ただ愛されたかっただけなのに、許してと言うまで愛された

橘 葛葉

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14=深海のサーナ:本日は貸切=

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美奈子は澄人が指差した先に移動し、扉を開けて確認した。
言った通りのシャワールームだ。
澄人の言う通り、これから優斗に抱かれるならシャワーを浴びておこうと思った。
体を丹念に隅々まで洗った美奈子。シャワーから出ると、カゴに目を向けて中を確かめる。
「何が用意されてるんだろ」
しかしバスローブが一着用意されているだけだった。
濡れた体のままそれを羽織ると、髪を乾かし始める美奈子。乾かし終えた直後、ノックの音がした。
「はい!」
「入っていい?」
優斗の声に、美奈子は弾かれたように扉へ向かう。
「会いたかった」
ぎゅっと抱きしめながら言う優斗に、美奈子は幸せそうに目を閉じる。
「あたしも、会いたかった……」
「怖い思いしてない?」
こっくり頷いた美奈子に、優斗が少し体を離して目を合わせてきた。
「これから人前で抱くけどいい?」
「それは……どうしてか聞いていい?」
「あいつらが二度と美奈子ちゃんを誘わないように」
優斗の言葉に美奈子は嬉しくなって頷く。
「いいけど、それで諦める?」
「ま、あいつらただ見てるだけじゃないから」
「それって、どんな状態なの?」
「聞きたい?おすすめはしないけど」
「じゃあ、聞かないでおく……」
ここまで来たら優斗を信じて従おうと思った。
「それぞれに男が二名ついてるし、人によっては拘束させてもらってる」
優斗はそう言うと黒い革製の何かを取り出した。
「美奈子ちゃんも拘束させて。あいつらが美奈子ちゃんにしたかったこと、俺が代わりにやるつもりだから」
じゃらじゃらと革についているチェーンが音を立てる。
「それは……?」
「エロいハーネス」
手枷や首枷のようなものに美奈子の喉が鳴る。








「あぁ……可愛いよ、美奈子ちゃん」
手枷がついた亀甲縛りを模倣したようなデザインの衣装は、隠したいところが全部出ている。赤面して見上げる美奈子に、顔の上半分を隠すような仮面を付けた優斗が優しいキスを落とす。
「今からステージに行くけど、声は全部あいつらに聞こえているからそのつもりで。俺は初対面のように振る舞うけど、設定だと思って楽しんで」
こくりと頷くと、優斗が額の上部にキスをする。
「九回いくまでやめないから、そのつもりで」
「え!」
美奈子は驚いたが、本気なのか、冗談なのか判断できず、戸惑っている間に優斗に背を押されて移動を開始した。
「この扉を越えたらステージだから」
こくりと頷くと優斗が扉に手をかけた。









そこは真っ白な空間だった。中央に円形のステージがあり、そこで優斗に犯されるのだと思うと、羞恥よりも先に下腹部が反応している事に気が付く。
強い光の中をほとんど裸の状態で歩く美奈子。
中央のステージまでくると、優斗が指差したヒールに足を入れる。
「それじゃあ……」
優斗がそう言って、美奈子に目隠しを付ける。次いで口枷をはめる。
「んん……」
「苦しくない?」
気遣わしげな声が聞こえ、美奈子は頷いた。
「それじゃあ、ショーを始めようか」
かちゃかちゃと音がして、手枷の辺りから金属音が聞こえる。少しすると優斗の気配が消え、代わりに機械音が耳に届く。何事だろうかと思っていると、美奈子の両腕が何かに引っ張られて広がっていく。
期待と不安が入り混じり、下腹部が痛くなるほど収縮していた。








