
そこまで言われてしまえば頷くしか無い。嬉しそうに笑う優斗の服をそっと掴んで言った。
「今からでも、いいよ」
「明日、会社じゃないの?」
「会社……でも、帰したくない、かも……」
「美奈子ちゃんの家にあがってもいいの?それともホテル行く?俺の家に来てもいいけど」
選択肢が多いのは嬉しいし、自宅に招くのも嫌じゃなかった。
服を掴んだまま、美奈子は自宅の方へ足を向ける。優斗は何も言わずに着いて来た。







玄関先で鍵を閉めた瞬間、優斗が美奈子の顎を掬い取ってキスをする。
早急に抱かれるような予感がしたが、優斗は首を横に振って踏みとどまった。
「ベッド行く?それともここがいい?」
美奈子はベッドが良いと伝えたくて、部屋の奥を指差した。
「分かった。行こう」
優斗は美奈子に導かれるまま移動し、ベッドが見えると再び背後から抱き締められる。
「美奈子ちゃんと本当に抱き合えるなんて思ってなかった」
美奈子の頸に顔を埋め、大きく息を吸い込んだ優斗。そのまま首筋に舌を這わせた。
「あ……」
着ている服を上から丁寧に剥いでいく優斗。その手つきは驚くほど優しかった。
肩が外気に触れたと思ったら、そこに優斗の唇と熱い吐息を感じた。
ちゅっと肩に吸いては離れ、背中を移動しながら下降していく。
「ん……」
微妙な感触を感じながら美奈子は瞳を閉じる。背後に神経が集中しているのは、初めての感覚だった。正面から責められないのが、不思議と安心感を呼び、下腹部がぎゅっと締まるのが分かる。
「美奈子ちゃん、俺、割と独占欲強いから、もし相性良かったら執着しちゃうかもしれないけど、大丈夫?」
「え……?」
そんな事、大丈夫かと問われても困ると美奈子は背後の優斗に目を向けた。目が合うとそのまま唇を奪われてしまう。
「ん……んん……」
「どうしてそんなに自信がないのか俺には理解できない」
ちゅっと音が聞こえ、薄目の美奈子が優斗を見る。
「自信なんて……」
そんなものあるわけ無い。
「俺は好きだよ。美奈子ちゃんの笑顔も、恥ずかしそうな顔も、酔ってる時の感じも。ちょっと開放的なところもね」
ちゅっと音がして、腰から優斗の顔が離れる気配。
どうするのだろうと思っていると、腰をがっしり掴まれる。
「あ……」
思いの外艶かしい声が出て、美奈子は思わず口を噤んだ。
「声を殺さないで」
横から美奈子に腕を回す優斗がそう言って、再び唇を寄せる。
「どんなに乱れても、俺は嫌いにならないし、もっと乱れた姿を見せてほしい」
「そんな……」
「世界中で俺が一番美奈子ちゃんを感じさせたい」
横から首筋に吸い付く優斗。
「あ……あぁ」
「綺麗で可愛い」
ちゅっと音を立てて首から離れ、耳の外周を舌でなぞる。
「そん……な……」
「俺の好みなんだよね。顔も、性格も、声も、反応も」
「は……反応?」
正面に回ってきた優斗が唇を寄せて美奈子に吸い付く。夢中で答えていると、ショーツの中に優斗の指が入ってくる。
「あっ……んん!」
「いいね、その声」
「や、そんな……」
割れ目に擦り寄り突起を這う優斗の指に、腰が跳ねるのを止められない美奈子。優斗はキスをして、そのまま美奈子の首筋を責め、鎖骨を舐め上げ、胸を責める。
下からはグチュグチュ音が漏れ、上は優斗の唇からくちゅくちゅ音が聞こえる。
耳からの刺激だけで美奈子は倒れそうな快感を感じていた。
胸を執拗に責める優斗の舌。胸を弄んだ後、徐々に下がってくる舌。
ぶるぶるっと急激に全身が震えた美奈子。その体をがしっと掴んだ優斗が、ベッドに美奈子を押し倒す。
「あっ、あぁ!」
足の間に舌が泳ぎ、美奈子の腰がビクビク跳ねる。
「感じてる美奈子ちゃん、最高に可愛いよ」
そう言われるとより感覚が研ぎ澄まされ、普段よりもずっと感じるような気がした。
小さな突起が執拗に責められ、チロチロと這う舌は腰の反応を楽しむように動く。
「もっと強い刺激が欲しくない?」
ふいに顔を覗かせて言う優斗。
もっと強い刺激と言われても、快感で頭が真っ白だった。
「へえ、いいね、その顔」
そのまま顔が近付いてきて唇が重なる。
「ん……」
「ねえ、ここ、ぐちょぐちょだよ」
「や、言わないで……」
複数の男に囲まれて同じように言われた事もあった。しかしここまで恥ずかしいとは思わなかった。あの時と今、何がそんなに違うと言うのだろう。
「欲しく無い?大きな太めのもの」
ごくりと喉が鳴ってしまったことで、赤面する美奈子。
「挿れてあげる。大きくて……」
優斗はそこで切ると美奈子の足を持ち上げる。
「熱い塊」
「あ……あぁ……」
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