がこんと大きな音がして、目隠しをしていても照明が落ちたのが分かった。
しばらく音もなく、明かりも無い状態が続いたが、ビーッと音がして、その直後照明がついた。
ピシッ、ピシッと何かを弾く音が耳に届く。
コツコツと靴の音が近づいてきて、耳に息が吹き込まれる。
「っ!」
くすりと笑った声が優斗のものだと分かり、安堵と共に心が踊った。
「へえ、美奈子ちゃんって下の毛ちゃんと処理してんだ。意識高いね」
ハーネスの腰周辺をくいっと引っ張られ、耳に優斗の唇が寄る。
「これって、舐めてほしいってこと?」
びくりと肩が勝手に跳ねる。
「ふうん、答えないって事は、正解ってことだね」
「う……ふっ……う……」
ボールが口に嵌められていて言葉を発する事ができない。
優斗の指が恥丘に伸びてひと撫でする。
「ん……ふ……」
はむっと優斗の唇が美奈子の耳を喰む。そのまま首筋を舐め上げ、鎖骨を行き来したが下へは行かない。じれったいと思っていると、優斗の気配が側から消えた。
しかし遠くから小さな金属音。
「首も必要だよね」
そう言うと優斗は美奈子に首枷を嵌めた。
「ふふ、大きな鏡に映っている美奈子ちゃん、綺麗だよ」
鏡なんてあっただろうか。優斗が囁くために近づくたび、その髪が美奈子の頬を撫でていく。
「柔らかいベッド」
優斗の声が少し離れたところから聞こえ、同時に何かが美奈子の腰を打つ。
「ふ……ん!」
音の正体が弾けるような痛みで判明した。
これは鞭だ。
「安心できる様な抱擁」
あの、ただ眠った日を思い出していると、また、ぱしんと派手に音が鳴る。
「んんっ!」
「優しい指使い」
「ふっ!ん……ん」
優斗は美奈子の周りを回りながら、ピシピシと打って行く。音の割に痛みはないが、避けることもできずに腰をくねらせる。
「どれが好みかな?」
どれも今の状況に当てはまらず、返答もできない美奈子は呻くしかできない。そんな美奈子の背後から、両腕が回って胸を鷲掴みにする。
「んん……ん~」
左右から胸を揉みしだかれていたが、しばらくすると右手が下降するのを感じた。指で触られるのだろうと予測した美奈子の耳に、突然鳴る重低音の機械音。
「ふ……んんっ!んんっ~!」
強烈な刺激に腰が跳ねる。マッサージ機が当てられているのだと思ったのも束の間、すぐに思考が飛びそうな快楽に包まれた。腰が震えて、足から力が抜けそうだ。
「ほら。まだダメだよ」
かちりと音がして振動が止み、腰を背後から支えられた。
ぐっと股間に押し当てられたマッサージ機は、優斗が美奈子の耳を噛むのと同時に再び動き出す。
「んー!んー!」
腰を小刻みに震わせていると、駆け上がってくる快楽を感じた。
首を必死に横に振ると、優斗は美奈子の顎を吸いながら言った。
「まずは一回目かな」
さらに押し当てられたマッサージ機の振動に、美奈子の腰が大きく痙攣する。
声も出せずに絶頂を迎え、やがては脱力した。






+一沙+
「くそっ!なんだよこれ、放せよ!」
一沙は椅子に縛りつけられたままもがいた。
両手は後ろに回っているし、足は椅子に固定されていてまったく動かせない。ガラスの向こうは暗闇だし、どれだけ大声を張り上げてもどこからも反応がない。
しばらくすると扉が開き、男が二人入ってきた。そのうちの一人はさっき見た顔で、愛衣蘭の同僚らしき男だ。一沙と目が合うと手をひらひらさせて軽く言う。
「お待たせ~」
楽しそうに言う澄人は一沙に近寄り、もう一人の見知らぬ男はモニタの前に立った。








+ゴミ男+
男は思い出していた。
樹と言う経営者の友人が言った事を。
「お前に女との遊び方を教えてやるよ」
最近、店が倒産して見かけなくなったが、あの愛衣蘭って子が参加して乱れた時は楽しかった。一沙が愛衣蘭を知ってたのは驚いたが、あの時の刺激が忘れられなくてまた体験したいと思っていたところだ。
「女ってもんはなぁ、嫌そうな事を言ってても喜んでることの方が多いからな」
あの時、愛衣蘭と美奈子が絡む姿は最高に興奮した。しかし愛衣蘭ばかりが美奈子を楽しんでいるようでもあり、物足りないとも思っていた。
今夜は自分主導で楽しんでやろうと思っていたのに……。
「んー!んーーん!」
扉が開いたので全身に力を入れ、必死に抵抗したが、思った以上に声が出ない。体もほとんど動かせない。
そして気がついてしまった。
今、自分が裸だという事を。
四つん這いのような状態で、円柱を倒したようなマットに固定されている。
目の前にはガラス。その先は漆黒だ。
漆黒であるがゆえに鏡の様に背後を映しており、そこに男が二人立っている事に気が付いた。
一人はモニタの前に移動してきて、もう一人は自分の背後に移動した。
二人とも言葉を発しない。それがより大きな恐怖となる。
尻にヒヤリと液体が伝ってきた。
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